大成建設ら/液状化解析ツールを開発、地下水の動き高精度評価

大成建設とシステム開発などを展開するアーク情報システム(東京都千代田区、中島康普社長)は、地震に伴う地盤と周辺構造物の挙動を高精度に評価する新たな液状化解析ツールを開発した。土木、建築両分野で豊富な実績がある3DFEM(有限要素法)解析プログラム「TDAPIII」に実装。液状化に対する構造物の安全性評価に活用することで、より信頼性の高い評価に基づく合理的な液状化対策工法や基礎構造の検討を可能にする。
液状化発生のメカニズムは、一般的に地震の揺れによる地盤剛性低下と地下水排出で生じる地盤変形を起因とする。合理的で最適な液状化対策の立案や構造物の基礎設計では、解析プログラムを用いて発生メカニズムを忠実に再現することが重要になる。従来の液状化解析ツールではコンピューター処理能力に限界があり詳細な地下水の動きをモデル化できず、液状化現象を十分再現するには至らなかった。
新たに開発した液状化解析ツールは、従来の地盤剛性低下に加え地下水排出の動きも精緻に表現。液状化が懸念される密度や透水性の異なる地層が複雑に堆積した地盤や、高周波数成分を含む地震動による地下水の動きも高精度に再現する。液状化に伴う構造物の挙動も高精度に解析。3Dで地盤変位や地下水の圧力分布、構造物の安全性を把握でき、液状化が発生するエリアや構造物の損傷度、対策工の効果なども容易に確認できる。
大成建設は今後、大規模地震で液状化発生リスクの高い臨海部の高層建物や湾岸域にあるエネルギープラントを想定し、さまざまな施設や構造物などの計画に新たな液状化解析ツールを活用。機能のさらなる高度化や解析モデルの大規模化に取り組んでいく。

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