AOI Pro.コント公演『混頓vol.3』 伊藤夏恵×黒澤優介 プロデューサー クロストーク

新作書き下ろしオムニバスコント第三弾AOI Pro.コント公演『混頓vol.3』が、6月7日〜6月9日 TOKYO FMホールにて上演される。
主催・企画は、CMをはじめとする映像の企画・演出・制作を行うアジアトップクラスのプロダクションであるAOI Pro.において、映画『怪物』(東宝・ギャガ配給/2023年)やドラマ『Destiny』(テレビ朝日系/毎週火曜よる9時〜放送中)、『366日』(フジテレビ系/毎週月曜よる9時〜放送中)など、これまで多くの劇場映画、テレビドラマの制作を担当したエンタテインメントコンテンツプロデュース部。AOI Pro.は、2023年から本格的に演劇事業に参入、シリーズ第一弾となる『混頓vol.1』はシアターマーキュリー新宿にて2023年10月に上演、すぐに同劇場で第二弾『混頓vol.2』が上演され、vol.1・vol.2ともに、津田健次郎がアナウンス出演し、会場を沸かせた。 そして第三弾となる『混頓vol.3』より、TOKYO FMとの共催が決定し、会場もTOKYO FMホールに規模を拡大、さらにパワーアップ。1作目の脚本・演出はお笑いコンビ ラブレターズ・塚本直毅、『生徒の宝くじ』、2作目の脚本・演出には「桃尻犬」主宰の野田慈伸、『友達に戻れたことなんてない』。幕間にコントドラマ『お相手は、村松薫でした。』が上映される。主演に津田健次郎、共演に井桁弘恵、かもめんたる・槙尾ユウスケなど、『混頓』シリーズの豪華俳優陣が出演。脚本はハナコ・秋山寛貴、前野朋哉が監督。ユニークで柔軟な発想の『混頓』、プロデューサーの伊藤夏恵さん、黒澤優介さんのインタビューが実現、企画のきっかけや次回公演『混頓vol.3』の見どころなどを語っていただいた。

ーー企画の発端、きっかけ、どこからイメージが湧いたかをお願いいたします。

黒澤:弊社(AOI Pro.)が昨年から演劇事業に力を入れてやるようになりまして、最初に昨年の4月に篠原涼子さん主演で『したいとか、したくないとかの話じゃない』という足立紳さん原作の朗読劇をやらせていただいたところから本格的始動いたしました。朗読劇シリーズとしては、そのあとは『461個の弁当は、親父と息子の男の約束。』を上演しましたが、映像と朗読劇の組み合わせに力を入れてやらせていただいてます。『混頓』公演に関しては昨年、新宿マルイ8階のシアターマーキュリーで、実験的に、手軽に演劇をもう少し敷居を低く楽しんでいただきたいなと、キャパも130と小さい劇場で、30分2本立てなら割と観やすく、来ていただけるのでは? ということで、『混頓』、コントからちょっともじったシリーズを作りました。あとは「AOI biotope」という若手クリエイターのマネジメントを弊社伊藤が担当していまして、例えばbiotopeの劇作家とお笑い芸人さんとの組み合わせ、さらに今回はドラマにも出演していただきますが、ナビゲーターで津田健次郎さん、そして幕間で若手の芸人さんが出演、もう、ごっちゃまぜ、異業種格闘技じゃないですけれども、いろんな人が出ていろんな人が楽しめる組み合わせで…それで部内で話し合って『混頓』というネーミングに。

伊藤:最初は普通のいわゆる「混沌とした」の「混沌」で考えていたんですけど、オリジナリティのあるネーミングにしたいよねという話になり、部長が頓知の「頓」はどうだろうと…。頓知の頓ということで『混頓』…オリジナリティのある良い名前になったなと思っています。演劇って結構、敷居が高いというか、映画みたいに気軽に足を運びづらいところがあるなと思っていて。「笑い」の力を借りて、皆さんに気軽に見に来ていただける演劇、そういうものを目指していけたらと思っていましたので、毎回2本の新作コントを作って、トークショーでお客さんと乾杯したり、若手芸人のネタ見せを入れてみたり。俳優さん、声優さん、芸人さん、タレントさんなど、さまざまな場所で活躍されている方が集結して、今まで見たことのないイベントにできたらと思っています。

