先輩たちの思い背負って バレー女子・西彼杵「感謝」の初優勝 長崎県高総体第4日

【バレーボール女子決勝、西彼杵―聖和女学院】第4セット、ブロックに跳ぶ西彼杵の(右から)OH佐藤侑、MB泉、OH田中=諫早市中央体育館

 バレーボール女子決勝第4セット、西彼杵のマッチポイント。OH田中のスパイクが、ブロックの間を抜けて相手コートに突き刺さった。瞬間、選手たちは雄たけびを上げ、スタンドからは割れんばかりの歓声が上がった。「感謝の心を持ってやれていた」。井上監督は初優勝をつかんだ選手たちを笑顔でたたえた。
 九州文化学園を15度の日本一に導いた井上監督が昨春、定年退職後に西彼杵の監督に就任。その指導継続を求めて、選手の多くが西彼杵に転校した。全国高体連の規定で半年間試合に出られず、昨年の県高総体は補助員としての参加しかできなかったが、選手たちは笑顔を絶やさなかった。懸命に練習に打ち込んだ。だが、満を持して臨んだ11月の全日本選手権県予選は決勝で惜敗。去年の3年生は夏、冬とも全国の舞台に立てなかった。
 今大会が始まる直前。その卒業した先輩たちから3年生にLINE(ライン)が届いた。「絶対優勝できる。応援しているよ」。主将の平川が部員を集めて言った。「やるしかないよ。先輩たちの悔しさを晴らそう」。結束はより強くなった。
 接戦となった聖和女学院との決勝。OH佐藤侑、OP佐藤佳らがひるまずに強打を放ち続けた。リベロ吉田を中心に諦めずにボールをつないだ。圧巻は第4セット、17-20の劣勢からの7連続得点。3-1で悲願の全国切符を手にした。
 この日は全校応援の生徒をはじめ、保護者、地域の人たちがスタンドを埋めた。「いつも支えてくれて感謝しかない。一つ恩返しができた」(平川)。県高総体の歴史に「西彼杵」の文字が刻み込まれた。

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