【ライトノベル最新動向】夏目漱石が美女に転生「夏目漱石ファンタジア」続編や「ブギーポップ」新作も 6月注目作を一挙紹介

6月発売のライトノベルの新刊から注目作を紹介。2024年のライトノベルでトップ級の怪作と言われることが確実な『夏目漱石ファンタジア』に早くも第2弾が登場。6月20日発売の零余子『夏目漱石ファンタジア2』(ファンタジア文庫)は、爆殺されたところを冷凍保存されていた樋口一葉の体に脳移植され、蘇った夏目漱石が今度は歴史に名を残す医学界を相手に激しいバトルを繰り広げる。

英国に留学していた夏目漱石が、あの「シャーロック・ホームズ」シリーズで知られるアーサー・コナン・ドイルの弟子だったことも判明。ホームズが繰り出す謎の格闘技、バリツとはどのようなものなのかも明かされ、遠く日本で美女の姿に生まれ変わった漱石が、そのバリツを繰り出す姿も見られる。歴史好きも文学ファンも推理小説の愛好家も読まずにはいられない続編だ。

シリーズ物の新刊では、藤井聡太八冠の台頭で現実に上回られたと話題になった白鳥士郎の将棋ラノベシリーズ最新刊『りゅうおうのおしごと19!』(GA文庫)が6月15日に発売。若くして竜王位を獲得した九頭竜八一が雛鶴あいという小学生の少女を内弟子にする一方で、女流棋士として活躍する姉弟子の空銀子とも関係していくラブコメ的な面白さと、プロを目指しタイトルを狙って将棋を指す棋士たちの対局にかける執念を描いた熱いストーリーで読ませてきたシリーズも、いよいよ最終盤に差し掛かる。

女性ながらプロ棋士になったあと、休養などもして八一から離れていた銀子が復活した一方、八一はライバルの神鍋歩夢にタイトルを奪われ落胆気味。そして銀子の部屋を訪ねた八一がある決断を打ち明ける。師匠の八一から離れたあいの方も最強のライバルが立ちふさがって大変そう。いろいろと大きな動きがありそうな最新刊だ。

1998年に登場して以来、ライトノベルの最先端を走り続ける上遠野浩平「ブギーポップ」シリーズにも最新刊『ブギーポップ・パズルド 最強は堕落と矛盾を嘲笑う』(電撃文庫)が6月7日に登場。シリーズにあって最強と呼ばれるフォルテッシモが絶体絶命の危機に陥ったことで統和機構が大混乱となる中、事態の解決を命じられた久嵐舞惟が死神ブギーポップと出会う、といったストーリー。クールな文体で紡がれる青春の断片に触れられそうだ。

シリーズ41冊目となる赤松中学のバトルアクション『緋弾のアリアXLI 原罪の龍王』(MF文庫J)は、謎の依頼人を追ってエジプトに赴いた武偵の遠山キンジが繰り広げる冒険が描かれそう。6月25日発売。赤城大空によるインモラルアクションシリーズの最新刊『出会ってひと突きで絶頂除霊!11』(ガガガ文庫)は、烏丸葵を追って絶頂除霊の力を持った主人公の古屋晴久が渡欧を決断。こちらも日本を離れての活躍を見せてくれそう。6月18日発売。

新作では、第30回電撃小説大賞で《選考委員奨励賞》を受賞した芝宮青十『美少女フィギュアのお医者さんは青春を治せるか』(電撃文庫)がフィギュア作りを題材にしており模型ファンの関心を惹く。《エロス大魔神》を自称して周囲から距離を取ろうとしていた黒松治だが、実は美少女フィギュア作りの達人で、医者の卵で小説家の今上月子から自作の登場キャラクターをフィギュアにして欲しいと頼まれる。オタ絵師や塗装の達人も絡んで繰り広げられるラブコメを楽しみたい。6月7日発売。

上下巻で刊行の読図健人『ゴエティア・ショック 電脳探偵アリシアと墨絵の悪夢』(GCN文庫)は、サイバーパンクでハードボイルドな雰囲気を持った新作。行方不明の芸術家サイモン・ジェレミー・西郷とその娘を捜索していた《電脳魔導師》のアリシアの前に、剣鬼・柳生兵衛が立ちふさがる。テクノロジーが進化した世界のビジョンと激しいアクションで読ませてくれそうだ。6月20日発売。

「義妹生活」シリーズの三河ごーすとによる『地味なおじさん、実は英雄でした。~自覚がないまま無双してたら、姪のダンジョン配信で晒されてたようです~』(ダッシュエックス文庫)は、社畜サラリーマンの佐藤蛍太がストレス発散のために、天変地異によって発生したダンジョンに潜って金属バットでモンスターをかっ飛ばし続けていて、それを姪っ子に配信されたことで騒動に巻き込まれる。社会人生活に倦んだ中高年に希望を与えてくれそうな作品だ。6月25日発売。

進九郎『正しい勇者の作り方』(ファンタジア文庫)は、衝撃的な展開に驚かされること請け合いの新シリーズ。魔王を倒せる力を持った次世代の勇者を選ぶため、100人の勇者候補生たちが集まり選抜試験に臨むことになった。そこに現れたのが、かつて魔王を追い詰めたことがある勇者ブルム。憧れの人が現れ沸き立つ候補者たちをなぜかブルムは蹴散らして候補者を減らし、その後の試験でも候補者たちは命を奪い合うような戦いを強いられる。英雄とは強さだけでなく冷酷さも併せ持たなければなれないものなのか? 苛烈な展開に震えよう。6月20日発売。

THORES柴本のイラストで登場の深川我夢『邪祓師の腹痛さん』(富士見L文庫)は、「腹痛さん」と呼ばれる邪祓師の卜部と助手のかなめが、他では解決できなかった難事件に挑むといったストーリー。どうして「腹痛さん」なのかが気になる。6月14日発売。『交換ウソ日記』の櫻いいよによる『あの夏の日が、消えたとしても』(集英社オレンジ文庫)は6月20日発売。高2の夏に千鶴は律から「好きだ」と告白されるが、実は1年前に千鶴は律に振られていて、その日の記憶を律は失っていた。心を打つ青春ストーリーを味わえそう。

キュンとくる青春ストーリーでは、一条岬『さよならの仕方を教えて』(メディアワークス文庫)が6月25日に登場。高校2年の樋口悠が久しぶりに登校すると隣の席に転校生の有馬帆花がいた。だんだんと仲を深めていったが、ある日隣の席に別の幼馴染みが座っていた。興味をそそられるあらすじのその先にどんな展開が待っているかが大いに気になる。

(文=タニグチリウイチ)

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