過熱する週刊誌の「皇室バッシング」報道は単なる“品位を貶める嫌がらせ”か

今週の注目記事・1「皇室内幕『美智子さま(89)口出し報道』皇后雅子さま(60)静かなる怒り」(『女性セブン』6/13日号)「『ライバルは10人』悠仁さま東大推薦に暗雲」(『週刊文春』6/6日号)「不運急を告げる『佳子さま』の『ご結婚』渦中の『島津家』は逃げたがり…」(『週刊新潮』6/6日号)
同・2「『やす子“深夜の恐怖指導”で私は自衛隊を辞めました』」(『週刊文春』6/6日号)
同・3「能登のシンボル『輪島朝市』で『訴訟合戦』『罵り合い』『義援金分裂』の泥沼内紛」(『週刊新潮』6/6日号)
同・4「日本の寺と神社が中国人に買われている」(『週刊現代』6/8・15日号)
同・5「麻生太郎副総裁の嘘を暴く」(『週刊文春』6/6日号)
同・6「イラン大統領墜落死の衝撃」(『ニューズウィーク日本版』6/4日号)
同・7「緑のたぬき『小池都知事』を真っ青にさせた『蓮舫』女傑対決の勝機」(『週刊新潮』6/6日号)
同・8「『選挙のプロ』による 最新“総選挙”予測 薄氷の攻防 自民単独過半数割れ」(『サンデー毎日』6/9日号)
同・9「追悼 中尾彬 遺言は『延命治療はやるな』池波志乃独占告白60分」(『週刊文春』6/6日号)

【巻末付録】現代のSEXYグラビア採点!

もう毎週のことでいい飽きたが、今週もこれはという記事がない。だが、皇室記事、秋篠宮家の佳子さんの結婚話や悠仁さんの東大推薦入学への批判は多くみられた。

皇室情報の多くは週刊誌情報である。それが“意図的”に特定の皇族の負の情報を拡散することは由々しき問題だと思うが、それについては後で触れるとして早速いこう。

中尾彬が亡くなった。享年81。

私が思っていた以上に中尾の追悼記事が週刊誌でも多く見られる。豪放磊落に見えて繊細な感覚を持ち、画家としても名を成し、ユーモアのセンスも持ち合わせている俳優はそういるものではないから、当然なんだろう。

文春では、中尾の妻で、落語家・古今亭馬生の娘、古今亭志ん生の孫である池波志乃がインタビューに答えている。

中尾は千葉県木更津市出身。武蔵野美術大学在学中に「日活第五期ニューフェイス」に合格。

その後『劇団民藝』に入団している。

私生活では1970年に女優の茅島成美と結婚して長男にも恵まれたが離婚。その後、1978年に池波と結婚。以来、芸能界一のおしどり夫婦として46年間、共に生きてきた。

池波は、生前、中尾が文春が好きで定期購読していたのでインタビューに応じたといっている。

中尾は洒脱な話っぷりで人気で、グルメとしても知られていた。だが、2007年に急性肺炎で入院し、一時は生存率20%といわれたが、回復した。

だが、今年に入り足腰が悪くなり、体力も落ちていったという。

5月に入ってからは、腰が痛くて車に乗り降りするのも辛くなり、訪問治療が可能なところを紹介してもらったところだったそうだ。

そして最後は、

「よく『眠るように亡くなる』って言いますけど、嘘っぽいフレーズじゃないですか? 実際に看取るまではそう思っていました。けれど、本当に眠るようにとしか表現できないものです。『ウッ』と苦しむこともなく、顔つきもいつもと変わっていない。これが中尾彬の最後でした」

うらやましい。よく、死の苦しみという表現があるが、私も多くの苦しみながら亡くなっていく人たちを見てきた。

今は、緩和ケアというのが進んでいるというから、昔のように激しい痛みに苦しむことはないのかもしれないが、それでも、死をそう遠くないものとして感じている私は、眠るように死ねたらといつも思っている。

