全建・新体制が始動/会長に今井雅則氏就任、建設業を「憧れの産業」に

全国建設業協会(全建)の今井雅則会長(戸田建設代表取締役会長)をはじめとする新体制が4日発足した。自然災害が頻発する中、建設業が地域の守り手として活躍できるよう、地域建設業の経営基盤の安定化に重点を置く。同時に担い手の確保にも注力。建設業が「憧れの産業」となるよう、働き方改革や処遇改善に取り組む。

同日、東京都内で2024年度定時総会を開き、本年度の事業計画や予算を報告した。役員人事では20年6月から全建の副会長を務める今井氏を新会長に選任。新副会長には錢高久善大阪建設業協会会長、石井源一静岡県建設業協会会長、西村裕徳島県建設業協会会長が就いた。千葉嘉春宮城県建設業協会会長は副会長を継続する。
総会後に会見した今井会長は、地域建設業の役割について「災害発生時は道路などを復旧・復興し、社会インフラ整備の更新や老朽化対策にも携わる。(地域から)大きな期待が寄せられている」と重要性を強調。一方で「時間外労働上限規制への対応など、働き方改革や処遇改善、担い手の確保といった克服すべき課題が山積している」とし、地域建設業を取り巻く厳しい現状を指摘した。
担い手の確保について「危機的状況に陥っている」と危機感を示し、「建設業が若い人にとって憧れの産業にならなくてはいけない。方法はいろいろあり、それが働き方改革だったり、賃金の確保だったりする。全建事業方針の下、これらの取り組みを展開していく」と決意を語った。
錢高副会長は「若い人はもちろん、就労している人にも建設業の楽しさや魅力を理解してもらうことが必要」と指摘。千葉副会長は「教育機関で土木・建築関係の学部などがなくなってきている問題もある。今井会長の下、これらの課題解決に努める」と意気込みを語った。
石井副会長は「今まで以上に業界のイメージをアップし、若い人が入職する産業にしていきたい」と展望。西村副会長は「自然災害の発生時には各建設業者が対応してきたが、人手不足で今後は難しくなってくる。人の確保に注力する」と述べた。
総会で退任した奥村太加典前会長は「今後は全建の1社として、『地域建設業の存在なくしてこの国の安全保障はあり得ない』との思いで全建を支えていきたい」と語った。

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