【6月4日~10日は「歯と口の健康週間」】大人と子どもの虫歯は違う?いつまでも自分の歯を保つために

「歯と口の健康週間」が始まりました

毎年6月4日~10日は「歯と口の健康週間」です。
口腔の健康増進を目指して厚生労働省、文部科学省、日本医師会、日本学校歯科医会が連携して毎年実施しています。

「歯と口の健康週間」の目的
・ 歯と口の健康に関する正しい知識の普及啓発
・ 歯科疾患の予防に関する適切なセルフケアの習慣定着
・ 歯科疾患の早期発見・早期治癒の徹底

大人の虫歯は子どもと違う?

歯の問題でぱっと浮かぶのは虫歯ですが、「大人の歯は子どもの歯よりも丈夫!だから虫歯になりにくい!」と思っている方もいるかもしれません。
果たして本当にそうなのでしょうか。
実は、大人の虫歯は、子どもの虫歯と主に以下の点で異なります。

大人の歯は、治療済みの歯が多く、詰め物やかぶせ物をしている歯もあり、それらの箇所から細菌が侵入し、虫歯になります。
そのため、歯とはぐきの境目に虫歯ができやすいです。
また、加齢や炎症の影響で歯の根の部分が露出すると、本来埋まっている部分が露出することになり、そこが虫歯になりやすくもあります。

噛むことが全身の健康にかかわる

ところで、歯の問題は、お口の中だけにとどまりません。
厚生労働省と日本医師会は「80歳になっても20本以上の自分の歯を保っていよう」と「8020運動」を推進しています。
20本以上の歯があれば、満足な食生活を営むことができると考えられています。
そして、自分の歯で噛めることは、咀嚼以外にも大きくかかわります。
噛むことで唾液の分泌量が増え、消化を促す、また、脳への刺激となり、認知症の予防につながるメリットがあるのです。
これに対して、噛めない状態になると、やわらかいものばかり食べるようになります。
やわらかくて食べやすいものは炭水化物が多いのです。
一方で、たんぱく質は、噛み応えのある食材が多いことから、やわらかいもの中心の食事では、たんぱく質が不足しがちです。
たんぱく質は、筋肉のもとになる栄養素ですので、全身の筋力低下につながる心配があります。
噛むために必要なのも筋力です。その筋力が低下し、さらに噛む力が衰えるといった悪循環に陥りやすくなります。
つまり口腔内の健康は、全身の健康を保つためにも重要なのです。

オーラルフレイルってなに?

また、口腔内の健康について、最近では「オーラルフレイル」が注目を集めています。
フレイルとは、「虚弱」を意味し、健康な状態と要介護状態の中間を指しています。
フレイルは大きく3つに分かれます。

1つ目は、身体的フレイルです。
運動器の障害で移動機能が低下したり、筋肉が衰えたりするなどが代表的な例です。
加齢とともに、筋力は自然と低下していきます。
2つ目は、精神・心理的フレイルです。
高齢になり、定年退職やパートナーを失ったりすることで引き起こされる、うつ状態や軽度の認知症の状態などを指します。
3つ目は、社会的フレイルです。
加齢に伴って社会とのつながりが希薄化することで生じる、独居や経済的困窮の状態などをいいます。

これらの3つのフレイルが連鎖していくことで、自立度の低下は急速に進みます。
この連鎖はどこが入り口になるかは、その人次第です。
老いとは、決して身体の問題だけではないのです。

そして、これらに加えてオーラルフレイルという概念があります。
オーラルフレイルは、口の機能の健常な状態と口の機能低下との間にある状態です。
噛みにくい、食べこぼす、むせる、滑舌の低下などのオーラルフレイルの症状は、口の衰えでありますが、改善可能な状態です。
つまり、早期にオーラルフレイルの兆候を評価して適切な対策を⾏うことにより、機能低下を緩やかにして、改善する可能性を高めることができるのです。

オーラルフレイルは、簡単にセルフチェックをすることができます。

以下の、5つの項目のうち「該当」が2つ以上あるとオーラルフレイルです。

痛みや困りごとがないと、放置しがちなお口の健康、この機会に見直してみてください。

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