中尾というと、昔、吉永小百合が渡哲也と結婚したいのに、父親に大反対されていたとき、相談したのが中尾だった。

私は、小百合と中尾の仲を怪しんでいるのだが、中尾もそれらしきことをいっていた記憶がある。

ともあれ、若いときは悪人面をしていたが、包容力のある人間だったようである。

一年中、首にねじねじといわれるスカーフ(?)を巻き、うまいものを食べ、女に不自由しないで、最後はおしどりといわれる夫婦仲で眠るがごとく逝ったようだ。

台東区谷中にある中尾の墓には、小津安二郎と同じように「無」と刻まれているという。

また、心をほっとさせてくれる俳優が消えてしまった。寂しい。

次は、サンデー毎日の総選挙予測。

選挙プランナーの三浦博史が担当している。まあ、どこの予測でも大きく自民党が議席を減らすと予測しているが、三浦も同じに見ている。

「自民はやはり大きく議席を減らす。現有258議席から小選挙区で37減、比例で13減の計50議席減。208議席となり、過半数(233議席)を下回る結果に。自民が政権交代以外で単独過半数割れすれば、小泉純一郎氏が首相だった2003年以来となる」(サンデー毎日)

自民党と連立を組む公明党も小選挙区で1議席減、比例で2議席減の3議席減で、かろうじて過半数を上回るものの、政権運営は混迷を深めると見ている。

野党の立憲民主党は31議席増やすと見ているが、第一党の座ははるかに遠い。日本維新の会は14議席増で55議席。

となれば、自民党はなりふり構わず、公明党を退けて維新に手を伸ばすということも考えられる。

どっちつかずの維新だから、易々と自民党と手を組むということは考えられる。

政局は混迷を極め、自民分裂という事態も考えられるのではないか。

ここへきて、解散総選挙は来年だという見方も出てきている。当然、岸田文雄は首相の座から降ろされてしまうが、はて、誰が次の首相になるのだろうか?

もはや、自民党は内部分裂を来しているのだから、誰がなってもまた、また、短期政権で終わることになる。

こうなったら、国民側が「こういう政策をとれ」と提示していくことしか、道はないのではないか。

だが、そのためには健全なメディア、ジャーナリズムが必須だが、今の新聞では、それを期待するのは無理というものだろう。

この国は、何もできないまま、元の三流国に後戻りするしかない。そう私は思っている。三流の国民に三流の政治家。それでも戦争に巻き込まれなければ、心静かに生きていけるのではないか。

今こそ、平和憲法を厳守し、貧しいけれど世界の人たちと手を携え、仲良く暮らしていくという選択肢を取るべきだ。また、日本の生きる道は、それしかないと強く思う。

さて、立憲民主党の蓮舫議員が、都知事3期目を目指す小池百合子に挑戦状を叩きつけた。

小池都政に飽いた東京都民が雪崩を打ったように蓮舫支持に回るかといえば、そうことは簡単ではない。

だが、1期、2期は、有力な対抗馬が出ず大勝した小池だが、今度ばかりは、自身の「カイロ大学卒は嘘だという疑惑」もあり、元側近たちの“反乱”が広がりつつあるから、この行方がどうなるのか、小池は内心、不安なことだろう。

選挙公報に小池がこれまでのように「カイロ大卒」と書けば、公職選挙法違反で刑事告発すると元側近の小島敏郎はいっているから、ぎりぎりまで出馬宣言を延ばすのだろうが、それがかえって疑惑を深めることになるのではないか。

この2人、テレビのキャスターまがいの経験者であることも共通している。

蓮舫は、クラリオンガールでデビューした頃は、ハイレグの水着姿を晒し、写真集まで出しているから、小池より美人度では勝っているようだ。

だが彼女も、参院議員時代に、覚せい剤使用で有罪判決を受け執行猶予中の不動産会社の元社長らと青森のねぶた祭に行っていたことが発覚したり、2016年には台湾との二重国籍問題で説明が二転、三転して、就任から1年経たずに民進党代表の座から降りてしまっているなど、小池に劣らず疑惑の“デパート”なのである。

この女の決戦、注目を集めることは間違いない。私の予測としては、僅差だが、小池都政に倦んでいる都民は、蓮舫の可能性に期待するほうが多いと見ている。

だが、どちらも、疑惑を抱え、問題発言も多いことから、どっちに転ぶのか、最後までもつれそうな気がする。

ところで、5月19日、イランのイブラヒム・ライシ大統領とホセイン・アミール・アブドラヒアン外相ら8人を乗せたヘリコプターがアゼルバイジャン国境に近い山岳地帯で墜落し、全員が死亡したというニュースは、日本にも大きな衝撃を与えた。

イランとアメリカとの関係を考えれば、この事故に、アメリカのCIAが関与していたのではないか? そうでなくても、イラン側は次の大統領が決まれば、この事故にアメリカが関わっていたといい出し、何らかの報復に出る可能性があるのではないか。

