奈緒「いろんな方向から、自分への影響が」“大切な存在”の女優との共演経験

奈緒 撮影/冨田望 ヘアメイク:竹下あゆみ、スタイリスト:岡本純子

朝ドラ『半分、青い。』や、秋元康・企画の『あなたの番です』でブレイクし、現在では同世代の俳優の中でも、どんなジャンルの役柄でも演じてみせる確かな実力で引っ張りだこの奈緒。芸能生活のはじまりは高校時代。地元福岡で活動をしていたが、2015年、二十歳のときに上京した。今年すでに2本の映画が公開され、さらに2本の映画が控えている奈緒さんのTHE CHANGEとは――。【第2回/全4回】

俳優として生きていくことを決めた上京から10年目を数えた奈緒さん。特にここ数年の主演ドラマ『ファーストペンギン!』(日本テレビ)、『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ)、『春になったら』(フジテレビ)はいずれも高い評価を受け、続編となるWOWOWオリジナルドラマ『演じ屋 Re:act』もはじまった。映画に目を向けると、今年だけですでに『陰陽師0』と『告白 コンフェッション』が公開。さらに主演作の『先生の白い嘘』『傲慢と善良』(藤ヶ谷太輔とのダブル主演)が控えている。

フル稼働の奈緒さんだが、一般にその存在を知らしめた作品としては、やはりNHKの連続テレビ小説、いわゆる朝ドラの『半分、青い。』で演じた、主人公・鈴愛(永野芽郁)の親友・菜生役の好演が大きい。

――朝ドラへの出演は、俳優として大きなものでしたか?

「大きかったですね。いろんな意味で、いろんな方向から、自分への影響がありました。まず何より、多くのお仕事のお話をいただけるきっかけになった大きな作品ですし、たくさんの方に見ていただいて、名前を覚えていただける作品でもありました」

朝ドラといえば、長きにわたる撮影期間も、特に今のドラマにおいては非常に貴重な作品だ。

「1年近くひとつの役を追いかけるという経験も、自分の中ですごく深いものでした。朝ドラという少し特殊な環境の中で、毎日撮影があったり、みんなでリハーサルをやって、ずっと長い期間を一緒に超えていくというのは、自分にとってとても大きな体験でした」

『半分、青い。』から『マイ・ブロークン・マリコ』へ

『半分、青い。』が放送されたのは、2018年の4月から。奈緒さんにとって、3度目の朝ドラオーディションの挑戦で掴んだ出演だった。

「自分の進む方向が広がったのを感じました。それに、ドラマの現場であれだけ長い時間、そして永野芽郁ちゃんが真ん中に立って大変ななか、ひとつの作品を背負う作品を見ていたことも含めて大きなものでした」

朝ドラで親友役を演じた奈緒さんと永野さんだが、そこで特別な絆を築いたことはふたりとも公言している。4年後、ふたたび映画『マイ・ブロークン・マリコ』で親友同士を演じたが、その際にも互いに大切な存在であり続けていることを明かしている。さらに、永野さんだけでなく、ほかのキャストやスタッフたちとの出会いも大きかったと振り返る。

奈緒 撮影/冨田望

「出会いは一期一会のものですから。そのときに誰と出会うかによって、物事の感じ方も全然違います。芽郁ちゃんと出会えたことはもちろんのこと、そこには先輩たちもいて、いろんな人の背中を見ながら、自分の役とも向き合っていきました。その場にいた誰かひとりが違っただけで、全く違ったものになっていたと思います。

スタッフさんも含めて、あのチームだったからこそ、自分の中に生まれたものや乗り越えられたこと、支えられた部分がありました。長い時間をかけて、そういったことを体験していけたことは、自分のなかで、すごく大きかったと思います」

その後、仕事のオファーが増えたというだけでなく、演技の力も縁も、それを自分のものとし繋げていけたのは、俳優・奈緒さんが朝ドラでの吸収を自らの大きな礎とできているからだろう。

なお
1995年2月10日生まれ、福岡県出身。高校1年生のときに地元でモデル事務所に所属。地元のテレビ番組やドラマに出演ののち、2015年に上京した。2018年、連続テレビ小説『半分、青い。』でヒロインの親友役で好評を博す。翌年に連続ドラマ『のの湯』で初主演を果たし、『あなたの番です』で第102回ザテレビジョンドラマアカデミー賞助演女優賞を受賞した。主な映画出演作に『事故物件 恐い間取り』『みをつくし料理帖』『余命10年』『マイ・ブロークン・マリコ』『陰陽師0』など。現在、映画『告白 コンフェッション』が公開中、およびドラマ『演じ屋 Re:act』が放送・配信スタート。映画『先生の白い嘘』『傲慢と善良』が控える。

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