雨に見舞われたムジェロテスト。ホンダの現状とオランダGPでのアップデート予定は/MotoGP

 イタリアGP後の月曜日の6月3日にムジェロ・サーキットで公式テストが行われた。低迷が続くホンダとヤマハがここでどんなテストを行ったのかが気になるところだが、残念ながらこの日は天候に恵まれず、午前中から昼過ぎにかけて雨が降った。

 このためか、ヤマハについては当日の囲み取材はなく、テスト終了時間の18時を前に、早々に片づけを始めていた。こうした状況から察するに、大きなテストは実施していないだろうと思われる。ヤマハは、6月11日、12日にスペインのリカルド・トルモ・サーキットでプライベートテストを行う予定だ。

 ホンダもまた、大きなアイテムのテストは行われず、ウエットコンディションでの電子制御やセッティングを詰めていく作業が主となった。ホンダは、ウエットコンディションではドライコンディションよりもさらに苦しんでいるというが、中上貴晶(イデミツ・ホンダLCR)は、今回の作業で好感触を掴んだようだ。

「ウエットでは氷の上を走っているような、まるで一輪車を操っているような感覚だったんです。恐怖心しかなくて走れなかったんですけど、ダメだったときのベースセッティングを一度捨てて、走り出しから違うバイクにして、電子制御も大きくセッティングを変えて走り出しました」

「特にコーナーの旋回からコーナー脱出で、かなりバイクが安定するようになりました。ウエットに関しては大きな前進ができたんじゃないかな、と思います」

 現状のホンダとしては、レースウイークをも使って、実践的な様々なトライを行っているとみられる。例えば、イタリアGPと公式テストを含め、レプソルとLCRはテールカウルの空力デバイスについて、異なる形状のものを使用していた。

 つまり、4台ともにマシンの前部、サイドはアップデートされたものだが、テールカウルの空力デバイスはそれぞれ異なっている状況だった。テールカウルについては、レプソルは開幕戦から使用していた空力デバイス、そしてLCRは新しい空力デバイスである。

 これについてジョアン・ミル(レプソル・ホンダ・チーム)に確認すると、「そう、(レプソルとLCRはテールカウルの空力デバイスについて)違うものを使っている」と認めたが、その理由はわからない、という答えだった。

「これはHRCのリクエストだよ。どうしてなのかはわからないんだけど、僕たちは違うものを使っているんだ。そして、僕はほかのもの(新しいほう)は使ったことがない。『これでいくよ』と言われて、それで走っている」

 この組み合わせについては、中上が土曜日の午前中のフリープラクティス2で走らせていたパッケージである。グリップ改善を期待したものだったが、このとき中上は「大きな変わりはない」とコメントしている。

 ただ、ミルはこれまでとはやや異なるエンジン・コンフィグレーションを使用しているとみられるため、ホンダが今後投入するだろう新しいエンジンとの相性を確認している可能性はある。繰り返すようだが、ホンダのライダーたちは、レースを戦いながら、開発のための大小様々な変更と確認に取り組んでいる状況と言えるだろう。

 中上によれば、次戦オランダGPでは「何かしら新しいものはあるけれど、大きなエンジンやシャシーなどではないです」ということだ。

「アッセンまで3週間オフの時間をどうHRCが使うのか、違うものがくるのか。期待したいなとは思っていますが、大きなものは、たぶんサマーブレイク明けにくるはずなので、変更には限界があるとは思います」

「サマーブレイク明けに大きなアップデートがくると聞いていますから。アッセンでのアップデートは小さなものかもしれません。待って、様子を見たいなと思います」

 シーズン後半戦に入れば、9月には2025年シーズンを見越した最初のテストがミサノで控えている。猶予はあまりない。だが、どうやら大きなアップデートについては、まだ待たなければならないようだ。

午後は雨が上がって陽が差したが、路面状況が安定しない、テストには不向きのコンディションだった

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