猫のケージに落ちていた“白ゴマ”の正体は?室内飼いでも要注意な寄生虫|獣医師解説

ノミから感染しやすい寄生虫の一種「瓜実(うりざね)条虫」。猫の習性である毛づくろいの際にノミをなめることで、瓜実条虫に寄生されることが多いようです。
今回は獣医師の小林清佳先生が、猫に寄生しやすい条虫の種類や特徴について解説。瓜実条虫に関する飼い主さんの実体験もあわせてご紹介します。

実録エピソード:ケージに落ちていた“白ゴマ”

イラスト/おぐらなおみ 「ねこのきもち」2024年4月号『成猫も、室内飼いも油断できない! 実録 寄生虫13のエピソード』

愛猫を保護して約1カ月後、ケージの中に白ゴマのようなものを確認。現物持参で調べてもらうと瓜実条虫と診断されました。
獣医さんから、体に付いたノミを毛づくろいして飲み込み、ノミの体内にいた条虫が成虫になり、その一部が排便後におしりから出てきたのだろうと説明がありました。駆虫薬を注射してもらい完治しましたが、現在も飼い主がノミを家に持ち込む可能性があると思い、毎月駆虫薬を投与しています。
(オス・推定7才 ※瓜実条虫が見つかったのは推定3才当時。)

解説:猫に寄生しやすい条虫3種類

引用元:rai/gettyimages

条虫の種類は数多くありますが、おもに猫に寄生するのは下の3つ。なかでも瓜実条虫が多く見られます。

瓜実条虫:中間宿主(幼虫が寄生する宿主)はノミなどです。成虫は60cmほどになります。
マンソン裂頭条虫条虫:中間宿主はカエル・ヘビです。平べったいヒモ状で1mを超える成虫もいます。
猫条虫:中間宿主はネズミです。猫の体内で成長すると長さ30~60cmになります。

解説:条虫について

引用元:csakisti/gettyimages

条虫には、それぞれの種に固有の中間宿主がいるのが特徴です。条虫の幼虫を宿したノミ・カエル・ネズミなどを猫が口にすることで感染します。猫は毛づくろいをするので、その際にノミをなめとって瓜実条虫に寄生されるケースが多いです。また、外暮らしの経験がある猫はカエルやネズミを捕食し、マンソン裂頭条虫や猫条虫に寄生される場合もあるでしょう。

さまざまな条虫があり気をつけなければいけませんが、なかでも瓜実条虫は室内飼いの猫でも寄生されてしまう可能性があります。駆虫薬の投与など、日頃から寄生虫対策を行っておくことが大事ですね。

お話を伺った先生/小林清佳先生(モノカどうぶつ病院院長)
参考/「ねこのきもち」2024年4月号『成猫も、室内飼いも油断できない! 実録 寄生虫13のエピソード』
イラスト/おぐらなおみ
文/宮田あゆみ
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。

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