噛むほど旨味あふれる厚めの生地が魅力。chikopainの「クリームパン」【福岡市城南区】

福岡で10年以上パンブログを続け、2020年には城南区別府にパン喫茶をオープンさせた「pantiki」さん。毎日をリープアップしてくれる福岡のパンを、「ひとぱん入魂」の気持ちで1つずつご紹介いただくこちらの連載。54回目の今回は、福岡市城南区にある、chikopain(チコパン)です。

パン屋さん、という呼び方よりも、パンの作り手さん、とお呼びしたい方々がいる。

大きなお店の奥で、毎日朝から晩までたくさんのパンを焼いてくださっている方々は、「パン屋さん」もしくはリスペクト込みで「シェフ」とお呼びしたくなる。

対して、「作り手さん」はというと、小さな工房、もしくはその方のご自宅かしら?と思えるほどの空間で、まさにその「作り手ご本人の手によって」少しずつ焼かれるパン。その方の子どもか身内になったような気分になる、そのパンを頬張る瞬間は、遠足のお弁当箱を開くときの気分に似ている。

そんな作り手さん、のおひとり、chikopain(チコパン)さんの工房は、城南区長尾の住宅街にあります。ひっそりと佇むように、でも確実に「何か美味しいものがありそう」な雰囲気を醸し出しているお店です。

チコパンさんと言えば、ファンの方にはお馴染みの「背の高いイングリッシュマフィン」。以前、拙コラムでもデリマシェリさんの回で書かせて頂きましたが、イングリッシュマフィンを置いているお店は、そんなに多くなく。ましてや、このくらい背が高いものとなると、かなりのレアもの。見つけたらマストバイ!な存在。

そんなイングリッシュマフィンを、チコパンさんも定番商品として置いてくださっており、尚且つ、プレーン以外にも、様々な具材入りの魅力的なイングリッシュマフィンもあるという、、、。となると、月に数度の工房販売日に、人々が押しかけるのも自明の理。蚤の市などに出店なさった際には行列が出来るのも納得の人気店なのです。

噛むほどに旨味あふれる厚い生地のクリームパン

ですが今回は、皆様がその美味しさと人気を重々ご承知のイングリッシュマフィンではなく、あえてのクリームパンで、書かせて頂きます。拙コラムの熱心な読者様(いらっしゃるのか?)だけがご存知の通り、絶賛クリームパンブーム中の筆者。そんな筆者だからこそお伝え出来るこの美味しさよ。

他のパンたち同様、まず見た目から美しく、丁寧に作られたのが伝わるクリームパンは、天然酵母だなぁと感じる嬉しい厚みと密度。みっちりと噛み応えがあり、遠くに心地よい酸味もあります。これはぜひ焼き戻して食べたいクリームパンだわ、、、と、いそいそと焼き戻す。さすれば、これまた丁寧に炊かれたカスタードの甘味も、それに閉じ込められていたバニラの香りも上りたち、さらに美味しくなりました。

クリームパンのクリームは、端から端までみーっちりと、うす〜い皮に包まれていて欲しい、そんなクリームパンlover達の思いとは、少し違う構成。

「厚みを感じる生地」であるのに、この充足感。

それはまさに、ずっと噛み締めていたいほど美味しい生地だから、噛めば噛むほど旨味が出てくる生地だから、に他なりません。

この、優しいけれど力強い。そんな印象を受けるのはクリームパンのみならず、新玉ねぎがたっぷり入ったフォカッチャも、新玉の甘味が全面に来るのかと思いきや、ファーストバイトでやってきたのは、生地の酸味。

リュスティックも、ふわふわモチモチしているパン、という概念を覆すみっちり感。これも具材ではなく、生地の食感と酵母の酸味が主役のように感じました。

可愛らしい店内やパンのお顔とは打って変わって、頂くとどれも、力強く、男前な印象を受けます。

丁寧には丁寧で返す

母は強し、という言葉を3次元化したかのようなチコパンさんのパン。

だからこそ、母が作ってくれた、丁寧に作ってくれたものは、丁寧に食べよう。いや、自然と丁寧に食べたくなるのだなぁ。チコパンさんは私よりもお若いのだけれど(笑)

いただきます。手を合わせてから大切に頂きました。チコパンさんならではの魅力に、しばし感じ入りながら。

店舗情報

chikopain

住所:〒814-0123 福岡県福岡市城南区長尾3丁目22−8[map]

営業時間:8:00~15:00(売り切れ次第終了)

営業日:金・土曜日(詳しくは店舗Instagramをご覧ください)

駐車場:なし

Instagram:@chikopain_

https://www.instagram.com/chikopain_

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