小池都知事3選の“不安材料”は田母神俊雄氏の出馬と維新の出方…最悪「100万票」がパーに?

かっての神通力は消え…(C)日刊ゲンダイ

いまだ現職の小池知事が都知事選の出馬表明に踏み切らない。立憲民主党の蓮舫参院議員が参戦。有力対抗馬の出現で、今か今かとメディアの注目を集める「じらし作戦」に転じたようだが、「正攻法」に出られない事情もあるのだろう。

かつての神通力は消え、目黒区長選、衆院・東京15区補選、目黒区都議補選と応援した候補は3連敗中だ。

JX通信社の都内有権者対象のネット世論調査(先月18~19日実施)の結果、小池の支持率は33%。前回知事選直前の支持率69.7%から半分以上も減らしている。

■今回は200万票台の激戦に

前回は次点の4倍強にあたる約366万票で小池が圧勝したが、今回は激戦が予想される。政治ジャーナリストの田崎史郎氏は先週放送のテレビ朝日系番組で「200万票台の戦いになるのでは」と指摘していた。

田崎氏は、2022年参院選東京選挙区の開票結果から、蓮舫を含めた立憲2候補と共産党・れいわ新選組の両候補の総得票数約229万票が、蓮舫の基礎票と分析。同じく自公3候補と小池の愛弟子・荒木千陽氏が獲得した計約257万票を小池の基礎票と踏んだ。

田母神俊雄はもう「過去の人」だが…

ここからどこまで浮動票を上積みできるか、または基礎票の下振れを避けるかが、勝敗を左右しそうだが、小池都知事には不安材料がつきまとう。

まず田母神俊雄・元航空幕僚長の出馬だ。田母神氏は14年の都知事選で約61万票を獲得したが、公選法違反罪(運動員買収)に問われ、18年に有罪判決が確定。昨年まで5年の公民権停止処分を受けていた。もはや「過去の人」で「日本軍復活」や「大麻解禁」を公約に掲げるが、それでも出馬会見で本人が「自民党も候補者を出せないなら保守系都民が投票する人がいない」と語った通り、保守系を中心に小池都知事の票を奪いかねない。

「静岡県知事選では裏金事件の逆風により、自民支持層の3割が対立候補に投票していた。前回参院選の自民2候補は計154万票。2~3割弱を田母神氏に食われれば、小池都知事の基礎票から30万~40万票が流れる計算です」(都政関係者)

次は日本維新の会の出方だ。前回都知事選で推薦候補が約61万票を、前回参院選では公認候補が約53万票を獲得。全国政党化を目指し、独自候補の擁立を模索しているが、現在も難航中だ。

「擁立を見送れば、維新票の多くは蓮舫氏よりも、支持層の重なる小池知事に流れるでしょう。票の上積みを期待してか、小池知事サイドが水面下で維新側と接触するなど、連携を探る動きもあるようです。ただ、物別れに終わり、維新が候補者を立てればアテ込んだ50万~60万票がパーです」(永田町関係者)

最悪の場合、小池都知事は100万票近くを失いかねない。田母神氏と維新に苦しめられる女帝である。

© 株式会社日刊現代