メルカリとヤクルトが連携 ヤクルトレディが高齢者家庭から不用品を回収 「捨てるをへらす」実証実験

環境の保全について関心と理解を深める「環境の日」の5日、メルカリとヤクルト山陽が全国でも先進的な実証実験をスタートさせると発表しました。

【ヤクルトレディ】(4日・広島県三次市)
「こんにちは、お世話になります。失礼します」

元気よく住民を訪ねる「ヤクルトレディ」。商品を手渡すと高齢の客にこう話しかけます。

【ヤクルトレディ】
「きょうは、体調はどうですか?」
【お客さん】
「よろしくないですね」
【ヤクルトレディ】
「はやく元気になってくださいね」

こうして商品の販売だけでなく、地域の住民の悩みにも寄り添ってきましたが、この度、日本最大のフリマアプリ「メルカリ」と連携した新たな実証実験をスタートさせました。

【メルカリ・吉川 徳明 執行役員】
「地域で拠点を持っている会社と組んで、なおかつ、その会社が出品のかなりの部分を担っていただける。モノの回収や今回、訪問していただくというところまであるので、そういったところまで踏み込んでやっていくというのは(全国でも)初めて」

メルカリは、これまで「捨てるをへらす」取り組みとして自治体と連携してきました。その背景の一つにあるのはゴミの最終処分場が減少し、確保が厳しい状況が続いていることです。

環境省の調査では、新規の最終処分場が整備されなかった場合、埋立処分が可能な期間は全国平均で「23.4年」と厳しい状況になっています。

そうした中、広島や山口で営業する「ヤクルト山陽」は社会貢献活動として、去年からメルカリと連携し、リユースを推進する「メルカリ教室」を展開。そして今回、三次市と安芸高田市で不要品の回収から販売までの作業を代行して行うことにしたのです。

【ヤクルト山陽・大澤 誠 社長】
「上がった収益については、それぞれの市にお返しさせていただきながら、循環型社会に役立てる」

地域でまだ使える“不用品”を営業所(2か所)の店頭で、回収するほか、持ち込むことが難しい高齢者などに対してはヤクルトレディが直接、訪問して回収します。

【ヤクルトレディに回収を依頼した人】
「困ったと思っていてヤクルトさんに話をしたら(回収できると)言われたので、頼みました。喜んでいます」

そして、営業所に集まった“不用品”は担当スタッフが写真や必要情報を入力し、出品します。

【鈴木記者】
「こちらが三次市内でこれまでに回収されたものです。こちらは着物、こうした鍋や子供服などもあります」

こうした動きについて三次市の福岡市長は…。

【三次市・福岡 誠志 市長】
「今まさに処分場の問題で次の処分場どうするのか、いまのキャパだとあと何年しか使えないというような状況にありますので、それらを計画的に進めていかなくてはいけないが、行政だけでなく市民全体で取り組むことで意識の醸成、『捨てるをへらす』ということに繋げられるように、これからも啓発していきたい」

実証実験は来年3月までで、今回の取り組みによる温室効果ガスの削減貢献量を算出する効果測定も行うということです。

<スタジオ>
背景の一つは処分場の減少ということですが、木村さんそこだけではなくて、本当に地球に優しいというか、ゴミを減らす、この取り組み、必要な人のもとに届けば、これほどいいことはないですよね。

【コメンテーター:木村文子さん】
(女子100mハードル元日本代表・エディオン女子陸上部アドバイサー)
「そうだと思います。人と人との繋がりで、環境の問題に取り組める。こんな取り組みがあるんだなっていうことを学びましたし、高齢の方がみずから捨てに行くこと、それ自体が難しい方もいらっしゃるんですけれども、安心感のあるこのレディーの方に頼めるっていう、(高齢者の方の)孤立感すらも補ってくれるのかなっていうふうに感じます」

リユースに関しますと、リサイクルに比べても環境への負荷が小さいということで、このリユース市場というのは、ますます拡大していくかもしれません。

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