【今日の読み切り】「忘れられない」心の中の“忘れられない人”をテーマにした短編集

by 緑里孝行(クラフル)

【忘れられない】

著者:谷川史子

集英社

価格:437円

智花の母は、年に1度、家をあける。彼女の知らない場所へ訪れる母。父はその場所を知っているようだ。どうして家をあけるのか、どこに行っているのか。「心配いらないんだよ。お母さんはちゃんと帰ってくるから」と父は言うが、それでも心配してしまう。そんなある日、母の古いアルバムを偶然見つけてしまい……。

本作「忘れられない」は、谷川史子氏の短編集で、表題の「忘れられない」の他、「つまさきで踊る」、「エンドレスマーチ」、「春の前日」、「告白物語」が収録されている。価格は437円。デジタル版の配信もされており、無料の「試し読み デジタル版」も配信されている。

恋愛に関わらず、誰しも、心の中に忘れない人物がいるだろう。無理に忘れようとしても、逆に余計忘れられなくなったり。淡いタッチの作画で描かれる切ない恋愛物語は、そんな忘れられない人物をテーマに展開していく。

社会人になりたての頃、自分の気持ちでいっぱいいいぱいになり、結局別れてしまった元彼のことが忘れられられずにいる智花。「忘れられない」では、次の恋愛にも進めずにいる彼女の揺れ動く心模様が描かれる。母が家をあける理由や父が母を想う気持ち、そして智花と元彼、暁(あき)との恋愛の行方を読んで確かめてほしい。

【あらすじ】

その日、母は帰ってこなかった。秘められたその過去を追いながら、自分自身の忘れられない恋と向き合う智花。そして出した結論は──? 愛しつづけることの意味をあたたかい視線で問う表題作ほか、胸にせまる読切り3編と予告マンガ「告白物語」を収録。
【収録作品】忘れられない/つまさきで踊る/エンドレスマーチ/春の前日/告白物語

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