中国で増える若年就農者、農地のハイテク化を推進

中国で増える若年就農者、農地のハイテク化を推進

四川省祟州市隆興鎮で、ドローンを操縦して冬小麦の病虫害予防をする王李鋭さん。(3月26日撮影、成都=新華社記者/王曦)

 【新華社北京6月5日】中国では近年、若年就農者の動向が注目を集めている。一部地域では農業用ドローンの操縦や薬剤調合、虫の識別技術開発など専門分野で活躍する若者も増えている。

中国で増える若年就農者、農地のハイテク化を推進

河南省駐馬店市西平県にある老王坡高規格水田モデル区の指令室で、小麦の生育状況を把握する学生の農業従事者。専門的な知識に富み、農業技術をよく理解し、経営管理を得意としており「新農人」と呼ばれる。(2023年2月28日撮影、駐馬店=新華社記者/張浩然)

 農村を目指す若者は今や珍しくない。農業農村部によると、2012~22年に農村に帰郷、または移住して創業した人は1220万人に上っており、第14次5カ年規画(21~25年)で25年までに1500万人以上にする目標が立てられた。背景には若者と農村の距離感の変化がある。

中国で増える若年就農者、農地のハイテク化を推進

衛星測位システム「北斗」の位置情報を受信し、農地を走行する無人トラクター。(資料写真、フフホト=新華社配信)

 中国の農業分野で科学技術の貢献率は63%を超え、耕運・栽培・収穫の総合機械化率は73%以上となった。ドローンや不耕起対応播種機、衛星測位システム「北斗」、モノのインターネット(IoT)など、新技術が農村振興に無限の可能性をもたらした。機械化やスマート化により、農業は経験を要する重労働からデータに基づく機械操作に変わり、未経験の若者にも取り組みやすくなっている。大規模生産や機械化、科学技術導入、近代化に着目して農村に赴き、ハイテクを活用する人もいる。

中国で増える若年就農者、農地のハイテク化を推進

安徽省黄山市黄山区の山あいで荷物運搬用のドローンを操縦する90年代生まれの農業従事者。(4月27日撮影、黄山=新華社記者/杜宇)

 四川省の祟州市万茂欣欣農機専業合作社(協同組合)で「農業職業経理人」を務める舒星宇(じょ・せいう)さんは1992年生まれ、数年続けた前職を辞め、故郷に先進的な農業技術を持ち込んだ。合作社は4万ムー(約27平方キロ)の管理地で田起こしから育苗、田植え、農薬散布、収穫、乾燥まで全工程を機械化した。農機の運転を担当する王李鋭(おう・りえい)さん(25)は研究熱心な性格から、各種農業機器やドローンを使った作物保護などの技能をマスターした。2022年に出稼ぎ先から農村に戻って専業農家となり、現在では農機の最新知識を身に付けている。

 上海交通大学環境科学・工程学院の黄勇平(こう・ゆうへい)特任教授は「新時代の青年は技術やプロジェクトの導入に長けており、鋭い観察眼と自らの能力で土地柄に合う事業を展開していくので、農村振興の焦点を絞る効果が高まる」と語った。(記者/楊珏)

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