ケタ違いのインド総選挙 有権者9億7千万人 気温52℃で死者続出「投票中に亡くなる人も」

与党が過半数を確保した(ロイター)

〝世界最大の民主主義国家〟インドの選挙はケタ違いだ。人口は約14億4000万人で、有権者は約9億7000万人。今回の下院(定数545)総選挙の投票は4月19日に始まり、地域別に7回に分けて行われた。4日に一斉開票された。

複数の地元メディアによると、モディ首相(73)率いるインド人民党(BJP)中心の与党連合が過半数を維持する見通しだという。

選挙管理委員長のラジブ・クマール氏は3日、投票数6億4200万票だと発表した。そんな莫大な票をどう集計するのか。

投票は主に電子投票機(EVM)で行われたため、集計は迅速だ。各州の主要な集計センターでCCTV監視の下、EVMが集計テーブルに運ばれる。候補者とその代理人、そして投票管理官は、集計前にEVMを点検。また、機械内の日付や時刻などの他の詳細が一致することに加え、EVMが改ざんされていないことを確認。集計した結果はコンピューターに入力される。
インド事情通は「以前は投票用紙に拇印を押して箱に入れるだけだったので選挙のたびに不正投票でモメていました。現在、投票用紙は軍人、高齢者、障害者にごく少数のみ使用されています。EVMでは不正は難しいでしょう」と指摘する。

また、今回の選挙は命がけだったという。熱波が続いたからだ。それでも、インドで総選挙は5年に1回の〝お祭り〟であり、基本的権利であり、義務であり、有権者はできるだけ投票に行こうとする。

しかし、最終日の1日、北部ウッタル・プラデーシュ州では52・9度となり、投票所職員33人が熱中症で死亡した。他にも数日で200人以上が亡くなったという。

「猛暑が投票率低下の一因となった可能性があり、投票を1か月早めるべきだったと言われています。熱波警報を考慮に入れなかった選挙管理委員会が批判されています。投票所には、給水器やミストマシン、日陰があるにもかかわらず、投票所で投票中に亡くなった有権者もいたそうです」と同事情通は話している。

© 株式会社東京スポーツ新聞社