1年前、部員8人でスタートしたチームがはい上がった。ハンドボール女子の純心女が21年ぶりに長崎県王座に返り咲いた。決勝で佐世保商に22-20で競り勝った後、目を真っ赤に染めた石崎監督が選手たちに言った。「ようやった。ありがとう…」。うなずく選手たちの頬を涙がつたった。
7人で試合をするハンドボール。部員8人では試合形式の練習などできない。「正直、あのころは県で勝てるなんて考えていなかった」。主将の小笹をはじめ、みんなそう思っていた。2対2のディフェンス、苦しい走り込み…。やれることはやってきたが、自信は持てなかった。
そんな小所帯に今春、6人の新入生が入部。控え選手ができて余裕が生まれた。結果、4月の県春季選手権で優勝を飾ると、最大の目標だった今大会も快進撃。「石崎先生を全国へ連れていく」。そう結束したチームは、ぶれずに前へ進んだ。
この日の決勝は大接戦となったが、鍛え上げてきた守備は崩れなかった。エース小笹、右バック髙橋を軸に得点を重ねた。圧巻だったのは16-16の後半17分から、小笹が決めた3連続ゴール。このリードを守り切り、歓喜の瞬間を迎えた。
今回の勝利は石崎監督にとって特別な意味があった。約2年前、コーチをしていた長男が他界。この日は長男が着ていたユニホームをバッグに入れて試合に臨み、最高の結果を出した。「力を貸してもらった、勝たせてもらった…」。そう言葉にすると、また、涙があふれた。
純心女が21年ぶり制覇! ハンドボール女子 チーム結束、ぶれずに前へ 長崎県高総体第3日
- Published
- 2024/06/04 11:24 (JST)
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