去年6月の台風2号で全壊したフライドポテト店が常連客や友人に支えられて復活「ワンフリット物語」浜松市

静岡県内を襲った去年6月の台風2号による大雨から1年。浜松市の舘山寺で土砂災害に遭い、建物が全壊したフライドポテト店の復活劇を取材しました。

オーナー 藤田直弘さん:
「おまたせしました!ごゆっくりどうぞ。」

静岡県内屈指の観光地・舘山寺の浜名湖のほとりにあるフライドポテト店「ワンフリット」。

客:
「おいしい。大好きです。ここのポテト。」

浜松産のジャガイモを使ったフライドポテトが、観光客や地元の方に親しまれています。

オーナー藤田直弘さん:
「初めてきましたとか、久しぶりにきましたとか、という方もいらっしゃって、すごくうれしいです。」

去年6月

去年6月、この店の日常が奪われました。

片山真人アナウンサー:
「土砂が流れた跡があります。土砂崩れが発生し、住宅を飲み込みました。」

県内に大きな被害をもたらした台風2号。

浜松市では、線状降水帯が繰り返し発生し、24時間雨量は328.5ミリと観測史上最大を記録。

市街地と山間部をつなぐ幹線道路は崩落し、舘山寺地区など、当時の西区を中心に土砂災害で17軒が倒壊。

一人が亡くなりました。

6年間舘山寺で愛されていた「ワンフリット」でも
大きな被害が…。

Q前の建物は?

「ちょうどこのあたりまで。小さい店舗だったけど」

Q見えているのは

「流れた土砂?一回崩れてもっと来ていた建物があってきていたけど、それをぐっと戻して、ある程度固めているけど…」

こちらは発災当時の状況。

大雨の影響で、裏山にあった大量の土砂が店を襲い、今にも崩れてしまいそうなほどに無残な姿に…。

オーナー藤田直弘さん:
「えっ?ていう現状でしたね。(店が)歩道に飛び出るくらい傾いていたので、基礎部分が倒れてしまった。正直頭が真っ白で、どうしようと検討がつかない状況だったんですけど…」

人的被害はなかったといいますが、とても営業を続けられる状況ではありませんでした。

再建へ

そんな「ワンフリット」の再建に向けて、動き出してくれたのが、店を支えてきた常連客や友人たちです。

オーナー藤田直弘さん:
「本当にいろんな方々が頑張ってと応援いただいて、
(友人が)寄付もできるんじゃないのっていうのを言っていただいて。その辺も使わさせていただいて、再建させていただきました」

そして発災から半年が経った去年12月、支援を受けたワンフリットは、当時の店の近くで営業していたキャンプ場の一画に、復活を遂げました。

オーナー藤田直弘さん:
「これかな、ちょっと跡が残って。冷凍庫ですね。このくぼみが。多分押されて、傷跡ですね。」

Qあとのものは?

「この状態で、新しくしていますね。」

再建には300万円以上かかりましたが…

「お待たせしました。」

「ありがとうございます。」

復活劇はお客さんにも勇気を届けています。

客:
「すごいうれしかったです。すぐ行こうと思って。すぐ来た。傷を負いながらも、一生懸命前を向いて進んでいく。オーナーの姿がすごいかっこよかったですし
応援したいなと思って。ここ来るとお客さんもずっと笑顔なので、そういう楽しさが伝わっているのかなと思う」

オーナー藤田直弘さん:
「早かったようで長かったような感じもするけど、あっという間に一年たった気はする。
(今年も)大雨になる日もあるんじゃないかなという心配もあるけど、舘山寺というところを楽しんでもらえる場所づくりをしてきたので、ここでみんなの笑顔をみたい」

© 静岡朝日テレビ