【韓流・韓国旅行】母娘の情愛を描いたファンタジー映画『母とわたしの3日間』ロケ地、慶尚北道・金泉の味わい深い郷土料理

『母とわたしの3日間』ロケ地、慶尚北道・金泉のぶどう畑

キム・ヘスクとシン・ミナ主演の韓国映画『母とわたしの3日間』が日本で公開中だ。3年前に亡くなった母と、母の死に目に会えなかったことに苦しむ娘との「見えない再会」を感動的に描いた作品である。

■映画『母とわたしの3日間』の見どころは?キム・ヘスク×シン・ミナ主演の感動ファンタジー

天国から3日間の休暇をもらったポクチャ(キム・ヘスク)は、ガイド(カン・ギヨン)に連れられ、娘チンジュ(シン・ミナ)の元を訪ねる。アメリカで大学教授になっているはずのチンジュは、なぜか故郷に戻り、生前ポクチャが営んでいた定食屋を切り盛りしていた。

合点がいかないポクチャは、チンジュを問いただそうとするが、ポクチャの姿や声はチンジュには見えないし聞こえない。

いったいチンジュに何が起こったのか、心配でならないポクチャ。ソウルからチンジュを訪ねやってきた親友(ファン・ボラ)とチンジュの会話から、ポクチャはチンジュの深い苦しみを知る。

一方チンジュは、近所のハルモニ(おばあさん/チャン・ミギョン)が語るポクチャとの昔話を聞き、ポクチャの本心を知る。

ジクソーパズルが1ピースずつ埋まっていくかのように、母と娘がお互いを思う気持ちが徐々に明らかになっていくというストーリー展開が素晴らしく、後半は幾度も涙が頬を伝った。 父と娘の深い情愛を描いた『7番房の奇跡』のユ・ヨンアが手掛けた脚本が秀逸だ。

劇中登場する数々の料理も見どころの一つだ。チンジュが母の秘伝の味を思い出しながら、試行錯誤の上作るマンドゥ(韓国風餃子)、そして村人たちに振舞ったククス(温かい麺料理)があまりに美味しそうで、映画の世界に入り込みたくなるほどだ。

■『母とわたしの3日間』ロケ地、慶尚北道・金泉の郷土料理・ケンシギ

『母とわたしの3日間』のチンジュの故郷は、韓国中東部にある慶尚北道・金泉(キムチョン)市。東部には金烏山(クモサン)、南西部には黄岳山(ファンアクサン)をはじめとした千メートルを超える山々がそびえ、平野部ではぶどうやすももなどの農業や、黒豚の畜産が盛んな地域だ。

黄岳山の麓には、新羅時代の418年に阿道(アド)和尚が創建した直指寺(チッチサ)がある。

金泉を代表する観光スポット、直指寺の本堂である大雄殿

寺からタクシーで10分足らず北東へ移動すると、広大なぶどう畑のなかに黄土壁の民家が現れる。「線路脇のオマクサリ」という面白い店名の食堂だ。入口へのアプローチには、線路のような枕木が配されている。

外壁には昔の農機具や甕などが貼り付けられていて、店内には柱時計やタイプライター、公衆電話など、懐かしの品々が展示されている。

広大なぶどう畑の中にひっそりとたたずむ食堂「線路横のオマクサリ」

この店では、慶尚道の郷土料理であるケンシギを食べることができる。熟成キムチを使ったお粥なのだが、一般的なキムチ粥とは一線を画している。ごはん、スジェビ(すいとん)、カレトッ(棒状の餅を斜めに薄くスライスしたもの)、ククス(素麺)、豆もやし、と炭水化物を中心に具だくさんなのが特徴だ。

数種類の韓方薬剤を使ったスープで煮込んでいるそうで、熟成キムチの味わいと相まって、どことなく懐かしさとを感じるとともに深みのある味になっている。

慶尚道の郷土料理・ケンシギは熟成キムチを使った具だくさんのお粥

●金泉へのアクセス

ソウル駅から亀尾金泉駅までKTX(韓国高速鉄道)で約1時間30分

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