新酒風味そのまま 急速冷凍の一品 赤磐・利守酒造 8日に限定販売

利守酒造が造った急速冷凍の純米吟醸酒

 利守酒造(赤磐市西軽部)は、搾りたての日本酒を急速冷凍した「凍眠酒」を造った。新酒のフレッシュさを閉じ込め、解凍後も味や香りが損なわれないのが特徴という。8日に同社で開く催しで限定販売する。

 岡山県発祥の酒米・雄町を原料に仕込んだ純米吟醸酒(加熱処理しない生酒)を、専用装置を用いて瓶ごとマイナス30度のエタノールに漬け、凍結させた。自然解凍して味わう。

 家庭用冷凍庫などでは水とアルコールが分離して凍るため、味にむらができる上、膨張して瓶が割れる恐れがある。専用装置での急速冷凍は分離がほとんど起きず、風味が失われない。膨張率も低いという。

 8日の日本酒試飲イベント(午後1時~5時)で凍眠酒200本を用意し、凍ったまま販売する。価格は1本2880円(720ミリリットル入り)。予約も受け付ける。

 全国の酒蔵で同様の商品が企画されており、同社は今年初めて試験的に取り組んだ。イベントで販売するほか、県内外のモニターに冷凍状態で配送し、到着時の製品の状態や開封後の味わいを調べる。購入者の反応を踏まえ商品化を検討する。

 利守弘充専務は「搾りたての味を閉じ込めるのは、熟成させて味に深みを出す従来の日本酒とは逆の発想。冬から春にかけて味わえる新酒を夏に飲んでみたり、年ごとの飲み比べをしたりと、いろいろな楽しみ方ができる」と話す。

 問い合わせは同社(086―957―3117)。

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