【6月4日付編集日記】コンビニ半世紀

 6億年前の1日は現在でいう22時間しかなかった。月の引力で起きる潮の満ち引きから海水と海底に摩擦が起き、地球の自転速度が少しずつ遅くなっているのが原因だ

 ▼国立天文台によると、このままのペースで進んでいくと、5万年後には1秒延びることになる。計算上では、1億8千万年後に1日の長さが25時間になるというから驚きだ

 ▼コンビニの登場で、私たちの1日は確実に長くなった。1974年5月にセブン―イレブンが東京・豊洲に1号店を出店し、日本初の本格的なコンビニチェーンが誕生した。半世紀を迎え、今では生活に欠かせない存在になった

 ▼それまで真夜中に小腹がすいても冷蔵庫を見るしかなかったし、夜中のドライブのトイレ探しは大変だった。防犯にも一定の役割を果たしている。ただ食品や日用品などを扱う専門店が減少し、常連客らが立ち寄って世間話を楽しめる場が少なくなったのは否めない

 ▼セブン―イレブンが最初に24時間営業を始めたのは郡山市の店舗で、1号店出店から約1年後のこと。今でも営業を続けている。思い浮かべると、きょうも帰りに寄ってしまいそうな気分になった。文字通り便利なコンビニは、月の引力より強いのかも。

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