業法・入契法改正案/参院国交委で参考人質疑、標準労務費に強い期待・Gメン拡充要望

建設業法と公共工事入札契約適正化法(入契法)の一括改正案の国会審議が大詰めを迎えている。参院国土交通委員会で4日に参考人の意見陳述と質疑が行われ、招致された3氏とも現場の下請、技能者に近い立場から、国が示す「標準労務費」に基づく適正な労務費、賃金の行き渡りに強い期待を表明。技能者らの賃上げに国民の理解を得る機運づくりや、取引実態の実地調査・指導に当たる「建設Gメン」の体制拡充を国に求めた。同日の参院国交委の理事会で、与野党による質疑を6日に実施し以後の対応を引き続き協議することも決まった。
参考人として招致されたのは建設産業専門団体連合会(建専連)会長の岩田正吾氏、全建総連書記次長の小倉範之氏、全国仮設安全事業協同組合(アクセス)副理事長の小岸昭義氏。学識者が含まれた衆院とは異なり、建設業界の下請団体や労働組合の代表者がそろった。
改正法案で最も期待する内容について3氏とも「標準労務費」を真っ先に挙げた。適正な労務費などの行き渡りに向け、官民が協力した新たな取引ルールの周知などで「実効性の確保は可能」との見解を共通して示した。
岩田氏は、民間工事で労務費などの行き渡りを担保するチェック体制や民間発注者の理解醸成への働き掛けで国の対応を要求。一方、建設市場で優良企業が評価される「質の競争」への転換に向け「われわれも業法を身近なものとしてコピーを持って現場で(工事長や所長との)交渉の盾とし、労務費を競争の原資としないようお願いしていく」との決意を語った。さらには、賃上げに伴う価格転嫁を国民に受け入れてもらえる機運づくりを強く訴えた。
小倉氏は、標準労務費をベースに適正な賃金が個々の現場従事者に支払われているかどうか調査、公表する重要性を指摘。「建設業の産業規模を考えると建設Gメンの体制は多少心もとない」と話し、建設業界より従事者数などが少ないトラック業界の「トラックGメン」が建設Gメンより多い現状を引き合いに出しながら「来年度以降さらなる拡充が求められる」とした。
小岸氏も弱い立場の事業者などが取引上の不当な扱いを受けた際の助けとして、国の駆け込みホットラインや建設Gメンの充実を訴えた。工期延長時に追加経費が支払われなかった自身の経験も紹介し「当たり前にもらえるはずのお金が当たり前にもらえない業界を何十年も肌で実感してきた」と話し、法改正による現状改善に期待した。

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