ジェントルマンズ・ライドを楽しむ

先だって当サイトでも紹介したDistinguished Gentleman's Ride(DGR)に参加した。「世界各地でライダーたちが粋なスタイルでクラシカルなバイクに跨り、パレードランしながら募金を呼びかける」というものだ。

日本国内だけでも14会場で開催。DGR東京イーストには午前・午後合わせて354人が登録した(写真提供:トライアンフモーターサイクルジャパン)

DGR2024が5月19日(日)に開催されると聞いて、反応したのは営業企画部・辻内。2012年の第1回大会からトライアンフが協賛していると聞いており、トライアンフ乗りの端くれとして気になっていた。ただ気になってはいたのだが、わが愛車はトライアンフの3気筒モデル。2001年式と年季は入っているが、クラシカルやビンテージと呼ばれる類の車両ではない。果たしてイベントの主旨に合っているのだろうか。ちょっと遠慮しておいた方がいいかしら、と、営業らしからぬ(?)弱気なコトを言っていると関係者様が……。

「3気筒乗りの方でも全然問題なく参加できるかと思います。昨年は原付で参加された方や、トライアンフ以外のバイクで参加された方もいらっしゃいました」

何とも心強い後押し。それでは行ってみましょうと、ネクタイ着用で会場へ。思えばこのスタイルで走るのはバイク歴36年目にして初めてだ。

日本国内だけでも14会場で開催されるなか、筆者が訪れたのは最大規模となるDGR東京イースト(東京都江戸川区)。首都高速を降り、受付時間15分ほど前に到着すると実にさまざまな二輪車が佇んでいた。トライアンフのボンネビルやスクランブラーはもちろん、ホンダGB400TT Mk2、ヤマハWR250Rにハーレーダビッドソンの姿も。開場後もBMW R100RSやR90/6といった往年の名車から、ロイヤルエンフィールドINT650、モトグッツィV7などの現行車、国産勢もカワサキW800、ヤマハSR400、さらにはホンダCL72といった機種が続々と姿を現す。集まる二輪車を見ているだけでも笑みがこぼれてくる。

やはり最も多いのはトライアンフの2気筒クラシックモデルである(写真提供:トライアンフモーターサイクルジャパン)
ホンダのドリーム50やGB400TT Mk2といった懐かしい機種も

ライダーたちの出立ちはといえば、ネクタイにジャケットでキメるのが主流か。革ジャンを粋に着こなした御仁も数多く見られる。

DGR東京イーストに集まったライダーたち(写真提供:トライアンフモーターサイクルジャパン)
トライアンフモーターサイクルズジャパン大貫陽介社長も愛車ボンネビルT120で颯爽と

「暑すぎず丁度良い気候でよかった」と、胸をなでおろしていたのはトライアンフのシニアマーケティングマネージャー山本 学氏。毎年参加者は着実に増加しているという。

今回、DGR東京イーストに登録したライダーは354人。募金金額は3,735USDとなった。
またトライアンフジャパンおよび正規販売店主催の12会場では登録者707人、募金金額7,552USDとなった。
(DGR公式サイトによれば、日本全国14会場では登録者741人、募金金額7,882USD)

[The Distinguished Gentleman's Ride]

なお全世界での参加者数や募金額は近くトライアンフから発表される予定だ。

集まったお金は、男性のメンタルヘルスと前立腺がんの研究に役立てられる。参加者それぞれ意気に感じて駆けつけるのだろう。ただ集まってしまえばライダーたちが花咲かせるのは、そう、バイク談義である。筆者もボンネビル乗りのHiroさん、ロイヤルエンフィールド乗りのStephenさんやKeiさんらと大いに語らい、笑った。

SNSを通じてDGRを知ったというHiroさんも、筆者同様に初めての参加。自身2台目のボンネビルとなるT120を手に入れ、「カスタムに励んだ結果、なかなか気に入った仕上がりになったので、趣味の合うたくさんの方々に自分の愛車をお披露目したかったのと、みなさんの愛車を見てみたかったから」というのが動機だという。

また中には「3回、いや4回目だったかな」「これまで6回ほど来ています」といったリピーターも。やはり他の参加者との交流を楽しんでいる様子で、みな穏やかな笑顔が印象的だ。まさにジェントルライダーである。

東京ゲートブリッジを渡るパレードラン一行。先頭に写るHiroさんはじめ、みな走行中もジェントルマンだ(写真提供:トライアンフモーターサイクルジャパン)

公道でのパレードランが始まっても、その印象は変わらず。集団になったとてオラオラ走る御仁は見当たらない。かといって特段チャリティを呼び掛けるメッセージを掲げるでもなく、粋にキメた紳士たちがただ和やかに走る。

「この光景、はた目にはどう映るのだろう?」

そんな風に思っていると、東京ゲートブリッジを渡り切ったところで歩道から手を振る若者たちに気が付く。ライブイベント(新木場・若洲公園で開催されたMETROCK2024)に向かう道中のようだ。思わず手を振って応じるジェントルライダーたち。何というか、やけに楽しい。

信号待ちでも参加者同士、白い歯を見せ言葉を交わしている。

旧式のロイヤルエンフィールドをベースとしたカスタム車両で初参加のStephen Watson氏。DGR東京イースト午前のライドが終わった際、午後も参加するのだと笑っていた

26.2kmにわたるコースを走り、一旦会場に愛車を停める。あとは自由に流れ解散だが、やはり一言二言交わしたくなる。数十分は駄弁っただろうか。出会ったジェントルライダーたちを見送る際、口をついて出た言葉は「ではお気をつけて。また来年!」であった。

パレードラン後は一旦会場にバイクを停め、流れ解散となる

https://www.triumphmotorcycles.jp/for-the-ride/brand/distinguished-gentlemans-ride

[ご購読の申し込み - 二輪車新聞]

© 株式会社二輪車新聞社