私立は国公立よりも学費が高い傾向があります。また、理系や医歯系、芸術、体育系の学部に進学を希望する場合はさらに学費が高くなる可能性があります。
この記事では、私立大学の入学費や授業料などが実際にどれくらいかかるのかを調べてまとめました。
私立大学の費用負担を軽減させる方法も紹介しているので、私立大学の学費捻出に不安がある方はぜひ最後までお読みください。
私立・公立・国立大学の学費一覧
私立・公立・国立大学の学費の目安は以下の通りです。
国公立は現在文部科学省が定める標準額(53万円)から最大2割増までの範囲で授業料が決定されていますが、私立にはそのような上限がありません。
また、自宅外から通う場合は、家賃や光熱費などの生活費がかかるため、在学費用はさらに高くなると見込まれます。
【分野別】私立大学の学費
私立大学の分野別の学費をまとめてみました。
私立大学の分野別の学費を見ると、圧倒的に医歯系学部が高く、理系学部、芸術、体育系学部等と続き、文系学部が最も安いことが分かります。
なお、以下の表はいくつかの大学の金額を抜粋して作成していますので、前述の調査結果とは若干異なる部分もあることをご了承ください。
文系学部の学費
私立文系学部の学費の相場は、入学金を含めた初年度納入額は110~140万円。
設備費・実習費・諸会費などは大学によって若干異なりますが、初年度納入学から入学金を引いた金額が大学2年制以降毎年かかるおおよその学費ということになります。
理系学部の学費
私立理系学部の学費の相場は、入学金を含めた初年度納入学は150~170万円。
文系に比べて入学金がやや高い傾向にあること、設備費などの項目が高い点が特徴です。
医歯系学部の学費
医歯系学部の学費は、入学金が20~200万円、初年度納入学が290~945万円と、学校によって大きな開きがあります。
2年目以降も年間の学費は変わらないか、さらに高くなる学校もあります。
さらに、医学部の修業は6年間のため、他の学部よりも学費の総額は高くなります。
芸術、体育系学部等の学費
芸術、体育系学部は、一般私立大学の文系よりもやや入学金が高く、設備費・実習費・諸会費などが高額になるケースが多いようです。
有名私立大学の学費が安い学部ランキング
ここでは早稲田大学、慶応義塾大学、上智大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学、関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学の学費の安い学部ランキングを紹介します。
早慶上智の学費が安い学部ランキング
早慶上智それぞれの公式ホームページより、 2022年8月時点の最新の学費を調べて、 安い順にランキングしました。
慶応大学がランキングに入っていませんが、慶応大学で最も安い学部は、文学部の1,353,350円で11位となっています。
MARCHの学費が安い学部ランキング
MARCHそれぞれの公式ホームページより、 2022年8月時点の最新の学費を調べて、安い順にランキングしました。
立教大学と青山学院大学がランキングに入っていませんが、立教大学で最も学費が安い学部は観光学部の1,326,000円でMARCHのなかでは11位。
青山学院大学で最も学費が安いのは、文学部(英米文学科)の1,400,200円でMARCHのなかでは23位にランキングしています。
関関同立で学費が安い学部ランキング
関関同立それぞれの公式ホームページより、 2022年8月時点の最新の学費を調べて、安い順にランキングにしました。
立命館大学と関西大学がランキングに入っていませんが、立命館大学で最も学費が安い学部は法学部の1,174,600円で関関同立のなかでは12位。
関西大学で最も学費が安いのは、文学部の1,217,000円で関関同立のなかでは13位にランキングしています。
私立大学の進学にかかる費用を軽減する方法
私立大学は、初年度納入額だけでも100~1,000万円もの費用がかかることがわかりました。
ここでは、私立大学の学費負担を軽減する方法を5つ紹介します。
私立大学の学費負担を軽減する方法
- 大学無償化制度の活用
- 教育ローンの活用
- 奨学金制度の活用
- 家計を見直して出費を減らす
- 貯められる時期から貯めておく
それぞれの方法について詳しく解説します。
大学無償化制度の活用
