「機種別ドローン操縦者技能・運用証明証」の新設へ。ドローンの運用基準やパイロットの技能評価が統一へ

機種別ライセンスは、日本国内で販売されているドローンの機種ごとの操縦技能および安全運用スキルをドローンパイロットが保有していることを客観的に評価・証明するものだ。

また、同取り組みには、上記の国内ドローン機体メーカーのほか、海外ドローンメーカーの国内代理店も複数社が参画を表明しているという。

MOU締結の背景~人的運用の課題解決に向けて~

現在のドローンスクール等における技能証明は、講習に用いた機種以外の技能を積極的に評価するものではないため、ドローン実運用に際しては、扱う機体に精通するためのトレーニングを必要としているという。

その反面、従来のトレーニングはドローンの機体マニュアルやトレーニング内容がメーカー毎に様々となっているため、新たな機種を扱う際や、扱う機種が変更になった際のリスク評価やリスクコントロールにおいて課題があった。それもあり、ドローン運用の実施は操縦・安全管理の両面において高い技能を有する特定のドローンパイロットに偏ってしまい、ドローン運用の需要拡大に対するドローンパイロット不足という課題を生じているという。

さらに、ドローンスクール等において国産機体を活用した講習実績も少ないため、ドローン実運用に際して各種国産機を利用するための障壁ともなっていたという。

ドローン運用における課題

  • メーカーごとに機体の取扱方法の説明やトレーニングが全く異なるため、他メーカーの機種を操縦する際のハードルが高い
  • 外部委託時等においても、委託先のドローンパイロットが扱う機体の知識や技能をどの程度保持しているかを客観的に評価する基準がなく、高技能を有する一部のドローンパイロットに運用業務が集中している
  • 海外メーカー機体に慣れたドローンパイロットが、操縦経験の少ない国産機体の操作性を十分に把握せず運用し、その性能を十分に発揮できない事例がある

今後の取り組み~安全運用と市場拡大を両立~

同MOU締結により、JUIDA、ブルーイノベーションおよび機体メーカー各社は、前述の課題の解決に向け、以下を共同で推進していく方針だ。

安全性の基準化と客観的評価制度の確立

  • ドローン機体別の操縦・運用技能プログラムと評価基準ガイドラインの策定
  • 機種別の統一トレーニングと定期試験によるドローンパイロットの技術水準の継続的証
  • 機種別認定ライセンスの発行及びドローンパイロットスキル管理手法の確立

新規ビジネスチャンスの創出と業界の信頼性向上

  • ドローン機体の導入および普及拡大に向けた業界内ビジネススキームの構築
  • 同機種別ライセンスのデジュールスタンダード化に向けた国や自治体等への各種提言

同取り組みにより、ドローン業界の安全性、信頼性、専門性の継続的な向上、ドローン運用アプリケーション(点検や物流、測量など)における操作ミス防止や緊急手順への精通などによる事故リスクの大幅な減少、ひいては業界全体の持続可能な成長と社会的受容の促進に貢献するとしている。

なお、同取り組みでは、経済産業省およびNEDO等が推進している、各種プロジェクトとも連携し、ドローン産業の高度化と発展、安全で効率的なドローン運用の新たな標準の確立、新技術の活用等も検討していくという。

各社の役割

各社代表コメント

JUIDA 理事長 鈴木真二氏

鈴木氏:JUIDAは無人航空機産業の健全な発展に貢献することを目的としており、設立以来、ドローン運用に必要な技能や知識を持った人材の育成、規則や基準の策定、安全性向上のための研究開発を推進してまいりました。今後さらに、本取り組みを通して安心安全なドローン運用の実現とドローンの国内需要の拡大、ひいてはドローンの社会実装を推進してまいります。

ブルーイノベーション 代表取締役社長 熊田貴之氏

熊田氏:ドローンの運用基準やパイロットの技能評価が統一されることで、ドローン運用の安全性およびその客観性が確保されるため、発注者側は安心してライセンス保有者に委託でき、受注者側も業務の受託機会が拡大することが期待できます。当社は、本取り組みを通して、ドローン業界の市場拡大、ひいては産業全体の活性化に貢献してまいります。

ACSL 代表取締役CEO 鷲谷聡之氏

鷲谷氏:「レベル4」及び「レベル3.5」の解禁により、日本のドローン市場は新たなフェーズに入りつつあります。そうした中で、現在、日本で唯一の「第一種型式認証」取得機体と「レベル4」等の実績を有する国産ドローンのリーディングカンパニーとして、本提携を通じ安心・安全な機体の選択肢とユーザー価値の創造に取組んでまいります。

イームズロボティクス 代表取締役社長 曽谷英司氏

曽谷氏:当社が率先して進めている型式認証を取得できる安全性の高い機体を作っていくことと並行し、それらの機体を社会実装につなげていくためにも、運用をするオペレータの技能評価や運用基準の標準化は必要と考えます。業界全体でドローン実装につなげていきたいと思います。

リベラウェア 代表取締役 CEO 閔弘圭氏

閔氏:当社は、先端技術を駆使した高精度な産業用小型ドローンの技術より、この連携に貢献します。自律飛行と大規模データ分析の融合により、ドローンの活用に新しい可能性を追求し、インフラ点検や災害対応など、様々な分野での活用を目指します。この連携を通じて、業界全体の成長を促進し、安全で効率的な未来を創造する一助となることを期待しています。

プロドローン 代表取締役社長 戸谷俊介氏

戸谷氏:本ライセンス制度は、ドローン普及が進む過程において重要だと考えました。多くの人に当社の機体を扱ってもらえる機会が増え、ドローンによる産業活用が安全に進むと捉えています。本ライセンス制度により、日本のドローン普及に貢献することができることができれば幸いです。

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