この見た目この存在感でそんなに若いの!? 意外な「実年齢」に驚いたキャラたち

『鬼滅の刃』無限列車編1[DVD](アニプレックス)

時に厳しく時に優しく、主人公たちを導いてくれる兄貴分キャラクターたち。彼らは見た目が貫禄たっぷりなうえに堂々とした立ち振る舞いをしているため大人びた印象を与えるが、実はとんでもなく若い設定になっていることがある。

彼らの年齢を知り、「自分の若い頃と全然違う……」と驚いた読者も多いのではないだろうか。今回は、そんな実年齢に驚いたキャラクターを少年漫画&アニメに絞って振り返ってみよう。

■情熱を胸にたくましく生きた20歳の柱

まずは、現在アニメで『柱稽古編』が放送中の、吾峠呼世晴さんの人気漫画『鬼滅の刃』から。ずば抜けた強さを誇る鬼殺隊の「柱」たちの中でも特に高い戦闘力を有し、強い信念と熱い生きざまを見せて読者を熱狂させた炎柱の煉獄杏寿郎だ。

その堂々とした態度や、後輩や弟への面倒見の良さから大人っぽいイメージがあったが、彼はなんとまだ20歳の若者。大正という時代背景、根っからのポジティブ思考、代々炎柱を輩出する“煉獄家”に生まれたことも理由ではあるが、20歳の若さであそこまでの精神力を鍛え上げるのは簡単なことではないだろう。

彼を奮い立たせていたのは、幼い頃に病気で亡くなった尊敬する母・瑠火の存在。彼女は生前、「弱き人を助けることは強く生まれた者の責務です 責任を持って果たさなければならない使命なのです」という教えを残していた。

この教えがあったから彼は、酒に溺れた父・槇寿郎に拒絶されても挫けなかった。さらに、弟の千寿郎を「燃えるような情熱を胸に頑張ろう!」と励ましながら前を向けたのだ。

杏寿郎が母の教えを支えに生きていたことは、「無限列車編」のラストシーンでも描かれていた。上弦の鬼・猗窩座を追い詰め、列車の乗客を誰一人死なせず守り抜き、間もなく命が尽きようとしていた杏寿郎の目の前に、亡き母が現れたのである。

驚きながらも「俺はちゃんとやれただろか やるべきこと果たすべことを全うできましたか?」と問う杏寿郎は、「立派にできましたよ」という母の言葉を聞くと、これまでに見せたことのない子どものような笑顔を浮かべて旅立った。

わずか20歳の若者がこれだけいろいろなものを背負わなくてはいけない背景には切なくなるが、弱音もはかず母への想いと教えを胸に、“責務を全うする”という信念を貫いたその熱い生きざまには感動を覚える。

■貫禄ありすぎ!突如艦長に就任した19歳

次はアニメの『ガンダム』シリーズから。『機動戦士ガンダム』『機動戦士Zガンダム』『機動戦士ガンダムZZ』『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』『機動戦士ガンダムUC』『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』と、シリーズを通して大活躍した“いぶし銀”の軍人ブライト・ノアだ。

彼の初登場時の肩書は、地球連邦軍士官候補生だった。初の出兵でホワイトベースに乗り込んだ際にシャア・アズナブル率いるジオン軍の襲撃を受け、人生が大きく変わる。

現場は混乱を極め、正規軍人や艦長のパオロ・カシアスの負傷で指揮系統も崩れてしまう。指揮官不在の中、ブライトは人々をまとめ、そのまま代理艦長に抜擢される。もともと見た目が大人っぽいため違和感はないが、このときの年齢はなんと19歳。真面目で責任感の強い彼の指揮官としての才覚は、徐々に開花していく。

クルーに対しては厳しく、特に民間人からパイロットになったアムロ・レイとは何かと衝突した。軍人教育を受けていないアムロにとって彼の要望は重荷で、あるときブライトの高圧的な言動に耐えかねて戦いをボイコットしてしまう。

激怒したブライトは言い合いの末、アムロにビンタをかました。このときのアムロの「親父にもぶたれたことないのに!」というセリフは、ガンダム未視聴の人でも耳にしたことはあるのではないだろうか。

「それが甘ったれなんだ! 殴られもせずに一人前になった奴がどこにいるものか」と刺激的な発言もしているが、アムロに対する期待は高く、彼の母と対面した際には「アムロ君のおかげで命拾いをさせてもらってます」「お子様をお預かりします」など、保護者のような発言もしている。

その後、正式にホワイトベース艦長に任命されたブライトは、アーガマ、ネェル・アーガマなどで艦長を務め、指揮官としての才覚をますます発揮し、幾多の戦いで勝利を納めていく。厳しいところもあるが、理想の上司と称するファンが多いのも納得である。

■青銅聖闘士の前に立ちはだかった20歳の巨体

最後は、車田正美さんの『聖闘士星矢』に登場した牡牛座のアルデバランを見ていく。彼はアテナ神殿に通じる「十二宮」を守護する黄金聖闘士の一人だ。

年齢は20歳。『聖闘士星矢』は年齢と見た目にギャップのあるキャラが多いのだが、アルデバランは金髪ロングのオールバックに鋭い顔つき、210センチ、130キロの巨体ゆえ、突出していた。

性格は見た目に比例し、豪快かつ実直で漢らしい。黄金聖闘士の中で最も兄貴っぽい人物と言えば、間違いなく彼だろう。真っすぐすぎる戦闘スタイルゆえやられてしまうこともあるが、戦闘力も高く、凝縮した小宇宙を放つ必殺技「グレートホーン」は凄まじい威力を誇る。初登場時の星矢との戦いでは、そんなアルデバランの強さと実直さが垣間見えた。

「金牛宮」に足を踏み入れた星矢ら青銅聖闘士は、「勝手にこの金牛宮をとおりぬけることはゆるさん!」と現れたアルデバランに吹っ飛ばされ、足止めを食らう。

星矢は圧倒的な強さを見せつけられ窮地に陥るが、戦いの中で黄金聖闘士のみが体得する小宇宙の真髄「セブンセンシズ」に目覚めはじめ、反撃を開始。「グレートホーン」をはじき返し、彼の黄金の角をへし折った。

直前に「角をヘシおったらあっさりと敗北をみとめてくれるわ」と発言していたアルデバランは、「ウワーッハハハーッ!!」と豪快に笑い出し、「いやあ まいった オレの負けだ星矢 このタウラスの角をヘシおった男などおまえがはじめてだ」と本当にあっさりと負けを認めた。だが、後に牡羊座のムウが言っていたように、彼が100%の力を出していたら星矢たちは全滅していただろう。

その後アルデバランは通過を許可し、最後には「この先もおなじようにいくと思ったら大間違いだぞ! 黄金聖衣をなめるなよ!」とエールを送った。黄金聖闘士は美男子が多いので女子人気は低かったが、間違いなくアルデバランはかっこいい漢である。

大人の視点から見ると、20歳前後の若者とは思えない彼らの達観ぶりには驚いてしまう。だが、若い彼らが戦いの中に身を置き、命をかけなければならなかった背景を考えると胸にくるものがある。

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