パキスタンのカーン元首相、機密情報漏えい疑惑の控訴審で無罪に

パキスタンの裁判所は3日、イムラン・カーン元首相について、国家機密を漏えいさせた罪における一審の有罪判決を覆した。カーン元首相は他の疑惑でも有罪判決を受けているため、引き続き収監される。

今年2月に行われた総選挙に先立ち、カーン元首相は3件の有罪判決を受けた。元首相は、これらの裁判は政治的な動機に基づいたものだと主張している。

国家機密の漏えい疑惑に関する裁判は1月に行われ、禁錮10年の実刑判決が出た。しかしイスラマバード高等裁判所は今回、元首相の控訴を支持し、無罪とした。

クリケットの国際的選手だったカーン元首相と、妻のブシュラ・ビビ氏は現在、共に服役中。夫妻については2018年の結婚が、ビビ氏の前夫との離婚後すぐに行われたのがイスラム的ではなく、違法だとして有罪判決が出た。また、カーン氏の首相在任時、国の贈り物を個人的な利益のために売った疑惑でも有罪となっている。

だが塀の中にあっても、カーン元首相はパキスタン政界で強力な力を持ち続けている。

2月の総選挙では、カーン氏と同氏の率いる「パキスタン正義運動(PTI)」は排除されていたため、候補者らは無所属で立候補。最多議席を獲得したものの、過半数には届かず、対立する政党が結束して新政権を樹立した。

国家機密漏えいの疑惑とは

訴追の原因となったいわゆる「暗号事件」では、カーン氏が首相在任中、米ワシントンのパキスタン大使から送られた外交機密文書を漏えいしたとされる。

これは、元首相が2022年3月にあった集会のステージ上で、自らに対する外国の陰謀を示すものだとして、文書を振りかざしたのを受けたもの。

元首相は国名は挙げなかったが、その後、アメリカを強く批判した。

検察側は、カーン元首相の行為は機密文書の漏えいと外交関係の毀損(きそん)に当たると主張していた。

この裁判では、PTI副代表のシャー・メへムード・クレシ元外相も、禁錮10年の有罪判決を受けた。クレシ氏も今回、控訴審で無罪を獲得した。

PTIの広報担当者、ナイーム・パンジュタ氏はソーシャルメディアに、「神に感謝、判決は覆された」と投稿した。

(英語記事

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