ーー去年、vol.2を拝見いたしました。今のお話をお伺いして、「こんとん」の「こん」は混ざる「混」、「とん」は頓知の「頓」、コメディ的、それと”こんとん”、コントとかけてるのかな?ということと、いろんなもの、人たち、ジャンルなどが混ざってる、そういう意味合いで『混頓』で合ってますか?

黒澤・伊藤:正解です。

ーー先日拝見させていただいた映像、津田健次郎さん主演の『お相手は、村松薫でした。』、これは今回「混頓vol.3」の幕間に登場する映像ですね。

黒澤:はい。今年からTOKYO FMさんと共催になりまして、キャパ130のシアターマーキュリーからおよそ倍になるTOKYO FMホールで、今までのものにちょっとプラスをしていかないと、パワーアップしたものにはならないよねと。また弊社が映像制作会社なので、ドラマを作ったらいいんじゃないかということで、できたら一つのシリーズとしてお客様に楽しんでいただけたら嬉しいなと思って制作いたしました。この映像は30分の2本立てコントの幕間ドラマとして上映する形になりますが、TOKYO FMさんと組むということで、物語の舞台をラジオブースにしたワンシチュエーションドラマで。津田さんが演じる消防設備士がラジオのパーソナリティに抜擢されるっていう、ちょっと意味がわかんない話なんですけど(笑)、ハナコ・秋山寛貴さんに書いていただきました。かなり面白い仕上がりになったかなと。

伊藤:vol.1で出ていただいた井桁弘恵さんとかもめんたる・槙尾ユウスケさんが映像の方でカムバックする、『混頓』のブランド的にもこれまでの公演を観てくださったお客さんにも面白がっていただけるような仕掛けになっています。

ーーvol.2の公演を見たときにストーリーよりも登場人物たちのやり取りとか、それからその人の気持ち、心理状況を気軽に楽しんでみるっていう感じかな?と。

伊藤:作品に関しては毎回そうなんですが、vol.1の『え・ちけっと』は元々お笑い芸人だった作家の金沢知樹さんに作・演出していただき、もう一方の『ティーチ・イン』は演劇、映像などで活動されている大野大輔さんで、それぞれ別の視点からアプローチされていて、即興的な会話の応酬を楽しんでいただく作品と、緻密に計算された台詞の妙を楽しんでいただく作品とで、全く違うものが出来上がっていました。今回のvol.3も、演劇で活躍されている桃尻犬の野田慈伸さんの『友達に戻れたことなんてない』と、お笑いコンビラブレターズ・塚本直毅さんの『生徒の宝くじ』の2本、それぞれのクリエイターの持ち味が存分に生かされている作品になっています。野田慈伸さんは一見ありえない設定や会話を、「本当にありそう」と思わせてくれる絶妙な会話劇が魅力で、登場人物たちのやりとりの「妙」を楽しんでいただきたいです。

ーー構えないで観る感じですよね。

黒澤:もう手ぶらで来ていただいて。

伊藤:事前情報なしの手ぶらで来ていただいても楽しんでもらえるように作ってみたいなと思ってます。

ーー先ほどもちょっと出ましたけれども、今回のvol.3の見どころ、ネタバレにならないスレスレで観てほしいポイントを。

黒澤:塚本直毅さんの方はしっかり手の込んだコント、お笑い芸人さんが書いてくださった世界観、さらにココリコの田中直樹さんに今回ご出演いただけるので。実績のある田中さんと塚本さん、お2人がどんな化学反応を起こしてくださるのかは一つの見どころでしょうか。あとは宇垣美里さんが今回舞台初出演、元TBSアナウンサーでとても知的な方ですが、これまでの彼女に対する固定概念、イメージをちょっと覆すような台本になっていると思うので、そこは一つ、楽しみにしていただけたら。

