京都市が生活困窮者向け救護施設断念へ 住民反発→整備地移転→建設費高騰 2度頓挫の末

京都市役所

 京都市は、生活困窮者向けの救護施設整備計画を事実上断念する方針を明らかにした。民設民営での整備を目指していたが、近隣住民の反対や建設費の高騰で2度にわたり計画が頓挫。今後は地域生活の支援などソフト事業に転換する。

 救護施設整備は介護が必要な生活保護受給者を支援して地域生活への移行につなげる目的で、緊急一時保護の機能も併せ持つ。市は老朽化が進む更正施設「市中央保護所」(2022年4月から休所)を廃止し、救護施設を新設する方針を16年に発表していた。

 18年に大阪府内の社会福祉法人が伏見区羽束師での整備を計画したが、隣接する向日市の住民らの反発を受け断念。同区日野の市有地での整備を模索し、22年に大阪市の社会福祉法人を事業者に決めたが、23年に建設資材の高騰を理由に辞退の申し入れがあり、計画は白紙になっていた。

 市はこの日の市議会委員会で、救護施設整備を「諦めたわけではない」としつつ、他府県の施設への入所誘導やアパートなど居宅に近い環境で生活訓練を強化する「ソフト路線」に転換する意向を示した。中央保護所の廃止方針は堅持するという。

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