農産物・加工品 輸出最高 茨城県42億円 コメ、菓子けん引

茨城県の青果物、コメ、畜産物を合わせた農産物と加工食品の2023年度輸出額は前年度比41%増の42億3500万円で、過去最高を更新した。県が4日、発表した。農産物ではコメが83%増と大幅に拡大。加工食品は菓子類が2倍増となり全体をけん引した。県は事業者への支援強化と新規参入を促し、一層の販路拡大を目指す。

県が支援した事業者などへの聞き取りにより、農産物、加工食品の輸出額を調べた。輸出額の内訳は、農産物が前年度比33%増の17億5310万円、加工食品が48%増の24億8200万円で、いずれも過去最高を更新した。農産物は集計を始めた翌年の16年度から8年連続、加工食品は21年度から3年連続の更新。

農産物で輸出額が最も多かったのは、コメの7億1千万円。特にシンガポール向けが3倍増、米国向けが2倍増と目立った。県は日本食を扱うレストランの需要拡大に加え、円安を背景とした県内事業者らの輸出拡大、昨年10月に訪米した大井川和彦知事のトップセールスの成果などが出たとみている。

青果物は5億7820万円で、東南アジアの焼き芋需要が定着したサツマイモが9割を占めた。輸出先ではタイ向けが84%増で、ねっとりとした食感と甘みが特長の「紅はるか」が引き続き人気。シンガポール向けも2.5倍増となった。

畜産物は4億6490万円。鶏卵は香港で生食需要が高まるなどして46%増となった。県銘柄牛「常陸牛」は引き続きレストラン需要の高いタイ向けが輸出を伸ばしたが、全体では15%減だった。

加工食品は、菓子類や調味料、納豆などの一般加工食品が17億5900万円で、前年度比63%増と拡大。特に菓子類は2倍増の8億4800万円で、円安を背景にアジアや欧米に輸出された。地酒などの酒類も、21%増の7億2300万円と順調に伸びた。

県は人口減少による国内市場の縮小を見据え、県産品の輸出拡大に取り組む。農産物は常陸牛、コメ、サツマイモを「輸出の主要3品目」と位置付け、生産者と輸出先とのマッチングなどで支援。加工食品は高価格で販売が見込めるアラブ首長国連邦(UAE)など5カ国・地域で、専門家による需要を調査するなど販路開拓に乗り出している。

県農産物販売課と県加工食品販売チームは「引き続き輸出に意欲のある事業者を側面から応援していく。輸出に取り組む事業者を増やし、農産品と加工食品の輸出額を拡大させたい」と意欲を示した。

© 株式会社茨城新聞社