関東整備局らDX・i-Con推進協議会/インフラDX普及拡大へ都県独自の取組続々

関東1都8県5政令市がICT施工を市町村レベルに広げるため、インフラDXやi-Constructionの分野で独自の取り組みを進めている。小規模ICT施工の講習会を開いたり、自治体とともに協議会を立ち上げたりする県が相次ぐ。AIを使った生産性向上策など、独自目線で新施策を打ち出す都県も目立つ。5月31日に開かれた関東DX・i-Construction推進協議会で各自治体が取り組みを発表した。
冒頭、関東整備局の西川昌宏企画部長は「時間外労働の罰則付き上限規制が始まり、生産性向上のニーズは一層高まっている。人口減少が進む中、より少ない人数で現場を動かす必要があり、国土交通省ではi-Construction2・0を公表したところだ。(都県政令市とも)お互いに情報交換と連携をより深め、全体としてDXの取り組みが進めばと思う」とあいさつした=写真。
2023年度のICT施工実施率(一般土木工事)は▽国=87%▽都県政令市=36%▽区市町村=35%-となり、前年度とほぼ同水準の結果となった。各都県政令市とも、小規模土工などの工種にICT施工を積極的に広げる姿勢を示している。
管内の自治体や受注者にICT施工を実施してもらうため、協議会の発足や研修会・講習会の開催に取り組む都県政令市も目立つ。茨城県は23年度、小規模ICT施工の講習会を県内64カ所で開いた。千葉県は23年度、「はじめの一歩体験会」として未経験の受注者を対象とした現場研修会を開催。本年度は「本気の一歩研究会」と改め、より実践的な講習会を開く考えだ。神奈川県は3D設計データ「はじめの一歩現場体験会」を今月中にも開くほか、「点群データ利活用推進会議」を通じた現場見学、出前講座も行う方針だ。
千葉市はICT施工のデータ作成などの内製化を目指した受注者向け研修会を開催予定。横浜市は職員の技術力向上を図るため、現場見学会などを積極的に実施している。独自の取り組みとして長野県では、BIM/CIM活用の推進に向け、産学官による「信州BIM/CIM推進協議会」を立ち上げている。
AI活用やデータプラットフォーム構築による生産性向上を目指す動きも活発だ。群馬県や千葉県が交通量調査にAIを導入した新たな取り組みを本年度試行するほか、東京都は23年度に「都道管理支援システム」の運用を開始。さらに今後、用地取得分野で支援システムの構築を検討する。
千葉市はドローンを使った橋梁点検の安全技術について情報収集中で今後、推進計画をまとめる予定。横浜市は工事成績評定をシステム化し、業務効率を高める取り組みを検討しているという。

© 日刊建設工業新聞社