大学無償化制度は、正確には「高等教育の修学支援新制度」と言います。
経済的な事情によって、学習意欲のある学生が進学を諦めることのないよう、住民税非課税世帯や、それに準じる世帯を対象に、「授業料減免制度」と「給付型奨学金」の2つの制度が設けられています。
授業料減免制度
年収や家族構成などに応じて、要件を満たした学生の入学金や授業料が免除される制度
給付型奨学金
要件を満たした学生に大学生活のお金を支給する、返済不要の奨学金
大学無償化制度の対象者
以下の要件を満たす学生が、大学無償化制度の対象となります。
- 住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯であること
- 進学先で学ぶ意欲が確認できること(成績だけではなく、学ぶ意欲も重視)
授業料減免制度と、給付型奨学金の支給額は、世帯年収によって異なります。
例)本人が18歳、夫が給与所得者、妻が無収入、中学生の兄弟がいるケース
【住民税の区分の目安】年収目安は兄弟の数・年齢、世帯構成で異なります。
本人が18歳、夫が給与所得者、妻が無収入、中学生の家族がいるケース
国の教育ローンの活用
大学無償化制度の受給資格に当てはまらず、教育資金が準備できていない場合は、教育ローンの活用も検討するとよいでしょう。
民間の金融機関が提供するものもありますが、日本政策金融公庫が取り扱う国の教育ローン(教育一般貸付)がよく知られています。
国の教育ローンは、教育費用を抑えるための手段として利用できます。その利用条件や審査基準については『国の教育ローン|利用条件や審査基準は?審査のポイントと奨学金との違い』をご覧ください。
奨学金制度の活用
学費の負担を軽減するために、日本学生機構(JASSO)が運営している奨学金を利用する方法もあります。
日本学生支援機構の奨学金制度は、一定の学力基準を満たしている、学習意欲が認められる、年収が一定額以下といった要件を満たすことが必要です。
奨学金は「給付型」と「貸与型」の2種類
奨学金は返済不要の給付型奨学金と、返済が必要な貸与型奨学金の2つがあり、貸与型奨学金はさらに利子がつかない「第一種奨学金」と、利子がある「第二種奨学金」に分けられます。また、給付型奨学金と貸与型奨学金は併用することもできます。
第二種奨学金の貸与月額の目安
貸与月額2~12万円の範囲で選択可能。
早期に貯蓄をはじめる
出産直後から、大学進学を見据えて貯蓄をはじめるのが堅実な方法です。
上記のような大学進学に関わる費用をもとに、貯蓄年数で割り戻せば、1年間に必要な貯蓄額が概算できるはずです。
また、学資保険やジュニアNISAのような長期積立のしくみを利用して積み立てていく方法もあります。
自分で判断が難しい場合は、FP無料相談などを利用して、将来設計を相談してみるのも一つの手です。
FP相談を受ける前に知っておきたいことや、面談の流れ、相談内容のポイントなどを『ファイナンシャルプランナーに相談するときの注意点』で解説しています。是非参考にしてみてください。
家計を見直して出費を減らす
短期間に数百万円の貯蓄をつくるのは、なかなか難しいことです。
預貯金や投資、学資保険などを利用して長期に積み立てを行いながら、家計を見直して無駄な支出を抑え、その分を貯蓄に回すことができれば効率的です。
食費や交際費などの見直しのほか、自動車保険や火災保険、生命保険など、過度な補償や現状に合わない設定を見直すことで、保険料の節約と保障内容の最適化を行うことができます。
まとめ
私立大学は国公立より学費が高い傾向があり、文系よりも、さらに理系や医歯系、芸術、体育系学部の学費は高くなります。
そのため、特に私立を希望する方は学費に不安を感じてしまうかもしれません。
学費の負担を軽減するために、大学無償化制度や奨学金といった国の制度の利用を検討してみると良いでしょう。
その他にも、国の教育ローンなども活用する方法があるので、家計の見直しや早期の貯蓄も含めて早めに対策を立てておくことが重要です。
教育ローンを利用する場合は、金利や返済条件などを比較して、自分に合ったローンを選ぶことが大切です。おすすめの教育ローンを紹介する記事もあるので、そちらも参考にしてみてください。教育ローンを利用することで、教育費用の負担を軽くすることができます。
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