「生き方」としての人事労務(吉田洋介 人事図書館館長)

■人事図書館発・人事労務キャリアの先を読む①

吉田洋介(よしだ・ようすけ) 人事図書館館長新卒より組織人事支援企業にて勤務し、2021年に独立。経営人事支援を行うと共に、24年4月、人事の学びの場「人事図書館」を設立。

人事図書館はその名の通り人事領域の図書館であり、同時にコワーキングスペース利用、相談も可能な東京人形町にある施設です。

2024年4月1日から運営を開始し、日々様々な勉強会、セミナー、読書会が行われており、人事労務のみならずその領域に関心のある方が多く集まっています。スタッフは人事経験者であり、図書館を利用するメンバーの皆さんから毎日のように悩み相談を受けています。本連載ではお悩みの中でも特に多い「人事労務のキャリア」に関して様々な角度から光を当てていきます。

キャリアという言葉も「経歴」「学歴」「これまでの人生経験そのもの」など様々な定義がありますが、本連載では広義の「生き方」として、「人事労務領域を生業にしている方々の生き方」を扱います。生き方というと少し大きすぎると感じるでしょうか。しかし、将来予測が難しいVUCAといわれる激しい変化が日常となるいま、狭い意味で「自社内の昇進昇格・異動」や「転職」といった現象だけを捉えて個人の人生の豊かさを語ることは非常に難しいと私たちは考えています。

どのような生き方が豊かであるかは、一般的な尺度や観点で決まるわけではなく、自分にとって何が大切なのか、個々人が見出す必要があります。その意味で人事労務キャリアを捉える様々な観点を本連載を通じて味わっていただき、「自分にとっての豊かさ」を見出す、一考する一助となれば幸いです。

■悩みを照らす100のツボ

人事図書館でよくお伺いするキャリアに関するお悩みとして、「人事労務に関するスキルや知見をどう身につけていいか迷っている」「自社の中で限定的な業務期待しかないため広げにくい」などがあります。

詳しく聞くと、先輩・上司も多用で逼迫していたり、自分の専門領域については既に自身が詳しいといった状況もあり、自ら何とかしようと考えているものの、具体的にどうしたらいいか分からない――。こういった背景をお持ちの方が少なくありません。

そういった状況の方にお勧めしている一冊として、『図解 目標管理入門』があります。キャリアの話なのに目標管理というのは違和感を感じられるかもしれません。本書籍では、自分自身がどこを目指すのか、夢、強み、業績、使命、といった観点から考える枠組みを提示しています。

『図解 目標管理入門――マネジメントの原理原則を使いこなしたい人のための「理論と実践」100のツボ』坪谷邦生 著/ディスカヴァー・トゥエンティワン/2023年

人事図書館でお話をお伺いしていると、「実は自分の悩みは本当の悩みではなかった」ということがよくあります。目の前で悩んでいることを改めて整理し、「自分が本当に望んでいることは何か」を捉えてみると悩みがまた違った角度で見えてくるかもしれません。書籍では内容ごとに100のツボに分かれているため、時間がないという方にもお勧めです。

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