そうなれば、ウクライナ戦争、イスラエルとハマスの戦争に加えて、第三次世界大戦の様相が極めて濃くなる。

果たしでどうなのか。ニューズウィーク日本版を見て見よう。

グレン・カール(本誌コラムニスト、元CIA工作員)がこう書いている。

「この事故により、イランがさらに窮地に陥り、そして中東がもっと危険になるのは間違いない。次の政権はイラン社会にイスラム法の厳格な解釈を課し続ける可能性も高い。
『イスラエルに死を』『アメリカに死を』路線は継続され、代理組織を通じて地域的影響力を高めようとするだろう。そして、今度こそ核兵器開発に踏み込んでいくだろうとみられる。
なぜか。次世代の指導層は、ライシのように若い頃にイスラム革命を経験した世代以上に強硬だからだ。
次期大統領が誰になるにせよ、その人物が嫌われ者の強硬派だったライシ以上に攻撃的で厳格であることはほぼ確実だ。その上、陰の権力者であるイラン革命防衛隊は権力を一段と強化し、遠くない将来、公然とトップに立ってイランを暴力で直接支配するかもしれない。
ライシの死に犯罪の兆候はなかった。つまり、イランは自国の大統領を乗せるヘリさえまともに飛ばせなかったわけだが、それも意外ではない。
アメリカの制裁により、1960年代に開発されたアメリカ製の航空機やヘリを維持管理するのは困難になっていた。しかも、その任務を担う軍や治安当局は腐敗まみれだ」

ライシは地味で創造性に欠ける人物だったが、最高指導者のハメネイ体制の忠実な執行役だったという。

しかし、次期大統領は過激な人物がなる可能性が高いと見ている。

「驚くべきことに、現支配層の後継世代は、神学的にも政治的にもライシ以上に保守的だ。世界中のポピュリストの間でエリート層への拒絶反応が広がるなか、彼らはそのイラン版として、現指導部の腐敗と皮肉主義に不満を募らせ、アメリカにより直接的に対抗したいと考えている。
それでも、ハメネイは政権維持のために彼らの支持を必要としている。そのため、次期大統領、そして最終的には精神的指導者である自身の後継者を指名する際に、彼らの意見を考慮せざるを得ない。
ライシもハメネイも革命防衛隊も、イラン国民の大多数が政権の保守的な神学的信条やさまざまな制約に否定的であることを認識している。ということは、残念ながら、次期指導者が市民への制約を増やし、保守的な路線を取る可能性が極めて高い。
『士気が上がるまで殴打し続ける』という英語圏での古い冗談が、悲劇的な形で現実になるのである」

アメリカとはどうなるのか。

「ライシの前任者たちは長年にわたり、アメリカや西側諸国との関係改善を模索してきた。もちろん、それはアメリカ主導の制裁を終わらせるためではあった。
しかし、18年に当時のドナルド・トランプ米大統領が核合意からの離脱を決め、アメリカはイランに追加制裁を科した。」

イランは著しく高まるアメリカの敵意を目の当たりにして、自分たちが合意を遵守しても何の利益も得られないと判断し、核燃料の加工と核兵器製造能力の開発を再開した。そして、西側諸国との融和を探る代わりに、ロシアや中国との戦略的関係の緊密化を目指した。

そしてユーモアを交えてこう結ぶ。

「イランのムッラー(宗教指導者)体制が硬化してクファール(不信心者)である西側の規範を敵視していることや、次世代の指導者候補がますます硬直化し保守化していることを考えれば、誰が次の大統領になるかはそれほど問題ではない。
革命防衛隊による支配は強まり、次の大統領はイランにとっても、ロシアと中国、退行する北朝鮮を除く地球上の全ての国にとっても、ライシより厄介な存在になる可能性が高い。
かつてCIA工作員だった私はある諜報活動がうまくいかない時期に私生活も破綻しつつあり、しかも上司の1人が私を破滅させようとしていた。そのとき親しい同僚でもある友人が、どん底の私を励まそうと声をかけてくれた。
『くよくよするな。今がどんなに悪くても、まだ最悪ではないのだから』
私は笑った。そして、状況はさらに悪くなった」

