本日6月4日にPC(Steam)版が配信された「たき火のそばで」の先行レビューをお届けする。
本作は、ある三角州に漂流した主人公の姿を描くアドベンチャーゲームだ。本稿ではSteam版のレビューをお届けしよう。
■たき火に集まった人々との会話や物々交換でストーリーを進めていく
ある時、大荒れの海の中で救命ボートに乗っていた主人公は、突如として海中に投げ出されてしまう。身近にあった物を使ってどうにか泳ぎ続けるも、砂浜で倒れ込んだ彼は、たどり着いた先の三角州に住む人々に助けられる。
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その後、近くにあった祠に触れて謎の荒れ果てた空間へと飛ばされた主人公は、そこにいた住人のナックから、現在人々をつなぐ“魂のネクサス”が壊れていて、それを修復しなくてはならないこと、そのためには魂のネクサスの中心であるこの空間を直す必要があることを知る。
魂のネクサスの中心地を修復するために必要な“ソウルエナジー”は、感謝と優しさから生まれるという助言を受け、主人公は三角州に戻ってさまざまな人を助けていく……というのが本作のあらすじだ。
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世界を牛耳る闇の組織とか巨悪とか、そういった「ゲームではお約束」とも言えるような敵は出てこず、敵とのバトルもまったくないので、本作の雰囲気はとてもゆったりしている。
たき火を囲う人々は、話しかけると自分の身の上を語ったり、遭難した主人公を心配したりと、良い人が多い。雰囲気とキャラクターの立ち振る舞いもあって、プレイ中はこちらも温かい気持ちになった。
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誰かからの頼みごとをこなして得られる報酬が、別の誰かの欲しがっている物であることが多く、人助けをするほど話が進む。おつかい要素が寄り道ではなくそのままメインストーリーにも直結しているため、ゲーム自体のテンポもよく、プレイの大半をキャラクター同士のやり取りに集中することができるのも個人的にはうれしいポイントだった。
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■天秤を使って物々交換し、手に入れた物を魂のネクサスの中心地へ
魂のネクサスの中心地を修復するため、プレイヤーはソウルエナジーを集める。方法は大別すると2通りある。ひとつはキャラクターたちと話すこと。たき火に集まった人と話していると、話を聞いてくれたことに感謝され、ソウルエナジーが手に入ることがある。
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ふたつ目は物々交換。元々商人である主人公は、フィールドで手に入った物を元手にキャラクターたちと取引ができる。取引では天秤を使い、自分が欲しい物と代わりに差し出す物をそれぞれ受け皿に乗せる。受け皿が水平になれば取引が成立し、求めた物品がもらえる。するとソウルエナジーも手に入るという仕組みだ。
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受け皿が相手側に傾いている場合、こちらが差し出した品の価値が相手の物と釣り合っていないことになるため、取引は基本的に成立しない。ただし、それはあくまでも通常の取引のときで、相手が求めている品を出せた場合はそのまま成功することも。
手に入れた物は次の取引で使えるため、なるべく手持ちよりも価値の高い物をもらえるようにしたいところだ。価値がある物ほど重いので、互いの物品を載せていく過程で生じる皿の傾き具合で、なんとなくではあるが値打ちがわかるようになっている。
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そして、注意したいのが時間。キャラクターとの会話や取引は1回ごとに時間が経ち、画面内にある枝のアイコンがひとつずつ消費される。5個減るとその場で眠りにつき、日付がひとつ進む。これを5回くり返して5日が経つと、魂のネクサスの中心地へ強制的に戻される。
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中心地には修復可能な場所がところどころにあるものの、どれも“ソウルエナジーコイン”と特定のアイテムが要る。こちらに行くまでに、三角州でいかに物を手に入れるかが重要なわけだが、ソウルエナジーコインはソウルエナジーが一定に達するたびに蓄積されるので問題ない。
一方で、所持している物についてはひとつしか持っていけない。角材や石、レンガなど、修復に求められるアイテムはさまざまだが、ひとつしか持ち込めない仕様上、必要な物を的確に選び、かつ地道に作業を進めていく必要があるわけだ。
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とはいえ、窮屈な思いをするのは序盤の話。中心地にある“犬小屋”を直せば持ち込める物の数が増えるし、大きな祠をアップグレードすると探索に費やせる日程が増え、中心地に戻るまでの猶予が延びる。
たき火を囲んでの交流や人助けなど、雰囲気ゲーとしての側面が強い本作だが、日程を考えながらの取引や探索、中心地の修復をはじめとするシミュレーションやRPGのようなシステムもあり、プレイ自体にメリハリがあるのも印象的だった。
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たき火に集まった人々との交流を通してストーリーを進めるという、雰囲気ゲーらしいシンプルなシステムを採用しつつも、本作には魂のネクサスの中心地を直すために必要な物をいかにして現地へ持ち込むかといった、頭を使って進める要素も盛り込まれている。
人の優しさに触れる温かなストーリーやゲームを遊びたい人には、自信を持ってオススメできる一作だ。
Steamページ
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