参院選岡山 自民公募で候補擁立へ 現職引退表明、野党も準備加速

 来夏に改選を迎える参院選岡山選挙区(改選数1)で、自民党岡山県連が4日、公認候補の擁立に向けて公募を行う方針を決めた。党現職の石井正弘氏(78)が今期限りでの引退を表明してから約2週間。後継候補の選定を急ぐ自民に対し、野党も第1党の立憲民主をはじめ各党が準備を加速させる構えを見せ、野党共闘による候補の一本化を含めた戦いの枠組みが今後の焦点となる。

 4日午後の県議会棟。自民県連が急きょ開いた常任総務会で、5月23日に引退を表明した石井氏の後継候補を公募する方針が全会一致で了承された。

 県連が常任総務会の招集を関係先に通知したのは1日の土曜。会議後、取材に応じた小野泰弘幹事長が「選定方針を少しでも早く固めることが得策と判断した」とする背景には、党派閥の政治資金パーティー裏金事件による逆風がある。

 関係者によると、小野氏は5月末に党本部で茂木敏充幹事長ら党幹部と岡山選挙区の対応を協議。その際、茂木氏側からは7月に予定する党の1次公認にこだわることなく候補を選ぶよう伝えられたという。それでも「(裏金事件で)情勢が不透明な中、新人候補で確実に勝ち抜くにはこれまで以上に入念な準備を要する」と県連幹部。1次公認への滑り込みも視野に人選を進める構えだ。

 3年に1度、定数の半数が改選される参院議員。定数2の岡山選挙区は2013年の石井氏に続き、16年に小野田紀美氏(41)が初当選して以降、自民が議席を独占する。対する野党は、旧民主党の重鎮だった故江田五月氏が自民候補を退けた10年を最後に勝利から遠ざかっている。

 こうした状況も踏まえ、立民県連は1日に岡山市内で開いた常任幹事会で独自候補の擁立を急ぐ方針を確認。柚木道義代表はあいさつで「衆院選に加えて参院選に向けた対応も同時進行で取り組む」と強調した。日本維新の会、共産党、国民民主党もそれぞれ候補擁立の姿勢を見せている。

 今後、野党側にとってポイントとなるのが共闘の行方だ。岡山選挙区では16、19年に各党が候補を一本化し、実質的な与野党1対1の構図に持ち込んだが、22年の改選では調整が不調に終わり、来夏についても「現時点では白紙の状態」(複数の野党関係者)という。次期衆院選の岡山1区では立民、維新、共産、国民が独自に候補予定者を発表して活動しており、各党とも議席奪取の悲願を背負う一方、党の存在感を示したいとの思惑が透ける。

 野党共闘という点では10月に控える岡山県知事選の影響も絡む。20年の前回は与野党相乗りで支援した現職と共産推薦の新人による一騎打ちとなった。今回も同様の構図となれば衆参、知事選で枠組みにねじれが生じる可能性があるからだ。

 現職の引退表明で動き始めた参院選岡山選挙区。世論の風向きとともに、日程の近い大型選挙の動向をにらみながらの各党の攻防が加速しそうだ。

来夏の参院選に向けて公認候補を公募する方針を決めた自民党岡山県連の常任総務会=4日

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