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年を取るにつれて若い頃できていたことができなくなり、やりきれない気持ちになる…シニアになるとそんな風に老いを実感することが増えるかもしれません。しかし、老いに対してネガティブにとらえすぎるというのは考えものです。そこで、シニア世代の名医・保坂隆氏の著書『お金をかけず気軽にできる 「ひとり老後」が楽しい77の習慣』(KADOKAWA)から、老いを受け入れてストレスなく生きる方法をご紹介します。
若い頃と比べてできなくなることが増え、ネガティブになる…
「老い」という言葉を聞けば、ほとんどの人がマイナスの印象を持つと思います。シニア世代ともなれば、日々の生活の中で老いを実感しますから、不安やあせりで、やりきれない気持ちになるかもしれません。
たしかに、年齢を重ねれば体力は落ちますし、物忘れが多くなったり、何かをするのも億おっ劫くうになったりしますね。新しい機器の操作なんて、覚えるのも面倒ですし、慣れるのにも時間がかかります。
もしかしたら、若い頃できていたことができなくなるのが、老いをネガティブにとらえる一番大きな理由かもしれません。それなら、若い頃とくらべてどのくらい衰えているものなのか、見てみましょう。
まず筋肉量ですが、加齢によって70歳の人は30歳の人より3割減ります。「えっ、そんなに減っているの!? それじゃ動くのも大変!」と、びっくりしたかもしれませんが、これは、日常生活には何の支障もない減り方なので、ご安心ください。
次に、記憶力など頭の働きに目を向けてみましょう。最近のシニア世代は、「若い頃より物覚えが悪くなった」「新しいものについていけなくなった」と言いながらも、多くの人がスマホを持ち、メールを打ったり、写真や動画を撮ったり、支払いをしたりと、使いこなしています。
十数年前に、70代、80代の人がスマホでメールを打つなんて考えられましたか? しかも、ごく普通のシニア女性が「スマホって便利よね。孫とも顔を見ながら話せるし」などと話しているのを聞くと、どこに「老い」が来ているのかと首をかしげてしまいます。
私だけじゃない…そう思えるとスーッと心が軽くなる
今のシニア世代は、昭和の時代に、会社でコピーをとったり、ファクスを送ったりできなかったおじさんたちより、ずっと進化して何でもできます。
つまり、「老い」という言葉のイメージばかりが先行して、何でもネガティブにとらえすぎているのではないでしょうか。それだけでなく、自分自身が抱えている問題を「老い」のせいだとすり替えて考える人もいるようです。
私たちは、この世に生まれた瞬間から死に向かって進んでいて、年齢に応じて体が変化していくのは自然なこと。それならば、日々の暮らしでは「老い」を意識しないで過ごしたほうがいいのではありませんか?
また、老いに対しての不安は、自分ひとりで考え込まず、いろいろな人の意見を聞いてみるといいかもしれません。
「僕も同じだよ」「私なんか、もっとひどいわ」というような会話は、同年代の人が集まると必ずといっていいほど交わされますよね。
そして、お互いに「自分はこんな対策をしている」とか、「そんなこと、気にしないほうがいいよ」というようなアドバイスもあるのではないでしょうか。同じ気持ちの人と出会えれば、「ああ、私だけじゃないんだ」と、スーッと心を軽くできるでしょう。
保坂 隆
保坂サイコオンコロジー・クリニック院長