新アリーナ 岡山市単独で実現へ 市長方針 31年度稼働目指す

岡山市が新アリーナを整備する市営住宅跡地(点線部分)

 岡山市の大森雅夫市長は5日の定例記者会見で、同市北区野田の市営住宅跡地で検討している新アリーナ構想について、事業化の方針を決めたことを明らかにした。岡山県内のプロスポーツ活性化の必要性や地元経済界の要望を踏まえて判断した。2031年度の稼働を目指す。

 構想を巡っては、市は財政負担を含めて県に協力を求めたが、県は参画する理由がないなどとして応じない姿勢を示しており、市の単独事業として進める考えだ。市は事業化に向けた追加調査の経費2千万円を盛り込んだ24年度一般会計補正予算案を取りまとめ、10日開会の定例市議会に提出する。

 会見で大森市長は県内のスポーツ施設の現状について「バレーボールなどのプロが将来求める施設基準を満たす施設がない。このままでは岡山のプロスポーツの灯が消えてしまいかねない」と指摘。アリーナ整備によって地元スポーツチームの活性化が期待できるとした。

 構想の実現に向けては地元経済界やスポーツ団体から要望があったことに言及。「魅せるスポーツ」に力点を置いた新しいビジネスモデルとしてアリーナへの期待が高まっているとして「都市間競争を勝ち抜き、広く経済効果をもたらすことにつながる」とメリットを強調した。

 運営方法は経済界が要望している「公設民営」を前提に検討する。建設費用に関しては市財源に加え、国の予算や企業からの寄付などを活用していくという。

 市によると、追加調査では4月に公表した基本計画で5千席以上となっているメインアリーナの規模拡大を検討する。概算事業費や事業手法も改めて調べ、24年中に結論を出す方針。

 基本計画では、新アリーナはメインアリーナに加えてサブアリーナを備え、周辺施設を含めた総事業費の見積もりは約145億円。ランニングコストは年2億500万円と試算している。

 新アリーナの基本計画 岡山市を拠点とするプロスポーツ3チーム(岡山シーガルズ、岡山リベッツ、トライフープ岡山)の支援を狙いに、JR北長瀬駅から東約1キロの市営住宅跡地(約1.6ヘクタール)に建設する。観客席5千席以上のメインアリーナとバレーコート2面分のサブアリーナを整備。観戦に使う個室やラウンジも備える。20年間の経済波及効果額は岡山県全体で約910億円としている。

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