自然減1万5000人超 出生2年連続6000人割れ 青森県の人口減少加速 2023年人口動態

 厚生労働省は5日、2023年の人口動態統計(概数)を発表した。青森県の出生数は22年確定値から289人減の5696人と2年連続で6千人を割り、過去最少を更新。死亡数は718人増の2万835人で戦後最多となった。出生数から死亡数を差し引いた人口の自然減は1万5139人となり、初めて1万5千人を超えた。自然減が最初に1万人を上回った18年調査から5年間で減少幅が5千人拡大した計算で、青森県の人口減少ペースは加速している。

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 人口の自然減は25年連続。近年は、18年に1万133人、19年1万1254人、20年1万1068人、21年1万2272人、22年1万4132人-で推移してきた。自然減の度合いを表す自然増減率(人口千人当たりの出生数と死亡数の差)はマイナス12.9で、22年に比べ減少幅が1.1ポイント拡大し過去最大。全国では秋田県に次いで2番目に減少率が高かった。

 1人の女性が生涯に産む子どもの推定人数を示す合計特殊出生率は1.23と過去最低を更新。算出の基礎となる15~49歳の女性人口の減少や若者流出が影響しているとみられる。22年比では0.01ポイント減にとどまり、全国平均の1.20を上回ったが、県こども家庭部の若松伸一部長は「出生数の減少を抑えられておらず、合計特殊出生率が低下している傾向は変わらない。(同出生率2以上に道筋をつける)『青森モデル』の確立をはじめ、少しでも歯止めをかける施策を打って効果を出さないといけない」と話した。

 人口千人当たりの赤ちゃんの数を示す出生率は0.2ポイント減の4.8で47都道府県別では北海道と並んで44位タイだった。最も高かったのは沖縄県の8.7。

 一方、人口千人当たりの死亡数を示す死亡率は0.9ポイント増の17.7で、全国では秋田県の19.3に次いで2番目に高かった。

 自然減が過去最多となったことについて、県健康医療福祉部の工藤康成次長は「高齢化に伴い死亡数が多くなることは避けられず、生活習慣病の予防といった健康づくりに加え、結婚支援や周産期医療の充実など安心して子どもを産み育てられる環境をつくっていくことが必要。厚労省が今後公表予定の死因別など詳細なデータを分析して課題に取り組んでいく」と述べた。

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人口動態統計 戸籍法などに基づき、市区町村に届けがあった出生、死亡、婚姻、離婚といった数を、厚生労働省がまとめた統計。1899年に始まった。国の重要な「基幹統計」の一つで、政策立案の基礎資料となる。例年2月ごろ、前年1年間分の外国人を含む「速報値」を公表。6月ごろに日本人のみ対象の「概数」を発表し、女性1人が生涯に産む子どもの推定人数「合計特殊出生率」も算出する。

合計特殊出生率 1人の女性が生涯に産む子どもの数を推定した人数。15~49歳の女性の年齢別出生率を合計する。戦後の第1次ベビーブームが起きた1947年には4.54だったが、75年に2を割り込んだ。政府は90年代から少子化対策に取り組んでいるが、低下に歯止めがかかっていない。安倍政権では、若い世代が希望通りの数の子どもを持てる「希望出生率1.8」を目標に掲げたことがある。

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