長崎平和祈念式典 イスラエルの招請見合わせ 市、抗議など「不測の事態」恐れ

 長崎市が長崎原爆の日(8月9日)に開く平和祈念式典を巡り、鈴木史朗市長は3日、イスラエルの招請を現時点で見合わせると発表した。同国によるパレスチナ自治区ガザへの攻撃に反発する国際世論などを踏まえ、式典中の抗議や妨害など「不測の事態」が生じる恐れがあると判断。停戦交渉などの推移次第で、今後招く可能性も残した。
 一方、ウクライナ侵攻を続けるロシアと同盟国ベラルーシについては、3年連続で招かない決定をしたと明らかにした。状況改善が見られず、式典運営上の懸念があるとしている。
 この3カ国を除く153カ国と欧州連合(EU)の駐日大使らには、近日中に招請状を発送する。イスラエル大使館には、代わりに鈴木市長名の書簡を送り、即時停戦を求めることや招請を見合わせている理由などを伝えるという。
 鈴木市長は3日の臨時会見で、イスラエルについて「情勢が日々変化しており推移を見極める必要があるため、招請状発送を保留する」と説明。招請するかどうかを最終的に判断する期限は示さなかった。会見では、式典まで残り2カ月しかなく、今年の招請は事実上難しいのではないかとの質問も複数上がったが、鈴木市長は「状況を見ながら(式典の)主催者として総合的に判断したい」と述べるにとどめた。
 広島市は8月6日に開く平和記念式典にロシアとベラルーシを招かない一方で、イスラエルは招き、招待状に一刻も早い停戦を求めるメッセージを記した。

© 株式会社長崎新聞社