伊藤:新木宏典さんの役柄も、これまで演じてこられた役柄とはちょっと違った役になってくるかなと、ご期待いただければと思います。北野日奈子さんは物語を動かす役ですね。

黒澤:強烈な役で(笑)。

伊藤:そうなんですよね。どの方のファンでも、何か新しい一面が見られるかなと思います。

黒澤:ストーカーと言っていいのかな?新木さんはあるストーカーを演じていただくので…とても格好良い方なのでちょっとそこは我々もドキドキしておりますね。一つの見どころとして新たな一面が見られるかもしれないですね。

伊藤:皆さん2役演じられるので、お得感と言いましょうか、作品が2つあって、さらにトークショーがあったり、お笑い芸人のコントが入ってきたり、ドラマ(『お相手は、村松薫でした。』)も今回挟まってくるので、ボリュームたっぷりで見応えがあると思います。

ーー稽古は?

伊藤:稽古は本当に、初日からとても面白くて。本読みの時点で、スタッフの笑い声が稽古場に響いていました。脚本打ち合わせで私たちは何度も事前に読んではいるんですが、やはりキャストさんが実際に読むと全然違いますね。

黒澤:もちろん、読むだけでしっかり笑えるようにできているのですが、より笑い所が明確になると言いますか…。特にココリコ・田中さんの間や言い方が絶妙で、しかも何度も同じシーンを繰り返しても、さっきとは違うパターンだったりするんですよ。引き出しの多さというか、芸人さんならではの遊び心で、稽古場全体を引っ張っていただいている感じがしますね。

伊藤:宇垣さんは今回舞台初挑戦となるのですが、すでにコントの間合いや、笑いに繋がる細やかなお芝居を体現していらっしゃるのがとても印象的です。宇垣さんの喜怒哀楽を一気に見られるのは、『混頓』だけだと思います!(笑)

黒澤:北野さんは4人の中で、2作品での振り幅が一番あるかもしれないですね。塚本さんの方では真面目な数学教師の役なのですが、真面目さゆえに出てくる面白さが、北野さんならではだなと感じます。台本に出てくる気になった言葉を事前に調べてきたりと、稽古への真っ直ぐな姿勢が印象的ですね。

伊藤:新木さんは2作品とも愛すべきキャラクターというか、滅茶苦茶ながら憎めない感じがいいですね。今回歌唱シーンがあるのですが、最初の本読みで新木さんが歌い始めた途端、上手すぎて逆の意味で笑いが起きてました。

黒澤:稽古序盤から、「これは面白くなるぞ…!」という空気が流れているのは、何よりも嬉しいですね。

ーーvol.1とvol.2に出演した方々からの感想は?

伊藤:まだ2回しかやっていませんが、「すでにファミリー感あるね」と。これまで出演された方々やクリエイターが集まって、交流を深めたりもしているので、終わってからも続いている感覚があるんだと思います。すごくありがたいことだと思いますし、そういうご縁もあって、これからもファミリー感は強めていきたいですし、継続して携わっていただける作品になったらいいなと思っています。また、芸人さんの間でも認知され始めているようなので、『混頓』ブランドとしてはもう少し大きくしていきたいですね。

黒澤:井桁弘恵さんには今回は映像で参加していただきましたが、『混頓』が何かしらいいきっかけになっているんだったら嬉しいなと思って拝見してました。それこそ槙尾ユウスケさんも、今回ドラマに出ていただいてますが、芸人さんの中でも(参加を)待ってくださってる人がいると聞くと…嬉しく思います。そしてvol.10までは、なんとか続けていきたいなと思っています。実は来年に向けて粛々と進行しておりまして、ありがたいことにかなり注目度のある方も今、手を挙げてくださったりしているので、ちょっとずつこの『混頓』ブランドが認知されていくといいなと思います。

