サイバーダイン HAL、マレーシアに65台 国立センター 単一施設で最多納入 茨城

ロボットスーツ「HAL」の前に立つ山海嘉之社長(左)とマレーシアのスティーブン・シム大臣=つくば市学園南

体の動きを補助するロボットスーツ「HAL(ハル)」を製造販売するサイバーダイン(茨城県つくば市、山海嘉之社長)は、マレーシアの政府系機関「従業員社会保障機構(SOCSO、ソクソ)」から、HALの大型契約を受注した。同国で建設中の国立神経ロボット・サイバニクス・リハビリテーションセンターに65台を5年間レンタル契約で納入する。同社によると、単一施設への納入台数としては過去最多という。

納入するのは医療用HAL下肢タイプと単関節タイプ、介護自立支援用の腰タイプの3種類。

下肢タイプは脊髄損傷で下半身がまひした患者や、寝たきりなどで筋力が衰えた患者のリハビリなどに使う。単関節は肘や膝など関節部位の集中的なリハビリに使用。腰タイプは足腰が弱った人などを対象に、体幹・下肢機能の維持向上を目的に用いる。

サイバーダインによると、国外でのHAL納入台数はマレーシアが最多で、現在は12の医療施設で計114台が稼働している。

13施設目となる今回の国立センターは、同国北部の都市イポで第1期の建設工事が進んでおり、11月に稼働する予定。広さ15.6ヘクタール、総床面積8万6400平方メートルで、SOCSOが運営する医療施設としては東南アジアで最大。約700人の患者を収容することが可能という。

5月23日に同国の政府関係者らがサイバーダイン本社を訪れ、山海社長と会談。建設中の国立センターにHALを大量導入する意向を表明した。

席上、同国人的資源省のスティーブン・シム大臣は「HALを導入したマレーシアの施設では、障害のある患者が歩けるようになり、社会復帰している。今後も周辺地域の人々にサイバーダインの技術を提供し、貢献していく」と力強く語った。

山海社長は「HALを使うことによって介護の社会的コストの低減が期待される。今回の会談で、マレーシア側の熱い思いが伝わった。今後も後押ししていきたい」と述べた。

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