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ショーン・コクラン王室担当編集委員
英王室バッキンガム宮殿は3日、日本の天皇皇后両陛下が6月下旬にイギリスを公式訪問すると発表した。
イギリスでは、7月4日に総選挙が行われるため、公式訪問が延期されるとの憶測が流れていた。
両陛下は6月25~27日に国賓としてイギリスを訪問する。国王チャールズ3世が主催する晩餐(ばんさん)会や、バッキンガム宮殿前の大通り「ザ・マル」を通過する馬車でのパレードなどの伝統行事が予定されている。
選挙期間中の国賓訪問は、現代になって初めてだという。
公式訪問に関連する行事は、政府の助言により、国王が国家元首として主催する。
このような外交イベントには通常、政治家らも参加するため、選挙運動と重なるのを避けるために延期されるのではないかとの見方も出ていた。しかし、公式訪問は予定通り進められることになった。
バッキンガム宮殿は、今回の訪問は総選挙のために「調整」が入るとしているが、具体的な変更は明らかにされていない。
こうした訪問では晩餐会がメインイベントとなる。国王がスピーチをするほか、最近では、国賓の母国語を使ったあいさつもみられる。
晩餐会には通常、首相と外相に加え、野党党首も参加する。
今回の晩餐会は25日に予定されており、翌26日にはBBCが主催するリシ・スーナク首相と最大野党・労働党党首サー・キア・スターマーのテレビ討論がノッティンガムで開催されることになっている。
英外務省の報道官は、現時点で閣僚らが公式訪問のイベントに参加するかは決まっていないと述べた。
日本からイギリスへの公式訪問は、1998年以来初めてとなる。2020年にも予定されていたが、新型コロナウイルスのパンデミックにより中止となった。
博物館やオックスフォード大学などを訪問
国賓としての訪問は、華やかさと国際政治が合わさった「ソフトパワー」が特徴だ。
重要な貿易・防衛パートナーである日本を代表するロイヤルカップルは、最厚遇を受けるだろう。
バッキンガム宮殿近くのホース・ガーズ・パレードで歓迎され、儀仗(ぎじょう)兵による栄誉礼を受け、その後、馬車でバッキンガム宮殿まで行進する。
イギリス滞在中、両陛下はフランシス・クリック研究所、ヴィクトリア・アンド・アルバート子供博物館の日本に関する展示、そして王立植物園「キュー・ガーデンズ」の世界最大の野生植物の種子コレクションなどを訪問する予定だ。
また、ウィンザー城の聖ジョージ礼拝堂を訪れ、故エリザベス女王の墓所に献花する。
両陛下は共に英オックスフォード大学で学んでいたため、それぞれのコレッジも訪問するという。
両陛下の公式訪問が予定通り行われる一方、チャールズ国王の日程は、総選挙の影響で一部変更された。
イングランド中西部クルーで、貧困家庭に食事や靴などを提供する支援プロジェクトの関係者らを訪問するのも延期された。
また、選挙後に、国王が次期首相と面会するタイミングも問題となっている。
国王は伝統的に、6月末から7月初めにかけての「ロイヤル・ウィーク」または「ホリルード・ウィーク」と呼ばれる1週間を、スコットランドで過ごすことになっている。
これが7月4日の選挙結果と重なれば、国王はバッキンガム宮殿に戻らなければならない。あるいは、新しく選出された首相がスコットランドに行くことになる。
新政権が発足すると、国王は7月17日の議会開会式で重要な役割を果たすことになる。
チャールズ国王にとっては、今年2月にがんの診断を受けて以来、最大の憲法上の役割となる。