「しんどいシーズン」鎌田大地がラツィオでの1年を回想…「契約内容をペラペラ喋る」とイタリア特有の文化に触れながらもクラブの評価に「僕がヨーロッパでやってきたこと」と自信

半年ぶりに日本代表に合流した鎌田大地[写真:©超ワールドサッカー]

日本代表MF鎌田大地が、ラツィオでのシーズンを振り返った。

3日、2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア2次予選を戦う日本代表が活動をスタート。メディア公開されたトレーニングは、FC東京のDF長友佑都のみが別メニューで調整となった。

トレーニングは1時間半ほどして終了。ビルドアップの確認やミニゲームなどを行い、ミャンマー対策を行っていた。

トレーニング後のメディア取材に応じた鎌田。今シーズンは新天地に赴き、苦しいシーズンにもなった中で、シーズン終盤は輝きを取り戻すこととなった。

マウリツィオ・サッリ前監督時代は苦しい時期が続いたが「練習自体も連戦が多く、なかなかインテンシティのあるトレーニングをする監督でもなかったので、自分自身でランニングメニューを入れたり、筋トレしたりとか、気持ち的にしんどいシーズンでしたが、上手くやれたかなと思いました」とコメント。苦しかったことを認めた。

一方で、シーズン途中に就任したイゴール・トゥドール監督からは信頼を得て、ポジションを確保。ボランチでの起用が増えていったが「彼自身が求めているサッカーで、ラツィオはインテンシティに負荷をかけられる選手があまりいなかったので、彼が求めている選手像に当てはまったというのもあったと思います」と語り、「出た試合で彼が求めていることをしっかりできたことが大きかったと思います」と、監督の評価が上がるパフォーマンスがしっかりできたことが良かったと振り返った。

ただ、クラブで苦しんだ結果、昨年11月を最後に代表から離れることに。アジアカップもメンバーに選ばれず、外から見守ることとなった。

「ヨーロッパに居るので試合を見ることはなかなかできなかったですけど、アジアカップに関しては自分が行けなかったですが、優勝してほしいと思っていましたし、ファンとしてじゃないですが見ていました」

あまり試合をちゃんとは見れていなかったという鎌田。それでも「アジアカップ前はチームとしても良かったので、サッカーは分からなかったなと」と、アジアでの戦いが上手くいかなかったことで、難しさも感じたという。

11月のミャンマー代表戦では負傷してしまった鎌田。半年ぶりの代表復帰となるが、今シーズンの成長した部分について語った。

「ドイツから違うリーグに行って、練習をしている中で、自分自身のレベルがラツィオのレベルじゃないとは思っていなかったです。その前に実績も残して、ステップアップとしては問題ないレベルだったと思います」

「ただ、試合に出れていないと、イタリアのサッカーに合っていないかなとか、イタリアのレベルじゃないのかなとか考えましたけど、そういうのではないことを自分自身でもハッキリさせられました」

悩んだ部分もありながら、シーズン終盤にセリエAでも問題ないパフォーマンスが出せたことで自信を取り戻したという鎌田。トゥドール監督に6番(ボランチ)の選手として評価されたことは大きかったとした。

「(サッリ)前監督の時はサッカーって難しいなと思っていましたけど、ほとんどの選手があまり良くなくて、数人が良いという感じでした。チームとして全くうまくいってなくて、僕だけじゃなかったなと」

「6番は僕がやりたかったポジションですし、トゥドール監督はそこで僕を評価してくれていました。自分と似たような感覚を持ってくれて、評価してくれる監督もいるんだなと思いました」

自身を評価してくれたトゥドール監督。監督の要望もあり、チームに残留することを決めていた中で、交渉が決裂。一転して退団することが決定した。

トゥドール監督については「監督は自分に良くしてくれていて、サインして欲しいと言われて、何度も時間を重ねて話しました。連絡も来ていて、自分も離れる時には連絡しました」とコメント。「監督とは嫌な別れ方をしていないので、今後良い巡り合わせがあれば、また一緒にやりたいと思う監督でした」と、この先のキャリアで再び指導を受けることもあり得るとした。

1年前に続いて再び所属先が決まっていない状況での代表活動。ただ、今回はクリスタル・パレス行きがほぼ確定している。

「苦労がなくて決まっていないわけではないです」と語る鎌田。「1年契約だとか、イタリアは全部契約内容をペラペラ喋っちゃいます。ラツィオは今は自分たちを守るために僕のことを色々言っていて、彼らも大変だなと思います」と、今の置かれている状況について言及。「ただ、ラツィオレベルのチームが昨年契約した形をとってでも僕を獲得したいと思ってくれることがヨーロッパでの評価で、僕がここ数年ヨーロッパでちゃんとやってきた評価だと思います」と、難しい別れになったものの、しっかりと評価されていることを喜んだ。

また「こういう状況は悪いとは思っていないです。去年は伸ばしすぎて上手くいかなかった部分があるので、今年はできるだけ早く決めたいなと思います」と語り、1年でチームを去ること自体は気にしておらず、しっかりと早くチームを決めて良いシーズンのスタートを切りたいとした。

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