長崎の原爆死没者名簿 筆耕始まる 3300人分、平和式典で奉安

原爆死没者の名前を名簿に書き入れる森田さん=長崎市役所

 長崎原爆の日(8月9日)の平和祈念式典で新たに奉安する原爆死没者名簿の「筆耕」が3日、長崎市役所で始まった。昨年8月から今年7月末までに死亡が確認された被爆者ら約3300人分の氏名、享年、命日を書き入れる。
 書道講師で被爆2世の森田孝子さん(76)=同市葉山2丁目=が担当し、今年で23年目。「被爆者の悲痛な叫びにもかかわらず、世界では戦争が続いている。ご冥福をお祈りしながら奉安に向けて(筆耕に)臨みたい。平和への思いを込めて筆耕できることを誇らしく思う」と語った。
 今年の名簿には、昨年亡くなった叔母の名前が含まれるといい、「どの方も安らかに眠ってほしいと同じ気持ちで向き合うが、(叔母の)名前を書ける喜びはある」とかみしめた。
 原爆死没者名簿は1968年から作成。2018年からは国の指定地域外で原爆に遭った「被爆体験者」も対象に加えている。昨年までに累計19万5704人分(広島原爆の97人含む)を奉安。身元不明犠牲者のために用意された無記名の1冊を含む計200冊が国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館に納められている。

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