こんな状況で、もしトラが現実になったら、想像するだけで恐ろしい。

さて、文春が麻生太郎の嘘というのをやっている。

嘘というのは、小なりといえども派閥の大将である麻生が、他派閥は裏金問題があるが、俺んとこはそんなもんはないとはっきりいったかどうかは別にして、派閥を解消しなかった。だが、元所属議員や現所属議員の中から、パーティー券は販売のノルマがあり、それを超えた分は「裏金化」していたという証言が出てきた、麻生は嘘をいっていると追及している。

赤旗日曜版では、鈴木馨祐元財務副大臣が2018年から2022年に派閥からの寄付金計486万円を記載していなかったと報じている。

原田義昭元環境相は文春に対して、

「(キックバックは=筆者注)無かったわけじゃありません。ノルマを達成するのも本当は大変なのよ。それでも、しょうがねえやってギリギリ達成した上で端数みたいなものがね、あった時にね。まあ、そこもいちいち報告するのかっていうね。ノルマにプラスアルファっていうのは、正しく相手方の了解を得て貰ったり。そこは事務経費の中でやったのは、多分あったと」

事実上キックバックが“裏金化”していたことを認めている。

まあ、嘘と屁理屈で存在感のある麻生だから驚くことはないが、今回も、「俺は知らん」と顔を背けるだけだろう。

文春によれば、麻生は、一度離反した石破茂と、自派閥だが河野太郎は「少々常識に欠ける」といってポスト岸田には推さず、岸田を再選させて、自分の影響力を残したいという考えだそうだ。

欲ボケした老人の生き残り戦略など、嵐の前のかすかな灯のように、あっという間にかき消されてしまうはずである。

お次は現代から。

裕福な中国人が日本の土地を買い漁っているという話はよく聞く。京都や箱根などはだいぶ浸食されているようだが、現代によれば、今は、寺や神社が物色されているというのである。

アプリ上で商取引が可能な中国人向けSNS「小紅書」には、売り出し中の日本の神社仏閣がズラリと並んでいるという。

ただ、あらゆる宗教法人が簡単に売買できるかというとそうではないようだ。

所有者の判断で売買できるのは「単立」の宗教法人だけで、巨大な宗教団体は「包括宗教法人」と呼ばれ、その傘下の寺や神社は上部組織の許可がいるそうだ。

だが、それでも約7000あるという。売却価格は3000万~5000万円で、土地建物付きだと1億円を超えるものもあるという。

中国人は、田舎のボロボロの寺より、歴史ある神社仏閣を欲しがるという。

10年ほど前に家族で日本に移住し、東京でコンサル業を営んでいる王秀英(仮名)は、すでに10軒以上の寺を内見したそうだ。

王はこう語っている。

「寺を買う動機は、ビジネスとして手堅いと思っているからです。日本はすでに多死社会に突入しており、葬儀や法要のニーズは年々高まっている。読経する僧侶を手配する『お坊さん便』など、さまざまな法要ビジネスが始まっていることからもそれは明らかでしょう。
私がこれまで内見してきた寺は、1000万円から3億円のものまでピンキリ。狙っているのは、墓地が併設されている寺です。というのも、30年以上経った寺は、新規の法要が少なく儲けにならない。一方、新しい墓は法要が頻繁にありますから」

