観葉植物を枯らしてしまうなら「ハンギング」に挑戦 プロが教える初心者のためのコツ

インテリアとしてもおしゃれな観葉植物のハンギング(写真はイメージ)【写真:写真AC】

観葉植物を室内で楽しみたいけれど、置くスペースに悩む人もいるでしょう。そのようなときは、天井などから吊るして飾る「ハンギング」も選択肢のひとつ。「なぜか植物を枯らしてしまう」初心者でも、ハンギングのコツを掴めば楽しめそうです。フラワー&グリーンコーディネーターののなかりえこさんに、ハンギングのコツとおすすめの植物を伺いました。

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観葉植物にとって心地良い環境に

観葉植物をハンギングすることで部屋のデッドスペースを活用することができ、インテリアとしてもおしゃれで映えます。吊るすことで風通しが良くなり、明るい場所に飾れば植物にとっても心地良い環境といえるでしょう。

観葉植物を吊るして飾るためには、ハンギング専用のフック付きの鉢、布製のハンガーや木製のカゴなどにプランターを入れる必要があります。アイテムを選ぶ際に注意したいのは重量です。鉢や土の重さは植物の種類によって異なるため、プラスチックなど軽めの素材を選びましょう。万が一、地震などで落下することがあっても、割れる心配が少ない素材を選べば安心ですね。

吊るす場所は天井でなくても、窓枠に通した突っ張り棒やカーテンレールにS字フックを付けて吊るすのも良いでしょう。また、照明用に取りつけられていることが多いダクトレールに吊るせる専用のフックがあれば、活用して吊るすと便利です。複数の観葉植物を吊るす場合は、ひとつの場所に重さが偏らないように注意してください。フックの耐荷重も考えましょう。

枯らす原因は水やりに! 3つのコツを押さえよう

吊るして飾った観葉植物は、風通しが良い環境の反面、置く場合よりも乾くスピードが速くなります。そのため、水やりのタイミングが遅くなると乾燥して枯れてしまうことも。次の3つのコツを心がけておきましょう。

その1 忘れがちな水やりは定期的に
一般的に、観葉植物の水やりは土の表面が乾いたら行うのが基本です。ただしハンギングの場合は、土の表面が乾いたタイミングだと、すでに土全体が乾き切っている可能性があります。また、吊るしている分、水やりを忘れてしまうことも。そのため、定期的に水をあげるなど、乾き切る前に水やりをすることをおすすめします。

その2 必要であれば葉水も活用
水やりだけでなく、葉水も行うと植物が元気に生育します。植物によって適した頻度があるため、ハンギングする植物の生態から必要性を確認しておくと良いでしょう。たっぷりと葉水をしてください。

その3 じょうろは細口が便利
細口のじょうろは出る水の量を調整しやすいので、水やりを楽に行えます。土がえぐれてしまったり、水が大量に出ることで土が飛び散ったり、鉢からあふれ出たりする失敗が少なくなります。

受け皿がある場合は吊るした状態のままで水やりできますが、たっぷり与えるとあふれることがあるので注意しましょう。受け皿なしの場合はいったんハンギングから植物を下ろして、ベランダや庭、洗面所などで水やりをします。水が切れるのを待ってから、元の位置に戻しましょう。

初心者向けのハンギング植物とは

初心者が育てやすい観葉植物を選ぶ際にまず大切なのは、乾燥に強いこと。そして、垂れ下がるタイプのものを選ぶとインテリアとして映えます。おすすめの植物を紹介しましょう。

○リプサリス

サボテンの仲間、リプサリス(写真はイメージ)【写真:写真AC】

中央アメリカ、南アメリカ、西インド諸島などに生息します。熱帯雨林や岩などに着生するサボテンの仲間です。種類は60種類以上あるといわれており、グリーンショップでも紐のように垂れ下がる細長いものや平らなもの、茎が太いものなどさまざまな種類があります。直射日光ではなく、木漏れ日のような明るい場所で育てると良いでしょう。サボテンの仲間なので過湿を嫌いますが、生育期の4~9月頃までは水が足りなくならないよう乾燥にはとくに注意が必要です。品種によって色は異なりますが、4~6月頃に白や黄などの小さな花を咲かせ、実がなります。

○ディスキディア

ハート型の葉などさまざまな種類があるディスキディア(写真はイメージ)【写真:写真AC】

東南アジアやオーストラリアなどが原産地のつる性植物。原産地では木や岩に着生します。葉は肉厚で、丸やしずく型、ハート型などさまざまな形状があり種類が豊富です。葉が肥大して内部が空洞になった貯水嚢を持つ品種があり、「カンガルーポケット」という名前で親しまれています。6~8月頃、白や赤の花を咲かせます。明るく風通しの良い場所で、夏の葉焼けに注意して育てましょう。

○アイビー

定番で人気の植物アイビー(写真はイメージ)【写真:写真AC】

北アフリカ、ヨーロッパ、アジア原産のつる性植物。屋外でも室内でも育てることができ、初心者でも育てやすいでしょう。定番植物ではあるものの、白や黄の斑入りのものがあるなど種類が豊富なので、人気が高いです。耐陰性はありますが、暗いところだと葉を落としてしまうことがあるので、明るいところで管理するほうが良いでしょう。

観葉植物を吊るすだけで、部屋の中が明るくおしゃれに。じめじめと暑さが増してくるこれからの季節に、グリーンインテリアでさわやかさと清涼感をプラスしたいですね。

のなか りえこ
フラワー&グリーンコーディネーター。インテリア商材を扱う仕事から花の世界へ。現在はフリーで活動中。花と植物に関する提案・制作(装花・装飾・植栽など)を中心に行う。

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