北朝鮮が汚物風船を「暫定的に中断」 いざとなれば〝技術転用〟の可能性も

韓国国内にたどり着いた「汚物風船」(ロイター)

北朝鮮がごみや糞などの汚物をぶら下げた大型風船を韓国側に大量に飛ばしていたが、2日夜風船を飛ばすことを「暫定的に中断する」と発表した。

韓国で5月28日深夜から、北朝鮮が飛ばした大型風船が韓国北部の南北境界付近に続々と落下。北朝鮮は3500個を飛ばしたとしている。韓国の団体が先日、20個の大型風船に、北朝鮮を批判するビラ30万枚とKポップやトロット(韓国の演歌・歌謡曲)の動画が入ったUSBメモリー2000個をぶら下げて、北朝鮮に飛ばしていたことへの報復措置だった。

風船の中断にもかかわらず、韓国大統領府は3日、南北首脳が2018年に締結した軍事合意の効力を全面的に停止する方針を発表。韓国の尹錫悦政権は強硬姿勢を維持した形だ。

それにしても汚物をぶら下げた風船を飛ばすとは、不快感でしかない。

朝鮮半島事情に詳しい文筆人の但馬オサム氏は「まったく幼稚な悪ふざけです。ただ、風船を風に乗せることによって、38度線を越えて物を運ぶことは実証されたわけで、彼らはこれを武器に変える自信もついたでしょう。いざとなったら、放射性物質を詰めて飛ばすといったダーティー・ボム作戦も可能というわけです」と指摘する。

韓国では、いやがらせや抗議の手段に、汚物を使うというのは以前からあった。

「1966年、韓国の国会でアルミ缶に入れられた汚物がぶちまかれたことがあります。まいたのは金斗漢(韓国独立党)議員で、臭い一撃を浴びたのは丁一権国務大臣(日本でいう総理大臣)です。金議員はサッカリン密輸疑惑について質問して、丁大臣を追及中でした。金斗漢氏は侠客上がりの国会議員として、そのアウトローな人生は何度か映画やドラマになりました。今世紀に入っては、ドラマ『野人時代』が人気で、劇中、汚物シーンもしっかり再現されています」と語る。

近年では、故・廬武鉉大統領のお墓に汚物がまかれたり、市民団体によって国立墓地にある親日派の墓地がやはり汚物被害に遭った。そのような土壌があっただけに、韓国にはダメージが大きいのだろう。

© 株式会社東京スポーツ新聞社