企画展「太田古朴が見た山里の文化財」

地域の埋もれた文化財にも目を向けた吉野町出身の仏像研究家・太田古朴を紹介する企画展が奈良大学博物館で開かれています。

太田古朴は奈良美術院で仏像修理を学んだのち、大学や行政機関には属さず民間人の立場で仏像や石造物の調査・研究、修理に取り組みました。この企画展では、古朴の研究資料や1975年から調査と仏像修理を行った和歌山県高野町細川地区の文化財など42点が展示されています。

こちらは、奈良市にある伝香寺の地蔵菩薩立像の修復時に作成された図面で、左足に納入されていた十一面観音像などが綿密に描かれており、現在のX線CTスキャンで像内を撮影する調査手法を思わせます。

また、古朴がその存在を学術書に残していたこちらの能面は、2022年に細川八坂神社で発見されました。室町時代前期に使われなくなったとされる「父尉(ちちのじょう)」と「延命冠者(えんめいかじゃ)」の面も含まれた貴重なもので、今回初めて公開されます。

この企画展は、奈良大学博物館で7月27日まで開かれています。

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