「お金が貯まらない人」の10の習慣とは? ファイナンシャルプランナー・深田晶恵さんがアドバイス【前編】

金額の大小にかかわらず、自分が幸せになれるなら、それはムダ金にあらずとしましょう。でも、「なぜか、お金が貯まらない」という人たちには、その性格や行動習慣に共通点があるようです。そこで、お金と上手につき合うヒントをファイナンシャルプランナーの深田晶恵さんに伺いました。

PROFILE
ファイナンシャルプランナー 深田晶恵さん

ふかた・あきえ●株式会社生活設計塾クルー取締役。1967年生まれ。ファイナンシャルプランナーとしてコンサルティングを行う他、メディア出演、講演活動、新聞や雑誌などのコラムも人気。
著書は『これからの生活どうなる? に備える 記入式 年金生活ビギナーのための家計練習帳』(講談社)など。

私の言い分!「これってムダ金ですか?」

雑誌「ゆうゆう」読者から寄せられた「これってムダ金ですか?」の声を紹介します。

⚫︎お中元とお歳暮について。「あれは、どちらも買って贈り合うのだから、中間業者が得しているだけだよね」と友人は言います。でも、私はそうは思いません。贈ることで気持ちが伝わるし、「届いたよ」と電話することで、お互いの近況を話せます。(あいこさん・57歳)

⚫︎数年前に活動休止したアイドルグループのファンクラブの年会費を払い続けています。見ているだけで元気をくれた彼らが、いつか活動再開するかもしれないと思うとどうしてもやめられません。(Y子さん・63歳)」

⚫︎定年退職してからも生命保険を毎月2万2400円支払っています。今は健康ですが、いつか病気になったらと思うとやめることができません。一人暮らしの安心料だと思うことにしています。(H子さん・64歳)

⚫︎毎朝、喫茶店でモーニングを食べているのですが……。やる気スイッチが入るみたいで、帰宅後に家の中を片づけまくっています。娘はムダ金だと言うのですが、私はそうは思わないんだけどなぁ。(キーコさん・69歳)

身に覚えはありませんか?「貯まらない」のはこんな人!

「ゆうゆう」読者の皆さんに、お金が貯まらない理由を伺い、10の「あるある」習慣に分類してみました。その悪習(!?)を絶ち、ムダ金遣いを抑えるためにどうしたらいいか、深田晶恵さんがアドバイス(あるある習慣⑥〜⑩は後編で紹介します)。

あるある①「少額なら、まあいいか」と値段をあまり気にしない

⚫︎懸賞が大好きで、書店に寄ると読まないのに懸賞のために雑誌をつい買ってしまう。(かずばあやさん・61歳)

⚫︎100円ショップが大好き。今どきの口紅やアイシャドウ、マスカラなんて、すごく優秀だから、何色も買って楽しんでいます。(Yumikoさん・56歳)

⚫︎仕事帰りに、近所のコンビニに寄るのが習慣。特に目的はなくても、店内を一周するだけで楽しい。でも、ついシュークリームなどのスイーツを買ってしまうので、お財布はやせ、体重は増加している。 (葉子さん・54歳)

⚫︎お菓子や食品などについているキャラクターの小物や付録が欲しくて、買う予定ではなかったのに、つい購入してしまう。あとになって、「このおまけのために買ってしまったー」といつも悔やんでいます。(酒井さん・50歳)

あるある② 通販大好き! ネットでポチッと、がクセになって

⚫︎コロナ禍のとき、通販で衣類や台所用品を買っていました。送料分が割高ですが、今も、「ラクなので」通販での買い物がやめられません。(まっちゃん・68歳)

⚫︎通販でついついポチッとしてしまいます。特に多いのが本。新聞の書評を読んで「面白そう」と思うとすぐにポチッ。でもそんなに読めるわけではなく、届いた本は積読状態。「いつか読もう」と思っている本や雑誌だけが増えていきます。(Mさん・55歳)

【深田さんのアドバイス】たし算とかけ算で、使いすぎの自分を「ハッ」とさせて

「お金が貯まらない人」のエピソードを読んで、深田晶恵さんは言う。

「日常的に、たし算とかけ算をするクセをつけなくちゃ!」

それはどういう意味ですか?