こうした目先のきいた中国人に、日本人は敵わない。

私の家の墓は亀戸駅から近くの小さな寺にある。そこはかなり古い寺で、訪れる者とてないのであろう墓石が寂しげに佇んでいる。

こうした寺もそのうち中国人が? 哀しいといってはいけないのだろうな。

ところで、元旦に起きた能登半島地震だが、「復興」の二文字がメディアにたびたび出るが、実際には遅々として進んでいないというのが正直なところだろう。

岸田首相も聞かれれば「能登の復興に全力を傾ける」などとはいうが、流れてくる情報を見てみると、何もしていないではないかといいたくなる。

その中でも、輪島市の随一の観光名所「輪島朝市」も、地震による揺れによる火災で約300棟が焼損したが、復興未だ進まずである。

だが新潮によると、進まない理由は他にもあるというのだ。

デイリー新潮(05月29日)から引用してみよう。

「輪島朝市にはそこで露店や店舗を営む190名超のメンバーで構成される『輪島市朝市組合』があり、市から道路の占有許可を得ている。
組合員一同、一体となって復活へまっしぐら、といきたいが店主の高齢化で店の再建がどこまで進むか。そもそもそこに至るまでの生活の糧をどう確保するか。難問は山積みなのだ。
そして新聞やテレビが報じない、もうひとつの難題もある。
朝市の関係者が声を潜めて言う。
『実は、朝市組合はここ数年、メンバー同士がもめ、片方の派が追い出されて同じ「輪島朝市」を冠するNPO法人を作っています。以来、多数派の「組合」と少数派の「NPO」が、お互いに訴訟を繰り返し、罵倒し合っている。震災後にそれはエスカレートし、輪島朝市を冠する震災の義援金の窓口が並立する状況なのです」
まずは、追い出された方の言い分を聞いてみよう。NPO法人『輪島朝市』のさる幹部はこう語る。
『彼らは規則に基づかず、組合員の声も聞かずに一部のメンバーの利害だけで動こうとし、都合の悪い者は排除している。こうした状況に疑問や不信感を持っている組合員は多いですよ』
トラブルの発端は2019年。組合員以外の商店主が、東京や岐阜などの各地で「輪島朝市」を名乗って店を出したことが発覚したのだという。
当時、このNPO幹部は組合の理事の一人であった。
『何かあったら組合は責任が持てないし、「輪島朝市」の名は地域の重要な資源ですから、きちんと管理していくべきだという声が強まりました。そこで、組合で「輪島朝市」を商標登録する話が出てきました。が、商標は法人格がないと申請できません。そのため、組合を主体として新たにNPO法人を作ることを検討しました」
幹部氏と当時の組合長が中心になり、この案が理事会に提出された。しかし、
『25名の理事のうち2名反対者が出た。彼ら2名はその前から私たちに対して“組合の事業で利益誘導している”などと誹謗中傷し、その時も“NPO化で彼らにお金が入る仕組みになっている”などとビラを配ったりしたんです。後の総会でも同様の主張をし、法人化案は結局、保留に。あまりに混乱を招いたので、理事会で二人の除名が決まったのです』
するとこの二人は、処分を不服とし、金沢地裁に地位確認の訴訟に打って出た。翌20年、一審判決で組合が敗訴すると、今度は逆襲が始まったという。
『二人は組合に戻った。そして敗訴した当時の執行部に代わって、二人と近い、新しい組合長が誕生し、その翌年、私と前組合長は理事を解任されることになったんです。でもその手続きには大きな問題があったので、私たちは解任の無効を求める裁判を起こした』」

これでは復興どころではないのだろう。

私も行ったことがあるが、輪島の朝市は独特の風情がある。愛嬌のあるバアチャン、少しおっかないバアチャンたちが一斉に呼び止める。

失礼だが、それほどのものはないとは思うが、向こうの気合に負けて、気が付けばいろいろなものを買ってしまう。

早く復興して、私ももう一度行ってみたいと思うが、こういう状況ではまだまだ先になりそうである。

さて、有名になるということは晴れがましいことではあるが、一方で、有名になったがゆえに過去の触れられたくない古傷が暴露されることもあれば、このやす子のように、自衛隊出身のお笑い芸人を売りにしているのに、そこの後輩から告発されることもある。

今回のケースは、有名税と笑ってすますわけはいかない「過去」のようである。

文春オンライン(5月29日)によれば、

「『はい~!』というクセのある返事と、『自衛隊あるある』のフリップ芸で知られる芸人やす子(本名・安井かのん)(25)。昨年、芸歴4年目にしてオリコンニュース主催の『上半期ブレイク芸人ランキング』でトップに輝き、多くのCMにも出演するなど、大ブレイクを果たしている。
『芸人としての活動の傍ら、災害など有事の際に即応予備自衛官としても活動しています。1月の能登半島地震の際には、自身のXにて災害時の寒さ対策や、自家用車で支援に行くことの危険性などを投稿。自衛官の経験を活かした発信は反響も大きかった』(芸能記者)
そんなやす子に対し、複雑な心境を抱くのが20代の元自衛官X子さんだ。X子さん本人が明かす。
『今でもテレビに彼女が映ると動悸がします。そんな彼女が“元自衛官”を売りにしているなんて許せません』
X子さんがやす子と出会ったのは2018年7月のこと。同年4月に自衛官候補生として陸上自衛隊に入隊したX子さんは、1期先輩のやす子が所属していた大久保駐屯地(京都府宇治市)に配属された。
駐屯地内の女子隊舎で“事件”が起きたのは、X子さんが整備隊に配属された10月中旬のことだった。
X子さんが振り返る。
『就寝時刻の22時直前、寝る準備をしていたら、安井さんが突然部屋に入ってきたんです。私と同期のA子に対して、「自衛隊辞めてしまえ!」などとひたすら罵倒してきました』
次にやす子の矛先はX子に向かってきた。
「安井さんはA子に背を向け、私と向き合う形で怒鳴っていました。何が原因で指導されているかもよく分からず、理不尽だと思いましたが、ここは後輩の私が我慢しないといけないと思い、何も言い返さなかった」(X子)
一方的に暴言を吐かれるままだったX子に、やすこの同僚が見るに見かねて「言いたいことはないの?」と声をかけたという。そこでX子は、
「あまりに一方的で正直、腹が立っていました。先輩から促され、『そういう言い方は良くないと思います』と言い返した。すると安井さんは私に掴みかかってきたんです」

