[元白バイ警官が解説]バイクのすり抜けって許される場合はあるの? 道交法違反しないためのポイントは?

バイク乗りの特権ともいえるすり抜けだが、しばしば「車とぶつかりそうで危なっかしい」とか「それって道路交通法違反なんじゃないの?」といった批判的な意見も目にする。実際のところ、どうするのが正解なのだろうか? 元白バイ警官の宅島奈津子さんが解説する。

●文:[クリエイターチャンネル] 宅島奈津子

1分でわかる記事ダイジェスト

すり抜けは一般的に使われている言葉ではあるものの、道路交通法上では存在しない言葉。信号待ちの車両や渋滞等で低速走行している車両のすぐそばを追い越す行為を指す。

― 追い越しと追い抜きの違い

追い越しとは「進路を変更したり、車線変更して前の車両の前方に出ること」。追い抜きは「進路変更を行わずに前方の車両等の前に出ること」を示している。

― すり抜けても捕まらないためには

運転免許を取得する際に、誰もが学んできていることだが誤った解釈をしがち。個々人の認識の違いにより、「こういうケースのすり抜けは許される」という認識が生まれる。追い抜きに該当する場合、すべてのすり抜けが違反なのかと言ったらそうではない。

同じライダーとして、私もそういった気持ちはよくわかる。渋滞時にするする抜けていけるのは二輪車の特権だとも言いたくなる。

追い越しと追い抜きの違いや、追い越しが禁止されている場所。追い越しが禁止されている場所はどこなのかというと、下記の9つになる。

  • 標識などにより追い越しが禁止されている場所
  • 道路の曲がり角付近
  • 上り坂の頂上付近
  • 勾配の急な下り坂
  • トンネル(車両通行帯の設けられた道路は除く)
  • 交差点とその手前から30m以内の場所
  • 踏切とその手前から30m以内の場所
  • 横断歩道とその手前から30m以内の場所
  • 自転車横断帯とその手前から30m以内の場所

路肩と路側帯の違いも重要。判断がつくようにしておこう。

― 「すり抜け」をしたくなる人の心理

通勤時をはじめとして、急いでいるときが多いのではないだろうか。現代の日本人はせっかちで、時間がないわけでもないのに急いでしまう。気持ちや行動にゆとりを持つことが大切。

― 結論・・・すり抜けはしていいのか、いけないのか

軽微な違反をすべて検挙していたら、ライダーのほとんどが捕まってしまうことになるため、極めて危険な場合を優先して検挙するというのが警察の立場。すり抜けはしていいのか、いけないのかではなく、危険なのでしないほうがいい。

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