祖業はシロアリ駆除・防止、M&A駆使のビルメンテ注力 ニットーの紆余曲折

NITTOH(名証メイン市場。以下、ニットー)。祖業はシロアリ駆除。現状では住宅設備・リフォーム工事が主体。ビルメンテナンスも手掛ける。関東・関西市場にも注力中。

創業者:中野良治氏(元社長・会長)により前身(サンインテリア)が1973年に設立された。

企業に感じる面白さの一つに「転変の妙」がある。ニットーにも、それを覚える。合板会社の工場長を務めた中野氏は「木材に関する技術」「人脈」を活かし、輸入木材を利用した家具・インテリアの製造販売を行うべき独立した。

しかし事は思うように進まなかった。仮にもそんな中でシロアリという時流に乗った救世主!?の後押しがなければ、今日のニットーが存在していたかどうかも断言はできない。

木材防腐の知識を活かし、新築住宅のシロアリ予防業に活路を求めた。当たった。そのことは住友林業(東証プライム)からシロアリ予防工事を請け負うようにまでなったことに、象徴される。

シロアリ予防でその名の認識が高まると「隣の庭」とも言うべきマツクイムシなど、樹木害虫防除の仕事も増えていった。「飛躍的に営業所を増やしていった」と、ニットーの社史にも記されている。

1998年ニットーは、建設大臣一般建設業認可を取得している。建築工・防水工・大工工・電気工・管工事業の領域に足を踏み込んだのである。

が2000年代に入ると一転して、「4期連続の減収」という事態に遭遇した。「新築住宅着工件数の減少」という時の変遷、そして「シロアリ予防の進展に伴う需要減」による減収というこれまでを牽引してきた事業の衰退だった。しかしこの事態も「住宅設備・リフォーム工事軸の建設工事への注力」で乗り切る構えを執った。

がいま冒頭でも記した通り、ビルメンテナンスという新たな(従来事業と相関性も伴う)事業に注力している。住宅・ビル・施設の清掃・設備管理・外壁診断/調整etc。そして事業拡幅法として、M&Aも経営戦略として用いている。例えばビルメンテで定評があったムサシ管財を子会社化(ビルワーク)している。

収益動向も2024年3月期の「4.6%増収、24.3%営業増益」に続き今期計画も「4.7%増収(106億円)、4.8%営業増益(4億5000万円)」と、好調な推移を見込んでいる。かつ注目したいのはコロナ禍に晒された21年3月期こそ「13円配据え置き」としたが以降は14円配/15円配/16円配、そして今期も17円配予想と連続増配を続けている。

本稿作成中の時価は560円台、予想税引き後配当利回り2.4%余。年初来安値531円(1月)から高値610(5月)まで回復し微調整場面。今期の収益計画の動向次第では、時価PBR0.53倍にも投資家目線が向いてくる可能性もあるのではないか・・・

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