炎天下で休憩、暑熱避難施設 指定7割 297カ所 茨城県内32市町村

クーリングシェルターに指定された水戸市民会館=同市泉町

炎天下に休憩できる施設「クーリングシェルター(指定暑熱避難施設)」が、茨城県内の7割に当たる32市町村で計297カ所指定された(3日現在)。県が4日、公表した。今夏も猛暑が予測される中、残る12市町村も住民の安全確保に向け準備を急いでいる。

クーリングシェルターは、4月施行の改正気候変動適応法に基づき、危険な暑さから身を守るために一時的に避難できる施設。冷房設備を備えた地域施設の中から各市町村長が指定する。県はクーリングシェルターを各市町村に最低1カ所は設置するよう呼びかけている。

県内で既に指定を済ませた市町村は、水戸市や土浦市など32市町村。

水戸市では市民会館や市役所本庁舎、各市民センターなど市内51カ所が指定され、既に運用が始まっている。本来は「熱中症特別警戒アラート」が発表された時に利用する決まりだが、同市は同アラートが発表されなくても可能な限り開放するという。土浦市は公民館8カ所と民間施設のイオンモール土浦の計9カ所を指定した。

未指定の市町村のうち、東海村は今夏までに村内10カ所を指定する予定。古河市は今月中にも市内の図書館や公民館など約15カ所を指定する方針だ。

気象庁によると、昨夏の平均気温は1898年の統計開始以来最高を更新。今夏も猛暑を予想している。2023年度は熱中症警戒アラートの発表も相次ぎ、茨城県では16回発表。熱中症による救急搬送者も増加傾向にあり、消防庁によると、23年5~9月の搬送者数は2600人。本年度は4月29日~6月2日の1カ月余りで63人が搬送された。

県環境政策課によると、県施設の指定について市町村から提案などがある場合、県が施設管理者と市町村との調整役を務める考え。指定状況については県ホームページで随時更新し、県民に周知する。

同課担当者は「県民の安全を守るため、指定拡大に向けて取り組みたい」としている。

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