「一つひとつは少額でも、積み重なればかなりの額です。あるある習慣①の場合、コンビニや100円ショップで使うお金をたすと1日300円くらいになります。それに30日かければ9000円、さらに12カ月かければ10万円以上になりますよ」

え!? 1日数百円が積もり積もってそんな額になるとは……。

「そう、その『え!?』が大事なんです。コンビニの入り口で『年間10万円』と思い出し、回れ右して帰りましょう。②の通販大好きな人も同様です。1回分なら送料は数百円でも1年分ならいくらになりますか? 通販で買うのは重いものだけにして、注文回数を減らしましょう」

高齢になるほど、通販での買い物で散財しがちだという。

「年とともにできなくなることが増え、気軽に買い物にも行けなくなりますよね。通販はある意味、高齢者の自己実現です。しかも③のように体にいいものなら罪悪感もない。でも本当に役立っていますか? 効果を感じないなら一度やめてみては」

あるある③「健康のために」と言われるとつい買ってしまう

⚫︎チラシ、雑誌、新聞に載っているサプリを見ていると、「これは体にいいのでは?」とつい申し込んでしまう。多いときは5~6種類に。特によかったという実感はない。(北のマリーさん・74歳)

⚫︎雑誌や新聞に載っていたサプリを「試しに」と思って購入。「定期のほうが割安だから」と言われ、断り切れずに毎月支払いをしています。化粧品、育毛剤、サプリメント3種類、水といったものの支払いに追われています。そして使い切れずにたまっています。(K・Hさん・75歳)

あるある④「お買い得」に目がなくて、衝動買いしてしまう

⚫︎マヨネーズ、スパゲッティ、オリーブオイル、プロセスチーズ……賞味期限の長いものは、スーパーの特売日に安売りしていると、ストックがあるのに買ってしまいます。マヨネーズだけで3本ストック中。(H美さん・63歳)

⚫︎夫がムダなものをやたらとメルカリで購入しています。ほぼ中毒状態で、私はイラッとしてばかり。(Yさん・63歳)

⚫︎スーパーで消費期限が迫って安くなっているものをつい買ってしまう。でも、少し使って忘れてしまうことが多いんです。(K.Sさん・73歳)

⚫︎バーゲンにつられて買った衣服は、値札のついたままタンスの肥やしに。それも同じような服ばかり。今は仕事をしていないので、ほとんど着ていません。(タンスのこやしさん・70歳)

あるある⑤「いいもの」「自分へのごほうび」にはお金を惜しまない

⚫︎ストレスがたまったら「自分へのごほうび」でテンションを上げます。好きなブランドのバッグや靴、限定品の時計などを購入して「ボーナスまでは頑張るぞ!」とやる気を出します。(MMさん・54歳)

⚫︎義母は「安いものはそれなりよ」が口グセの人で、洋服も靴もバッグも時計も高級ブランドで、立派な食器棚には高そうな和洋の食器が並んでいました。さぞかしお金持ちなんだろうと思っていたけれど、亡くなったとき貯蓄は雀の涙。地方の実家は売れず、立派な家具ごと取り壊されました。(YYさん・58歳)

【深田さんのアドバイス】買っても使わなければゴミ。あとで処分する家族はつらい

あるある習慣③や④に共通するのが、「お買い得」といううたい文句だ。

「結局、使い切れないなら買っても意味がありません。私の義母もそういうタイプで、亡くなったあとにキッチンから賞味期限の切れた高級昆布が6袋、すりごまが10袋、10年前の缶詰が山ほど出てきました。大好きな義母でしたが、このときばかりは嫌いになりそうでした(笑)」

⑤のように、迷いなくお金を使うことが好きな人もいる。

「現役世代ならまだしも、リタイアしたあとに困るのは自分です。YYさんのお義母さんは反面教師だと考えましょう。どんな高級品でも、家族が受け継げるものは多くありません。②の『買っただけで読んでいない本』も、④の『値札がついたままの洋服』も、持ち主が亡くなったらすべてゴミ。私たちだって、いつお迎えがくるかわかりません。最終的に処分する人のつらさを考えて、買いたい気持ちにブレーキをかけましょう」

取材・文/神 素子

※この記事は「ゆうゆう」2023年12月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

※2023年11月25日に配信した記事を再編集しています。


© 株式会社主婦の友社