しかし、一夜が明けるとその話は、X子が安井に手を出したという噂になっていたというのである。

X子は、先輩のいうことを聞かないといわれていて、その同部屋の先輩が「あいつらを指導してほしい」と安井に頼んだというのだ。

それがあってからX子はうつ状態になり、その約3カ月後に自衛隊を辞めることになったという。

X子は、

「あの事件さえなければ今でも続けていた。そう思うと本当に悔しい」

と臍を噛む。

やす子の所属事務所に確認を求めると、こう答えたという。

「本人にヒアリングしたところ、X子さんを指導したことは記憶していました。ただ、ご質問の内容は、事実と異なる点があります。暴力をふるったのはやす子ではないと認識しています。X子さんに対し乱暴な言葉を使った認識はありません。当時、謝罪しましたが、騒動を起こしたことについての謝罪です」

だが、文春がさらに取材を進めると、A子が、「先に手を出したのは安井さんです。はっきり覚えています。最初から『自衛隊を辞めてしまえ』って」と証言した。

すると事務所側は、

「後輩への指導を頼まれ、注意をしに行きましたが、配慮に欠けた行動をしてしまい、嫌な気持ちにさせてしまったことがあったのであれば、大変申し訳なく思っています」

と、事実を認めたのである。

だから自衛隊出身者はといわれてしまうかもしれない。それは古巣をネタにする芸人にとって、絶対やってはいけない事である。

やす子はこれからは舞台の上で、自衛隊式の「謝罪」を売りにしたらどうだろう。意外に受けるかもしれない。

さてここからは今週ナンバー1の読み物といきたいが、そうではない。

このところの皇室、特に秋篠宮家についての報道が、あまり根拠がないのに厳しく、偏っている報じ方への苦言を呈してみたいという。

読者には恐縮だが、一緒に考えてもらいたいと思っている。

女性セブンは5月26日に岡山市で行われた全国植樹祭の式典に出席された雅子皇后が、主催者挨拶で額賀福志郎衆院議長が登壇した際、「雅子さまは、ひときわ強い視線を声の主に注がれた――」と報じている。

その理由は、新潮(5月30日号)がこう報じていたからだった。

政府の有識者会議は2022年1月、皇位継承策として「女性皇族が婚姻後も皇室に残る」「旧宮家の男系男子を養子縁組で迎える」の2案を国会に提出していた。

だが、報告書を受け取った当時の細田博之衆院議長は、保守派への配慮もあってこの議論を避け続けた。

2年もの間放置されてきたが、昨年10月に額賀が議長に就任すると、「立法府としてどうすべきか整理していきたい」と、当初から意欲を見せていたという。

額賀議長が“前のめり”になったのは、「上皇后さまからの『重いお言葉』があったからだというのだ」(新潮)。

新潮でさる宮内庁関係者が明かす。

「額賀議長は就任後、上皇ご夫妻に謁見する機会があり、その際に上皇后さまから『(皇位継承に関する議論を)よろしく進めてくださいね』というご趣旨のお声がけを賜っているのです」

それを確かめようと額賀議長に新潮が、「上皇后さまのご意向があったと聞きましたが」と尋ねると、

「それまでの饒舌がうそのように突然沈黙。しばし静寂ののち、一方的に電話は切れてしまったのだった」(新潮)