伊藤:本当に少しずつですが、ファンを獲得できたらいいなと思ってます。

ーー出演している方が楽しんでるのは、見ている方もなんか楽しくなれますね。

伊藤:トークショーでは、毎回感想戦をやっていて、コントということもあってアドリブが多かったので、毎回違う話題が上がってそれもとても面白いです。vol.2では堀田茜さんのアドリブにみんなが笑いをこらえられなくなっちゃったりとかしていて、盛り上がっていましたね。トークショーの前に乾杯をしてお客さまも巻き込んで、会場の雰囲気はかなり良いです。vol.3は会場が変わりますけど、そのテンションは残して一体感を出していきたいと思います。

ーーやっぱり楽しいのが一番いいですね。

伊藤:そうですね。皆さん、体を張ってやってくださっていますね。

ーー最後にメッセージを。

黒澤:今回TOKYO FMさんとご一緒させていただきますし、認知を広げていきたい…これからどんどん間口を広げていきたい、舞台だけの切り口じゃなくて、せっかく弊社が映像制作をやっておりますので、今までとは違ったアプローチで『混頓』ブランドをちょっとずつ大きくしていきたいなと思っております。ご期待ください。

伊藤:vol.3からは劇中コントドラマが加わって、主演として津田健次郎さんや、井桁弘恵さん、かもめんたる・槙尾ユウスケさんがカムバックするということで、さらにパワーアップしたものをお届けできると思います。我々は映像制作会社ですし、ドラマ、映画を最前線で制作している制作プロダクションとして自信を持ってお見せできるコントドラマができたと思っていますので、ご観劇を迷われてる方も、後悔はさせませんのでぜひ、お越しください。

ーーありがとうございました。公演を楽しみにしています。

前回公演レポ記事

伊藤夏恵(AOI Pro.)
1993年生まれ、東京都出身。日本大学藝術学部演劇学科卒業後、シーエイティプロデュースで舞台制作を学ぶ。現在はAOI Pro.にて演劇作品の企画プロデュース及びクリエイターチームAOI biotopeのマネジメントを担当している。

黒澤優介(AOI Pro.)
1997年生まれ、神奈川県出身。2018年、木曜劇場「隣の家族は青く見える」(フジテレビ系)にて俳優デビュー後、「キワドい2人–K2–」(TBS系)、「相棒 season20」(テレビ朝日系)、「ブラックファミリア~新堂家の復讐~」(読売テレビ)等に出演。2023年、「かりあげクン」(BS松竹東急)にて連続テレビドラマを初プロデュースした以降、現在はAOI Pro.にてテレビドラマ・演劇作品を中心にプロデュースを担当している。

概要
AOI Pro.コント公演『混頓vol.3』
日程・会場:2024年6月7日(金) 〜 6月9日(日) 全6公演 TOKYO FMホール
脚本・演出:塚本直毅(ラブレターズ) / 野田慈伸(桃尻犬)
出演:宇垣美里 北野日奈子 新木宏典 田中直樹(ココリコ)
チーフプロデューサー:代情明彦 松任谷玉子(TOKYO FM)
プロデューサー:伊藤夏恵 黒澤優介 植田真作(TOKYO FM) 野々村昌毅(TOKYO FM)
協力プロデューサー:吉田和睦(ナナガツ) 小松香織(TOKYO FM)
アシスタントプロデューサー:大下沙綾 鈴木伊織 涌井恵美子 広報:大髙日菜子
主催/企画・製作:AOI Pro.
共催:TOKYO FM

公演公式HP:https://aoi-conton.com/conton3/

公演公式X(旧Twitter):https://x.com/aoi_conton

取材・文:高浩美

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