メキシコで女性町長殺害 初の女性大統領誕生の数時間後に

メキシコ中西部ミチョアカン州の町コテハで3日、女性の町長が銃撃され、殺害された。メキシコではこの何時間か前の2日に、同国初の女性大統領が誕生したばかりだった。

殺されたのは、ヨランダ・サンチェス氏。同町初の女性町長として、2021年9月から同職に就いていた。

サンチェス氏は3日、コテハの中心地で複数の銃撃者に襲われた。地元メディアによると、サンチェス氏は19回撃たれ、病院で亡くなった。護衛も銃撃戦の中で殺害されたという。

現時点で、この襲撃に関連した逮捕者は出ていない。襲ったのは犯罪組織に属している人物とみられている。

サンチェス氏は町長就任以降、たびたび殺害予告を受け取っていたと報じられている。

2023年には、ハリスコ州を訪問した際に、武装した人物らに銃を向けられ、3日間拘束された。サンチェス氏によれば、解放される前に誘拐犯から「要求」を突きつけられ、「心理的恐怖」を与えられたという。

サンチェス氏は、誘拐犯がどの犯罪集団に属しているのかわからないと述べていたが、地元紙は、犯人は「ハリスコ新世代カルテル(CJNG)」の一員である可能性が高いと伝えた。

CJNGは麻薬密売のほか、身代金目的の誘拐や恐喝に関わっている。

また、自分たちの言いなりになることを拒む公務員を標的にすることでも有名だという。

サンチェス氏は当時、町長就任後に脅迫してきた男たちは、町の治安維持を、組織犯罪集団に雇われている州警察官らに委ねるよう要求してきたと語っていた。

サンチェス氏はこれを拒否し、軍に町の警備を強化するよう要請した。この一件から、同氏には武装したボディーガードがついた。

大統領選では、メキシコ市の市長だったクラウディア・シェインバウム氏と、女性実業家のソチル・ガルベス氏らが争い、シェインバウム氏が大差をつけて勝利した。

有力候補2人が女性だったことは広く歓迎されたが、政治家への暴力が選挙に暗い影を落とした。

大統領選と共に行われた地方選では、昨年9月以降、候補を中心に20人以上が全土で殺害されたと政府は発表している。しかし、死者は40人近くだとする調査もある。

(英語記事 Mexican mayor killed hours after first woman elected president

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