これを読んだ読者は、美智子上皇后が額賀議長に声がけした事実はあったと思うのではないか。

当然、上皇后が政治に口出しすることは憲法で禁止されている。それにもかかわらず、上皇后が口を出したとすれば、皇室を揺るがす事態になりかねない。

先のセブンは、こう書いている。

「宮内庁の反応は早かった。23日、宮内庁長官が定例会見で報道を真っ向から否定したのだ。(中略)
『宮内庁担当記者らの質問に返答する形ではなく、自ら週刊誌報道について切り出して否定した対応は、異例といえます』
美智子さまに関する事柄について長官の一存で言及できるはずがありませんから、会見内容は、美智子さまのお気持ちを汲まれたうえでのことでしょう」(宮内庁関係者)

では、上皇后の発言報道は事実ではないのか? こう宮内庁関係者は続けている。

「それほどに、美智子さまのご心痛が差し迫っていたのではないでしょうか」

つまり、美智子発言はあったという前提なのだ。

そのために、

「ようやく議論が進もうとしていた矢先の、まるで美智子さまが口出しをされているかのような報道には、雅子さまも静かな怒りを燃やされているそうです」(同)

雅子皇后が静かな怒りを滾らせている相手は、新潮報道と書いてはいるが、実は美智子上皇后ということになるのではないか。

私も長年週刊誌屋をやってきたから、こういうのは週刊誌の常套手段である。どこかの週刊誌が報じたことをそのまま取り上げ、「それが事実だとしたら由々しきことである」と繋げていくのだ。

しかし、今回の美智子上皇后の発言は、長年、上皇と築いてきた「国民と共に歩む」という路線からは考えにくいし、もし事実なら、「掲載前に同誌から事実関係の確認があり、宮内庁は否定する回答を送っていたという。西村(泰彦宮内庁長官=筆者注)氏は『我々の回答に一切触れていないというのはちょっとアンフェア』とも述べた」(朝日新聞Digital 5月23日 15時49分)というだけで済む話ではあるまい。

新潮報道が全くのデタラメだというのではない。だが、皇室制度を根幹から揺るがす報道の「真偽」は、このまま放置しておいていい訳はない。

こうした時に、新聞がその役割を担うべきだが、皇室報道に関して新聞はその役割をとっくに放棄しているように思う。

話を進めよう。新潮だけではないが、このところ秋篠宮家の次女・佳子さんの結婚に関する記事が多くみられる。

佳子さんも今年の誕生日で30歳になる。まさに結婚適齢期真っただ中である。

このところお相手候補として挙げられているのが、旧華族の中でも名門といわれる島津家にいる、佳子さんより1歳年上でメガバンクに勤めている男性である。

4月13日に開催された旧華族の親睦団体「霞会館」で、島津家の私的会合「錦江会」が開かれ、上皇夫妻、秋篠宮夫妻が参加したが、そこに佳子さんもいたというのである。
「あれこれ思いを巡らせるお姿を案じられた上皇后さまが、御自ら『有力な選択肢』を示されたというのだ」(新潮)

ここでも上皇后が登場してくる。

まあ、秋篠宮眞子さんは上皇・上皇后にとって初孫だったため、小室圭との結婚騒動の際は、上皇后は大変心を痛めていたという報道があったが、佳子さんや天皇の長女・愛子さんのことを気にかけているというのは頷ける。

だが、これが報じられると、早速、そのお相手候補を多くの週刊誌が追い回し、突撃取材を始めたのである。

私が知るだけでも現代、新潮、女性週刊誌もやっていたのではないか。名家とはいえ、普通の銀行マンである。さぞかし煩いことであろうが、この男性は穏やかな口調で丁寧に答えているのである。現代(6/1日号)を見てみよう。

ゆったりとした紺のスーツにノーネクタイ。旧型のプリウスに乗り込もうとした時、記者に気付き、彼の方から近付いてきて、丁寧に対応してくれたというのである。

――佳子様のお相手として名前が出ていることについて、どう思われますか。

「よくわからないので」

――ご自身の知らないところで、名前が出てしまっている?

