なぜあの人には「良い情報」と「良い人」が集まってくるのか?

仕事がうまくいっている人と話すと「偶然良い人と出会いましてね、ラッキーでした」と言われることがあるだろう。結果を出す人のところにはなぜか「良い人」や「良い情報」が集まってくる。あなたの近くにもそういった人がいるはずだ。逆に苦戦している人は、良い人・情報と無縁である。これはなんとも不公平でならない。実は、「良い人」「良い情報」集まるにはワケがある。今回は、その理由について紹介させてほしい。

トップ営業には、良い人・良い情報が集まってくる

営業活動をしていて、「良いお客様と出会えればかんたんに契約がとれるのに」と思ったことはないだろうか? 過去の私はよくそう思っていた。すぐに契約してくれるお客様と出会えれば窮地を脱することができる。

  • 自分しか知らない物件情報
  • 安くて良い工事をしてくれる会社
  • いつでも協力してくれる人脈

これらを手に入れることができれば仕事は劇的にうまくいく。

しかし、そんなに甘くはない。いくら願っても当時の私はまったく縁がなかった。ところが、結果を出す人のところにはなぜか良い人や良い情報が集まってくる。

知人の中にも「タイミングよく話をいただきましてね」と話す人がいる。その方を見ていると、いつも良い出来事が吸い寄せられるように集まっている感じがしてならない。

トップ営業スタッフにもそういった傾向がある。常に優良客が集まってくるし、さまざまな有益な情報が集まってくる。

知人のトップ営業Aさんは常に結果を出している。努力で結果を出すというより“運が良い”タイプに見える。Aさんは会うたびに「たまたま新幹線の隣の席の人と話したら、うちの商品を必要としていましてね。ラッキーでした」といった話をしてくる。いわゆる“持っている人”なのだ。

一方、過去の私のように苦戦している人もいる。営業スタッフBさんは努力をしている。真剣に営業活動をしているし、営業スキルを上げるための勉強にも投資をしている。しかし、良い見込み客と出会えないし、有益な情報も入ってこない。頑張っているものの結果は出ない。どんとん差がつく一方だ。

このふたりを見ると「どう考えても不公平だ」と思ってしまう。これは“生まれ持った運”でしかないのか?

実はそうではない。生まれ持った運ではなく、“脳の使い方”によるものだ。これから紹介する方法を試してもらえれば、あなたの運が大幅に改善されることになる。

トップ営業とダメ営業、同じお客様を接客しても成果が変わる?

私は大学の営業の授業で“カクテルパーティー効果”について紹介することがある。カクテルパーティー効果とは“ガヤガヤとうるさい状況でも自分の興味があるもの、関連する事柄は聞き取れる”という効果だ。人は必要な情報を選択的に聴取しているのだ。

カクテルパーティー効果には、脳機能のひとつの脳幹網様体賦活系(のうかんもんようたいふかつけい)が大きく関係している。この脳幹網様体賦活系が“興味のある情報だけを取り込む”といった働きをつかさどっているのだ。

具体例をあげる。

たとえばあなたが「オーガニックな生活のほうが健康に良い」と思ったとする。とたんに、オーガニックの食材や、オーガニックの料理教室のSNSなどが目につくだろう。さらには人と話をしていても「最近、オーガニックの食材にこだわる人が多くなったな」と感じるはずだ。意識せずにどんどん情報が集まってくるようになる。

これは脳幹網様体賦活系からの指令によるものだ。

こういった“興味のある情報にフォーカスする機能”はどなたにももれなく備わっている。ただし、無意識に作用するため、使い方に十分注意をしなくてはならない。

仮に何気なくニュースを見ていて「人口が減っていくし、ますます家を建てる人が少なくなるだろうな」と思ってしまったとする。そう思っていれば、脳幹網様体賦活系はその情報を集め出す。気がつけば「この職種は先細っていくばかりだ。私が努力しても無駄だな」といったネガティブ情報でいっぱいになっていく。

こうなれば仕事がうまくいかなくなるのも当然だろう。

ダメ営業スタッフ時代の私は「どうせ冷やかし客ばかりだろう」と思いながら接客をしていた。するとお客様のマイナス面だけが記憶に残るように。お客様のちょっとした言葉や行動で「これは見込みの薄いお客様。ダメだな」と判断していた。これでは結果が出るはずもない。

一方、トップ営業スタッフは「休日にわざわざ足を運んで来店するんだから、良いお客様に決まっている」と考える。すると脳はお客様の良い部分を自動的に探し出し、前向きにとらえる。こうして良い結果につなげているのだ。

要するに同じお客様だとしても、ある営業スタッフが接客すれば“良いお客様”になり、別の営業スタッフが接客すれば“冷やかし客”になってしまう。

営業ノウハウではなく、考え方の違いが結果を大きく左右するということだ。良い人や良い情報が集まってくる人は“自分には良い人や良い情報が集まってくる”と思っているだけ。それを理解すれば一気に道は開ける。

あなたの持っている脳の機能はあなたが思って以上にパワーがある。

運の悪さ、営業センスのなさを嘆く前に“脳にどんな指令を出しているか?”をチェックしてほしい。正しい使い方に修正されたとき、あなたの営業成績は一気に跳ね上がるだろう。

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