「まあそうですね。自分のことなんですけど、ちょっとよくわかりません」

――周囲からは何か聞かれたりしますか。

「記事が出れば聞かれることもありますが、それだけですね」

新潮もほぼ同じである。

だが、確たる情報もなしに多くの週刊誌が一般人を追い回すのは、ほめられたものではない。これがもし、結婚確実情報でも出たら、会社や彼の住んでいる近隣の住民から多くの苦情が出ることは間違いない。

次に疑問を感じるのは、「秋篠宮家の危機」を連載でやっている文春である。今週は3回目で、秋篠宮家の長男・悠仁さんの東大進学について疑義を呈している。

東大の推薦入学を目指しているといわれる悠仁さんの「学力」に問題があるというのだが、この記事作りにはやや、否、相当の飛躍があると、私には思えるのだ。

最初に、筑波大附属高校に通い、悠仁さんと同級生で、彼のことを「ひーくん」と呼ぶ男子生徒A君というのが登場してくる。

A君はこういう。

「ひーくんが東大の学校推薦に選ばれたとしても、別に驚きません」

さらにA君は、「筑波スタディ」という本格的な学術研究の手法を学び、自分で研究論文を書く授業というのがあるそうだが、こう話している。

「この『筑スタ』でひーくんは確か、発表された論文とは別のトンボの研究に取り組んでいました。学内でも成果をプレゼンし合う発表会がありますが、誰の研究のレベルが高いかというのは聞いていたら分かる。彼の発表のレベルが高いのは皆分かったと思います」

手放しとはいわないが、相当高い評価を「ひーくん」に与えていることが分かる。

だが、文春は、そう素直には受け取らないのだ。

ます、トンボの記録を継続するということを6歳で思い立つとは思えない。両親にいわれて、秋篠宮家の職員たちが手を貸した「上げ底」ではないかというのである。

しかも、これまでも秋篠宮家という威光を使って、東大への進学率の高い筑波附属高校へも入学させてきたではないか。

だが、東大への推薦入学には「合否判定には一般の生徒と同じように共通テストを受ける必要があり、八割は必要といわれています」(教育情報メディア『大学通信』の担当者)と“難癖”をつける。

さらに、「一般入試に合格するほどの学力とも伝わってきていません」(秋篠宮家関係者)と付け加えるのだ。

ここまでは両親が手を尽くして助けてくれたけど、東大入試はそうはいかないと小姑のようなことをいっているとしか思えない。

これでもし悠仁さんが東大に受かろうものなら、「親がごり押しした」と騒ぎ立てるのだろう。

ここまでくると、報道というより、皇室の品位を貶めるための嫌がらせではないかと思ってしまうのは、私だけだろうか。

我々が皇室についての情報を知る術は、週刊誌からが一番多いと思う。新聞は通り一遍の情報しか流さないし、テレビは公務や被災地へ慰問に行った時、そこでの映像や音声を流すだけである。

批判的な情報は週刊誌の一手販売である。秋篠宮の眞子さんと小室圭の結婚問題で、小室家側の金銭問題を取り上げ続け、国民の反発を招き、2人が逃げるようにニューヨークへ逃げ出したのも、その空気を作り出したのは週刊誌報道であった。

それが週刊誌の役割だと、私も思っている。宮内庁という閉鎖的で国民との接触を遮断し、閉ざされた皇室にして顧みることのない「戦前の遺物」のような役所を批判してきたのは週刊誌である。

だが、ここ数年の、秋篠宮眞子さんと小室圭についてのプライバシー侵害とも思える一連の報道や、その後も、秋篠宮家のプライバシーを暴きたてるがごとき集中砲火報道、佳子さん報道のようなパパラッチ的報道など、私のような元身内から見ても少しどうにかならないのかと思える行き過ぎが、このところ多いように思える。

最近、秋篠宮紀子さんの容態不安が報じられているが、もし、彼女が毎回週刊誌の秋篠宮家バッシング報道を読んでいたとしたら、よほど神経の太い人でも参ってしまうのではないか。

事は報道する側の問題だけではない。宮内庁側も、ただ天皇家や秋篠宮家のおざなりの動画をインスタグラムに流せばいいというものではない。

開かれた皇室にするにはどうしたらいいのか。週刊誌側の意見も聞いてみたらどうか。敵対し合っていては始まらない。主要週刊誌のインタビューに宮内庁長官が出て、皇室のちょっといい話を語ったらどうか。

その一歩一歩が、皇室と国民との距離を近付け、親愛の情を抱かせるのではないか。私はそう思うのだが。

日本の皇室とメディア、特に週刊誌との不幸な関係について考えてみたが、いかがだろうか。(文中一部敬称略)

【巻末付録】

今週は現代だけ。寂しい、実に寂しい。
「オスカー・ワイルド『サロメ』×風吹ケイ」「水崎綾女 危ない香り」。水崎っていいね。今週の収穫だが、今一つ物足りないがね。

© 株式会社サイゾー